24話、ハンドイが率いる諜報活動
ハンドイが率いる諜報係りは、最初はサスハとサイゾィの3人だったが今は、15人に増えて3つの隊に分け、諜報係りから諜報部になりゾンダイ公爵や天使教の動向や内部を探っているのだ。
いつもはハンドイ隊、サスハ隊、サイゾィ隊に分かれて活動している。
今日はヌケダガ・ゾンダイ公爵家を見張っていたサスハ隊から天使教会の牧師や関係者が集まり不穏な動きが見られると連絡があり。
全員がゾンダイ公爵家の近くにある林の中に集まっていたのだ。
サスハが状況を説明して。
「今まで、これだけ大勢の人数が集まった事はなく、天使教会の巫女と思われる女性が来ているのも初めてで、何か重要な話があるかもしれません」
ハンドイが暫く考えていた。
「屋敷の中に忍び込まないと分からないな。
俺とサスハが影魔法で忍び込む。残りは屋敷の周りに潜んで様子を見て変わった事があったら通信機で知らせてくれ。サスハ行くぞ」
影魔法とは、影の中に入ると影と同化してしまい。相手に見えずに動けるのだ。
二人は、屋敷を警護している者に見つかる事もなく屋根に音もなく飛び上がり、誰もいない部屋の窓など簡単に開けて影に潜みながら移動した。
大勢の人の気配のする部屋の天井裏に潜み、天井に小さい穴をあけて部屋の中を覗いていたのだ。
部屋の中は最初はガヤガヤしていたが、見た事のある腹の突き出たゾンダイ公爵が書類を持って部屋に来て上段の椅子に座り。
「静かに! 此れから会議を始める。
牧師1番、最近の状況を知らせなさい」
「はい、状況は我らの思い通りに進んでいます。どうやらオスガン王国の国王も我らの目的に気付いた様子ですが何の手も打てずにいるのでそろそろ動き出しても良いかと思います」
「牧師2番はどうだ」
「我々の調査では、王国の住民の大部分を天使教会の信者にすることに成功しました。
信者を人質にして王族さえ倒せばこの国は戦わずしてナチラス聖国の属国に出来ると思います。ギルドの組織は国から独立した機関で治外法権なので調べる事は難しいのですが今のところ何の動きも無く問題ないと思います」
ゾンダイ公爵が太った身体を揺すりながら
椅子から立ち上がり、得意満面の笑顔で。
「巫女様、お聞きの通りです。王族を倒して。わしが国王の座に就くことを事をお許しください」
上座に座っていたベールで顔を隠している巫女が静かに立ち上がり。
「ゾンダイ公爵、1か月後に手練れの者を王城に引き入れる事は出来ますか?」
「はい、大丈夫です。準備はお任せ下さい」
「では1か月後に、この国の王族を抹殺して予定通りゾンダイ公爵が王に即位してナチラス聖国の属国になるように取り計らいなさい」
天井裏に潜んでいたハンドイとサスハは、重要な情報を得たので目で合図して頷き合い。
音もなく屋根裏から抜け出して屋根に上がり影を伝って庭に降りた。
警備員が持っていた光を偶然にサスハに向けたので影が無くなりサスハの黒装束姿が見えてしまった。
警備員が驚き、笛を吹いて族が侵入したことを知らせたのだ。
ハンドイとサスハは、直ぐに影に同化して闇に溶け込み逃げ出した。
しかし、屋敷内に放たれていた凶暴な犬が匂いを嗅ぎつけて2人に迫り。
証拠を残したく無かったが鉄ビシを撒いて逃げると、追いかけて来た犬が鉄ビシを踏みキャーン、キャーンと悲鳴を上げている間に無事に屋敷の外に脱出する事が出来た。
外で待っていたサイゾィたちと合流して、屋敷から追いかけて来た警備員には姿を見られずに。
無事に隠れ家に帰る事が出来て鉄ビシの証拠は残したが重要な情報を得る事が出来て祝杯を挙げたのだ。
ハンドイが、サスハの姿が見えないので。
「ん? サスハの姿が見えないがどうした」
サスハ隊のメンバーが。
「サスハ隊長は、巫女の正体を探る為にゾンダイ公爵から帰るときに必ず通る道に潜んで、巫女の後を付けると言って途中で分かれて1人で引き返しました」
「あの野郎ー! 1人行ったのか。そこに気が付かなかった俺も悪いが・・・・・・」
その頃サスハは、巫女が帰る時に必ず通る道の見える茂みに身を潜めていたのです。
サスハが待ち続けて2時間後に、天使教会の馬車に乗った巫女が来たので影に潜んで後を追うと。
馬車は王都にある一番権威のある大きな天使教会に着き、天使教会の騎士に守られて中に入った。
サスハも教会の中に忍び込むと丁度、巫女が廊下を歩いている姿を見つけた。
巫女が一番奥の部屋に入ったのでサスハはその部屋の天井裏に忍び込み、天井裏に小さな穴をあけて覗くと。
巫女は頭巾を外したので顔を見ると、20歳位の綺麗な女性で服を脱ぐと背中に黒い羽根が生えていたのです。
巫女の背中に生えている黒い羽根を見て驚き声が出そうになり、慌てて手で口を押えたのだ。
巫女が天井を見たので、サスハは危険を感じてその場からいち早く逃走した。
幸な事に何事も無く、教会から抜け出したが背中に黒い羽根を生やした巫女は何者なのだろうと考えて、リュウト様に知らせなくてはと思い。
誰にも付けられないように影に溶け込み、何度も後を付けられていないか確認しながら隠れ家に戻ったのでした。
隠れ家に帰ると、夜中なのにハンドイが寝ずに待っていて。
「サスハ帰ったか! 大丈夫だったか、敵に見つからなかったようだな。単独行動はするなと言ったのに」
「すみませんでした。単独の方が動きやすいもので・・・・」
「今回は見逃すが、此れからは単独行動は禁止だぞ」
「はい、分かりました。それよりもあの巫女を追跡した所、王国の一番権威のある教会の巫女で人族と違いました」
「ん? 何だと! それで何族だった」
「何族かはわかりませんが、背中に黒い羽根が生えてました」
「もしかしたら、伝説の天使族か、いや、黒い羽根なら天使と違うな。んー? 絶滅したと言われる魔族かも知れないし、此れはリュウト様に連絡した方が良いな」
「はい、俺もそう思います」
「それにしても、良くやった。その教会は見張った方が良いかもしれないな。明日からサスハの隊は交代で見張って目を離さないでくれ」
「ゾンダイ公爵家はどうします」
「ゾンダイ公爵家はサイゾィの隊に見張って貰う事にするよ」
こうして諜報部の活躍により、天使教会とゾンダイ公爵の企みと王族を襲撃する時期を知る事が出来、通信機でリュウトに知らせる事が出来たのです。
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