25話 母親

 初めての宇宙空間でワァーカ世界のオリコン帝国の艦船と戦ってみた経験から反省点を見直した。


 ハッピー号を防御に専念させる為に、今までの科学の防御スクリーンに魔石を使った防御スクリーンにしてハッピー号自体の防御力を高めて。ナナファーナが魔法で全体の防御に専念出来るようにした。


 魔法を使えないローランと乗組員の戦艦に追尾ミサイルに魔石砲弾を撃てるようにして、サビオたちが撃つレーザ光線には及ばないがそれに近い威力のレーザ光線を撃てる魔法具を創造の魔法で作り熱光線と交換した。


 改造した戦艦を試したローランはご機嫌で。


「皆の魔法みたいな威力で、これならもしかしたら敵の戦艦どころか旗艦とでも戦えるわ」


 調子に乗りそうなのでライナが。


「ローラン、調子に乗って又無茶をしないでよ。貴女が怪我などしたら姉として悲しいからね」


「はい、ライナお姉さん大丈夫です。もう無理はしませんから」


 それでもライナは疑いの眼差しで。


「本当かしら?・・・・・・・・」


 ナナファーナが。


「大丈夫よ。私が見張っておきますから」


「ええー!! 私ってそんなに信用無いの~」


 ガンジーが追い打ちをかけて。


「あんな自殺行為みたいなワープをしようとした猪武者の姫様を誰も信用していませんぞ」


 これには側にいた全員が笑ったのだ。


 ローランと魔法を使えない戦艦の乗組員たちは新しい装備になれる為の訓練をしている。




 ワァーカ世界の帝国からいつ攻撃してくるかわからないので、ナイトにはセブン号に残り監視を頼んで俺たちは白鳥城に戻った。



 白鳥城に戻ると母上から通信機に連絡がありワァーカ世界からの侵略者たちの目的などを聞いたが、直ぐに直接話を聞きたいと言い移転扉で移転して来た。


 母上は移転してくるとサビオに。


「あなた、お帰りなさい。無事でなによりです」


それから俺に今まで聞いてきたことがないのにワァーカ世界の事とオリコン帝国、バロン・デスト皇帝の事、マリサライ空軍部隊の事などを聞いてきたのだ。疑問に思って。


「母上、いつもはこんな事を聞かないのにどうしたのですか?」


「大事な息子や旦那様にその仲間の人たちがどういう状態か知りたかったのと、私でも何かの役に立てないかと思ったからよ」


「それなら良いのですが無理をしないで下さい」


「分かっているわよ。それよりも私も国政に関わるようになって思ったの。貴方は必ずワァーカ世界からの侵略者から此の世界を救うと思うわ。リュウトが忙しいのは分かるけれど貴方はアーレギ連邦国家の救世主で元首なのよ」


 そこで母上は言葉を止めて少し考えてから続きを話し。


「此処からは母親としてでは無く、アーレギ連邦国家の1国民としての願いを言うわ。貴方は周りの人たちに希望を与えているけど、その希望を大勢の人に与えて欲しいの。政治や行政はその道の専門家に任せても良いけれど、アーレギ連邦国家の国民にもっと触れて希望を与えて欲しいの」


 母上の言葉を聞いて母上こそ前世の聖母マリア様だと思い、彼女の子供として育てられた事に感謝して。


「母上、分かりました。此れからはなるべく多くの国民と触れ合う機会を増やします」


本来の俺は人と付き合うのが苦手で人と会う事の少ない物理学の研究者になったくらいだ。だが現在の立場はアーレギ世界唯一の国、アーレギ連邦国家の救世主と呼ばれ最高権力者の元首なのだ。


 母上に言われて今までの自分を反省してもっと大勢の国民と触れ合う事にしようと思った。


 その晩に嫁さんたちに母上に言われた事を話すとナナファーナが。


「確かにリュウトは、好きな事と必要な事以外は面倒くさがりですものね」


 ライナも同じように。


「そうよね、何処かに行く時も移転して行くから人と会わないし、考えてみると国民の殆どの人がリュウトに会った事が無いと思うわ」


 ローランが意見を出して。


「色んな所に視察に行けば?」


 考えてみればいつも仲間たちと一緒で、夫婦で旅行をしたことが無いので魔道車を使って夫婦だけで旅行を兼ねて各地を回る事にした。


 早速、旅に出る準備をし始めて、顔が見えるようにオープンカーの魔道車を創造の魔法で作った。オープンカーなら出会った人たちに顔を見せて挨拶出来るし、会話も出来るだろう。


 嫁さんたちは着替えなど沢山の荷物をマジックバックに入れて身軽な格好で魔動車に乗り込み皆に見送られて出発した。


 最初の目的地はドアイル帝国だ。

運転はライナがして、オープンカーは開放的で、ナナファーナが。


 「風が気持ち良い~。景色も見えるし良いわね。夫婦だけで旅行は初めてだから楽しいわ」


 ナナファーナとライナと結婚して5年になるがその間夫婦だけで旅行した記憶が無く、口では幸せにすると言いながら母上の言う通り周りが見えていなく、自分の好きな事をしていたみたいだ。


 これを機会にもっと周りを見て行動しようと思う。


 アーレギ街を出てオープンカーを走らせていると、堕天使との闘いの後の5年間で此の世界は急激に変わった。


まず、道路が整備されて各国や主要な街の間に幹線道路が出来、1日に数回だが魔動バスが運行している。


魔動列車の工事も進んでもうすぐ大陸縦断

魔動列車が走り出す予定だ。


 一部の裕福な人は魔動車を持っている。


 これは俺が前世の知識を使ってドワーフ魔道具職人と協力して冷蔵庫、洗濯機などの家電用品と魔動車を作り、普及し始めたからだ。


 そのせいで街中以外の幹線道路では魔動バスで移動するようになり、ほとんど馬車を見かけなくなった。


 これらの魔動車や家電品を生産する会社はアーレギ連邦国家の公営として、貧富の差を無くす為になるべく貧困層の人たちを雇っている。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る