第9話 回復ポーションと、熊と、街

 回復ポーションだ。

 これはポーションらしいポーションといえよう。

 正統派だな。

 まず、体のバックアップをとる必要があるらしい。


#include <stdio.h>

#include <stdlib.h>

void main(void)

{

 system("copy チミキイリ.body チミキイリ.bbak"); /*体のバックアップを取る*/

}


 そして、回復だ。


#include <stdio.h>

#include <stdlib.h>

void main(void)

{

 system("copy チミキイリ.bbak チミキイリ.body"); /*体を治す*/

}


 両方ポーション化しておいた。

 よし、必要な物を収納して、いよいよ出発だ。


 洞窟の外に出ると、目の前にあの建物の大きさの熊。

 慌てて10メートル火球のポーションを飲んだ。


 太陽かと思われんばかりに輝いて、目をつぶって開けたら、熊が黒焦げになっていた。

 ナイフを使いなんとか魔石を採る。

 熊の死骸から皮を切り取って身に纏う事にした。

 生臭いがモンスター除けにならないかと思ったのだ。


 この目論見は成功した。

 ただしハエが飛んで来るのを失敗といわなければだ。

 あとでシャワーしよう。

 もちろん、ご褒美付きでだ。


 道までは簡単に出られた。

 エンゼルの記憶力は優れているらしい。

 道中の細かな木の特徴も覚えていた。

 おかげで迷わなかった。

 馬車の残骸があったから、この場所で間違いない。


 兵士の影はない。

 血の痕もない事から、あの時、兵士は全員が逃げたのだな。

 増援が来ない所からすると、エンゼルは死んだと思われているに違いない。

 とりあえずは安全だな。


 火球のポーションはまだある。

 一戦交えるのも、やむなしだと覚悟してたんだがな。

 エンゼルは冤罪だったと記憶にある。


 善人として生きるのはやめよう。

 だからといって悪には生きない。

 法に囚われず自由に生きる。

 そうしたいものだ。


 そう言えば移動手段が欲しいな。

 靴は履いているが、長時間、歩くのに適した靴とは言えない。


 車の代わりの魔法が手引書に載っていたから、ポーション化して飲む。

 魔法はこんな感じ。


#include <stdio.h>

#include <conio.h>


extern MAGIC *stone_wall_make(float mana);

extern MAGIC *air_cushion_make(float mana);

extern int mclose(MAGIC *mp);

extern void magic_straight(MAGIC *mp,char *orbit,int orbit_size);

extern void magic_move_lift(MAGIC *mp,char *orbit,int orbit_size,int height_cm,int gas_pedal);

int slide_touch(MAGIC *mp);

MAGIC *obj_make(long objsize,int image,int attri);

extern void magic_delete(MAGIC *mp);

extern void time_wait(long time_ms);


void main(void)

{

 MAGIC *mp,*mp_sw; /*魔法定義*/

 char orbit[10]; /*軌道データ*/

 int gas_pedal=0;


 mp_sw=obj_make(10,IMAGEBLOCK,HOLOGRAPHY); /*スライドボタン生成*/

 mp=stone_wall_make(0.003); /*石の板を作る*/

 while(1){ /*無限ループ*/

  gas_pedal=slide_touch(mp_sw); /*スライドボタンに触った位置を取得。触ってないは0*/

  magic_straight(mp,orbit,sizeof(orbit)); /*軌道真っ直ぐ*/

  magic_move_lift(mp,orbit,sizeof(orbit),100,gas_pedal); /*石の板を2メートル浮かして動かす*/

  if(kbhit()) break; /*何か入力されたら止める*/

 }

 magic_delete(mp); /*板を消去*/

 mclose(mp); /*魔法終わり処理*/


 mp=air_cushion_make(0.003); /*エアクッションを作る*/

 time_wait(60*1000); /*一分待つ*/

 mclose(mp); /*魔法終わり処理*/

}


 動く板に乗って、風を切る。

 もう熊の皮は必要ないな。

 皮を打ち捨てて、道を急いだ。

 深夜になるまでに着けるだろうか。


 飛んでいるから進みは早かったが、それでも街に着いた時は夕暮れになっていた。


「足税、銅貨10枚だよ」


 門の兵士にそう言われた。

 お金を持ってない。


「これで何とかなりませんか」


 俺は魔石を1個差し出した。


「お嬢さんの可愛さに免じて許してやるよ。ようこそ、領都ソレノイドへ」


 頭を下げながら、門をくぐって街の中に入った。

 門の兵士が怪訝な顔をしている。

 ああ、頭を下げる習慣がないのか。

 気をつけないと。

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