第6話 水魔法と、シャワーと、ご褒美

 そろそろ、攻撃のポーションをつくらないとな。

 その前に、湯あみを今まで普通にしてたはずだ。

 じゃあ、水の魔法なら。


「【魔力よ水を呼んで下さらないかしら】」


 やった成功だな。

 溶かす魔法とポーション化に続く第三の魔法だ。

 水魔法は1発で成功した。

 攻撃魔法も水ならできるか。


「【魔力よ水を呼んで、加速してちょうだいませ】」


 魔法は失敗した。

 駄目だ、何がいけないのか?

 何となく理由が分かる。

 エンゼルに動く水との接点がないからだ。


 湯あみで優しくお湯を掛ける程度ではな。

 激しく流れる激流のイメージがないと。

 水を汲むのは使用人がやっていた。

 魔道具の操作ぐらい自分でやれよと言いたい。

 そうすれば蛇口から激しく出る水でイメージが宿ったのにな。


 魔法というかイメージに縁のない娘だ。

 本を読んだり、勉強はしているから馬鹿じゃないんだよな。

 魔法学園でも座学は優秀だったと記憶にある。


 王子の婚約者に選ばれるぐらいだから、会話術もマナーもいけるはずだ。

 声を出す魔法とマナーの魔法はどんな所で役に立つんだよ。


 他の事もやらせろよ。

 魔法のイメージが固まるのは何歳までだろう。

 思春期までとかだったら、エンゼルは18歳なので、かなり絶望的だ。


 でもたぶん遅くともそれぐらいだと思う。

 ポーションはいけて、魔道具を作るのがいけないのは、なぜか考えてみた。

 エンゼルの感覚では魔道具は機械のイメージなのだろう。

 ポーションは細胞。

 たぶんポーションは体が治るから細胞のイメージなんだろう。


 エンゼルは機械の道具なんか触った事もない。

 はさみすら触った記憶がないのだからな。

 触ったのは食器と文房具だけだ。

 文房具と言ってもペンとインクと紙ぐらいだ。


 攻撃魔法は手引書に色々とサンプルがある。

 その中の簡単な物を選んでポーションを作ってみた。


 舐めると火の玉が飛び洞窟の壁を焦がした。

 火の玉が大きすぎだようだ。

 空気と壁が熱せられて、暑い。


 汗をかいたから、水浴びをしよう。

 そうだ。

 初、攻撃ポーション成功のご褒美をあげないと。

 何がいいかな。


 シャワーなんてどうだろう。

 シャワーでもろもろがスッキリ。

 いいんではないかな。


#include <stdio.h>

#include <conio.h>


extern MAGIC *shower_make(float mana);

extern void water_move(MAGIC *mp,int speed_kmh,int distance_mm);

extern int mclose(MAGIC *mp);

void main(void)

{

 MAGIC *mp; /*魔法情報*/


 while(1){ /*無限ループ*/

  mp=shower_make(0.000005); /*シャワーを作る*/

  water_move(mp,300,1); /*水魔法を時速300キロで動かす*/

  mclose(mp); /*魔法終わり処理*/

  if(kbhit()) break; /*何か入力されたら止める*/

 }

}


 シャワー魔法が出来た。

 水を作って、時速300キロで1ミリ動かす。

 作って一瞬加速するだけだから、肌に当たるまでには減速する。

 なので肌に当たっても痛くない。


 ふう、シャワーは気持ちいい。

 聖域も潤わせないと。

 き、きました、きたー、480シャワー.0721ノット、深度1919メートルであります。

 と止めないと。


 次々に波が、もうダメっ。


 気絶したようだ。

 シャワーは止まっていた。

 気絶するとポーションの効力も切れるんだな。

 これは覚えておかないと。


 ふう、一服したい。

 ご褒美の後のまったりタイムに何か飲んだりしたい。

 コーヒーでも良いけど、何かほしい。


 ここには水とパン以外ないからな。

 やっぱり街に行かないといけないな。


 それに

 話し相手も欲しいところだ。

 孤独はこたえる。


 一人になって1日も経ってないが、寂しさを感じる。

 これはエンゼルと俺の両方で感じている事だと思う。

 人は一人では生きていけない。


 姉妹を作ろう。

 妹でも姉でもどちらでもいい。

 一緒にまったりタイムを過ごせたら最高だ。

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