ふと和らぐ、無色の風景:お題『謎』

 居酒屋特有の喧騒の中。

 隣に座る友人たちが繰り広げる二次会特有の惨状から目を逸しつつ、話しかけた向かいの同級生は驚くほど真顔に近い無表情だった。

 目の前に座るのはクール系天然男子で、彼はワンパターンの相槌をしてくれるけれど楽しいのかつまらないのかその感情は読み取れない。それでも隣に巻き込まれないため話し続けた。

 やがて、堪忍袋の緒が切れた友人の幼馴染みが二次会をお開きにした。会計を終えて店を出る前。

「とても楽しかった。ありがとう」

 そう言った彼は微かに目元を和らげた気がした。

 悪酔いした彼の友人に肩を貸している彼は、最後まで何を考えているのか謎のままだったけれど、楽しいと思ってくれたのならよかった。

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