注文に迷う、茶色の風景:お題『揃える』

 見知った顔が来店した。

 いらっしゃいませ、と他人行儀に対応すれば少し困惑気味な表情を返された。店内を見回したこいつは躊躇いがちにカウンターの前に立つと、しばらくメニュー表と睨めっこしていた。ようやく顔を上げて注文するかと思われた時、幼馴染みが来店した。

「あ、もう来ていたんだ!」

「わたしも今さっき来たところです」

 どうやら待ち合わせだったらしい。

 なら、この店を選んだのは幼馴染みだろう。顔を揃えた二人が会話を弾ませる前に視線で訴えれば、意味を理解した幼馴染みがメニュー表を眺めた。そして、こちらを見たこいつが躊躇いがちに口を開く。

「オススメって何ですか?」

 その問いに俺と幼馴染みは口を揃えて答えた。

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