第12話 娼館と、病気治療と、お姉様

 お姉さんに連れていかれたのは娼館だった。

 少し驚いたが、俺が客を取るわけでもないし、精神は男なので娼婦に対しての差別心などありはしない。

 こういうのを完全に無くすと、ほんとかどうかは知らないが、性犯罪が増えるらしい。

 なくなって欲しいが、必要悪みたいな職業だと思っている。


 とにかく、余裕の表情で中に入った。


「早く治しておくれよ」

「慌てないで頂きたいですわ。今から調合致します。書く物を用意して下さいませ」


 紙とペンが用意された。

 さあ、プログラムを書くぞ。


extern MAGIC *magic_make(char *material,long material_size,int image); /*魔法作成*/

extern int mclose(MAGIC *mp);

extern void magic_delete(MAGIC *mp);


char virus[100000000]; /*ウィルス一億個*/

void main(void)

{

 MAGIC *mp; /*魔法定義*/

 mp=magic_make(virus,sizeof(virus),IMAGEUNDEFINED); /*ウィルスを魔法に*/

 magic_delete(mp); /*ウィルス消去*/

 mclose(mp); /*魔法終わり処理*/

}


 ポーション化の魔法の中に、上の手引書の魔法を写した。

 こんなところで良いかな。


 魔石を液状化して、ポーション化する。


「さあ、舐めて下さいませ」

「これで治るんだね」


 お姉さんはポーションをスプーンですくうと舐めた。


「どうでしょうか?」

「体が軽くなった気がするよ」


「念のため時間を置いて何度か服用して下さいませ」

「分かったよ。私はラピア。あんたは?」

「エンゼルですわ」


「謝礼は何がいいかい? と言っても金はほとんどないんだけどね。病気が分かってから客を取ってないから」


 苦笑いするラピア。

 ここはねんごろな関係になる手かな。

 姉妹になって貰うのが良さそうだ。


 ラピア姉さんは赤毛のグラマーな体付きのお姉さんだ。

 年の頃は20代前半かな。

 むしゃぶりつきたい。


「姉妹になって下さいませ」

「そうかい。義兄弟になりたいって言うんだね。分かったよ。今、盃を持ってくる」

「そうではありませんわ。わたくしの言う姉妹とはその」

「ああ、それね。それは駄目だよ。病気がまだ治ったか分からないから。これでも仕事に誇りを持っているんだ」


「仕方ありません。お姉様とだけ呼ばせて下さい。ところで一晩泊めて頂けないでしょうか」

「あんたにも色々と事情がありそうだね。こういう所は訳ありばかりだから、詳しくは聞かないよ。一晩と言わず好きなだけ泊まっておくれ」


 空いている部屋を借りた。

 鏡があったので自分の顔をまじまじと見る。

 銀髪の目つきの悪い美少女がいた。

 体つきは豊満でラピアお姉様にも負けていない。


 私はパンツを下ろすと、あそこを観察した。

 美しい。

 初々しいっていうのかな。

 若さを感じさせる。


「入っていいかい?」


 部屋の外から声が掛かった。


「ちょっと待って下さいませ」


 慌ててパンツを穿く。


「どうぞ」

「わたしゃ、ここの女将だよ。あんた行く所がないんだって」

「まあ、そうですわね」


「どうだい。客を取ってみないかい?」


 男に抱かれるなんて、まっぴらごめんだ。

 体は女だが、心は男。

 これは譲れない。


「断固、お断り致しますわ」


「理由を聞いてもいいかい?」

「男が嫌いなのです。それだけ言えばお分かりになられますよね」

「そういう性癖かい。なら、女専門ってのもあるよ」


 エッチな事は好きだが、商売にはしたくない。

 趣味は趣味であるから楽しいんだ。

 仕事にすれば嫌な面も多数出てくる。


「いいえ、それもお断りします。金での関係でなくて、心からの関係で姉妹になりたいのですわ」

「そうかい、決意は固いようだね。じゃあ、ここにいる間は例の薬を貰おうか」


「それなら、問題ないですわね」


 病気治療のポーションを作って渡した。

 しばらくはここに厄介になるとしよう。

 食事も出してもらえるようだし、生活するに必要な物は全て揃っている。


 ポーションを沢山渡して、ここの客になろうかとも考えたが、ラピアお姉様に不義理な気がしたのだ。

 金の関係のない肉体関係ならウエルカムだが、金の関係は姉妹になってくれた人に申し訳ない。

 恋人がいるのに風俗は不義理だよね。


 俺の二股は許そう。

 好きな人は何人いても良い。

 そう考える事にした。

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