第13話 不眠と、ジェット水流と、魔法のポーション

 隣のあの声がうるさくて眠れない。

 声を出すのは演技も多少入っているとの事。

 ラピアお姉様から聞いた。

 無反応だと客受けが悪いので演技しているらしい。

 どうしても大声になるのは、仕方ない事なのかも知れない。


 演技と分かっていても、もやもや、むらむらする。

 ここはご褒美タイムをやってすっきりしたい。


 エアハンマーは駄目だ。

 少し音がうるさい。

 隣の客が何事かと思ってしまうに違いない。

 シャワーはありだが、室内では使えない。

 風呂ならありだが。


 ありなんだが、シャワーもうるさい。

 誰か風呂に入って来ると致しているのが、ばれてしまう。

 娼婦にばれても差し支えないと言えば、差し支えないのだが、恥ずかしさはある。

 あの子、淫乱なのねと言われるのは勘弁してほしい。

 ラピアお姉様にそれが伝わると、何かこう別の性癖に目覚めてしまいそうだ。


 よし作ろう。

 うるさくなくて、そ知らぬふりできるのを。


 ある話を聞いた事がある。

 プールの水の吹き出し口はえっちだと。

 あそこの付近につい行ってしまうと。

 水を循環させるだけなら音もそれほどしない。


 ここの風呂は個室についている奴もあるが、従業員しか入れない大風呂もある。

 まだ、娼婦になってない見習いや、料理人などが入るのだ。


 魔法はこんなだな。


#include <stdio.h>

#include <conio.h>


extern MAGIC *magic_make(char *material,long material_size,int image); /*魔法作成*/

extern int mclose(MAGIC *mp);

extern void jet_move(MAGIC *mp);


char hot_water[1000]; /*お湯千ミリリットル*/

void main(void)

{

 MAGIC *mp; /*魔法定義*/

 mp=magic_make(hot_water,sizeof(hot_water),IMAGELIQUID); /*風呂のお湯を魔法に*/

 while(1){ /*無限ループ*/

  jet_move(mp); /*ジェット水流*/

  if(kbhit()) break; /*何か入力されたら止める*/

 }

 mclose(mp); /*魔法終わり処理*/

}


 さっそくポーション化する。

 作ったポーションを持って大風呂に行く。

 誰も入っていないな。


 風呂に浸かってポーションを飲む。

 うわっ。

 うわっ。

 き、きました、きたー、マッハ0.721 高度1919メートルですわ。

 振動がぁ。

 空中分解しそう。


 その時、風呂に誰か入ってきました。

 見習いの女の子が。

 止められない。


 女の子は体を洗い湯舟に入ってきた。


「お湯が動いている」

「ま、まほうを、つっ、つっ、つかっているのですわ。は、はだのろ、ろうはいぶつをき、きれいに流してくれるのです」


 気をしっかり持つのだ。

 俺はとろけきった顔で応対した。

 こんな顔を見られていると思うと更に興奮した。


「へぇ、そうなの」


 見習いが湯舟から出て脱衣所に向かう。


 き、きました、きたー、マッハ0.721 高度1919.44しっしんメートルですわ。

 ふう。


 ゆさぶられて起こされた。

 風呂に入りながら気絶してたらしい。

 風呂の縁に頭をのせていた俺グッジョブ。

 風呂で0721して溺死しましたなんてなったら、目も当てられない。


 このポーションは封印しよう、危険すぎる。

 親しい人がいる時にしか使えない。

 早く姉妹で風呂に入りたいものだ。


 冷たいシャワーを浴びて、自然治癒のポーションを顔に薄く塗って、風呂を出ようとしたら。


「それどんな魔法?」


 そう聞かれた。


「魔法のポーションですわ」

「私にも使えるの」

「ええ」

「少し譲ってもらえない」

「よろしくってよ」


 なぜかシャワーポーションと自然治癒ポーションが大人気になった。

 特に自然治癒は化粧品に最適らしい。

 小遣い稼ぎになったと言っておこう。

 シャワーを0721とか92に使っている娼婦はいないみたいだ。

 いやいるのかな。

 言わないだけで。

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