35話、リュウトがナナファ―ナとライナを婚約者にする
僕たちが領地の城に移転して帰ると、城の見える丘には人だかりが出来ていて海には人を乗せた船が沢山出おり、不思議に思っていると、城の中から執事のギョウムが出て来て。
「リュウト様、最近は此の城を見るための観光客が増えて、海からの方が綺麗に見えるので漁船が観光船に早変わりして観光客を乗せて案内しています」
「えっ? 本当か!」
「はい、本当です。暇な漁師たちも臨時収入になると喜んで観光客目当てのお土産店も出来て賑やかになり領民も喜んでいます」
領地に観光客が増えて領内が豊かになるのは喜ばしいが、まさか自分の趣味で建てた自宅の城が観光資源になるとは思っていないかったので嬉しい誤算だった。
その日の昼過ぎに、諜報部のハンドイとサスハにサイゾィが来て、サイゾィが帝国の情勢と出来事を詳しく話し、聖国と帝国の間が険悪な状態になり。近く戦争が始るかも知れないと報告した。
聖国と帝国が争うと、オスガン王国が漁夫の利を得れて有利になるので僕は喜び。
「サイゾィ、良くやった。褒美に大金貨10枚を渡そう。それと空いている屋敷があるのでその屋敷も褒美に渡そう」
「ええー! 本当ですか。嬉しいー リュウト様ありがとございます」
次にサスハが聖国で見た事を報告すると。
「本当なら、聖国の教皇は人間ではなく何者なのだ。サスハすまないがもう一度、聖国に潜入してくれ。大聖堂に潜入するのは危険だから見張るだけで良い。何か気になる事があったらどんな小さな事でも良いから通信機で知らせてくれ」
「はい、分かりました。俺もサイゾィに負けないように頑張ります」
「うん、頼むぞ褒美は帰ってきたら渡すから、期待しておきなさい」
こうして、サスハは監視する為に聖国に舞い戻ったのです。
次の日に王国から連絡があり、至急に国王が会いたいと言った来たのだ。
移転して王城に行くと、いつものように執事のサバンが出迎えてくれ。
「リュウト様お元気で何よりです。ガンゾイ辺境伯より連絡があり。リュウト様の剣の腕が凄くて驚いたと言っておりましたぞ」
「うん、僕も自分で驚いたよ。それより国王の用事は何かわかるか」
「先日、バンダイ公国からの使者が来ましたのでバンダイ公国の事かも知れませんな」
「そうか。まっ、国王に会ったら分かるか」
案内された部屋に入ると、バイセラ国王の隣の椅子に虎獣人がいたのだ、国王が。
「リュウト様、呼び立てすみませんでした。紹介します。隣にいるのは、バンダイ公国の軍務大臣ザーガイ・ガオンです」
「リュウト龍神王様、初めてお目に掛かれて光栄に存じます。私はバンダイ公国の軍務大臣ザーガイ・ガオンと申します。この度はバンダイ公国を代表してご挨拶に伺いました」
「丁寧な挨拶痛み入る。だが僕は堅ぐるしいのが大嫌いなので普通に話してくれるか」
「ガッハハー リュウト様は噂通りに面白い方ですな。わしも堅ぐるしいのは苦手なのでありがたいです」
「バンダイ公国の様子はどうなんだ」
ザーガイの話によると、ナチラス聖国とは領地を接していないので今のところ何事もないが、帝国とは領地を接していて帝国は大陸を制覇しようとしてる野望を隠さず。
公国に侵攻しようとしているので対策はしているがリュウトに公国に来てもらい、助言をしてほしいと言い。
「公国の国教は、龍神教で国民のほどんとが龍神教の信者なので一度、訪問して陛下を始め主要な人と会って欲しいのです。お願い出来ませんか」
僕は今はまだ聖国と帝国には自分が龍神王と知られたく無いので迷ったが。
「僕が、龍神王だと知られない様に出来るのなら訪問しても良いが」
「おおー ありがたい。其れなら大丈夫です。リュウト様は、強いと聞いておりますが、わしも10年近く誰にも負けた事がありません。一度、手合わせてみたですな」
僕は獣人は魔法は使えないが、身体能力が強く肉弾戦に強いのは知っていた。
精神力はどうなのかと思い、威圧感を強めにして睨んでみると、ザーガイが顔を青くして脂汗を流して。
「ま、参りました! 聞いておりましたが。まさか、こんなにも強いとは・・・・もし手合わせしても、わしは瞬殺されるでしょうな」
「ザーガイも強いな、普通の人間なら意識が無くなるはずだ」
「何とか意地で持ちこたえました、良い土産話が出来ました。アッ、そう言えば、公国の第2王女のライナ様がリュウト様に世話になっていますが、父親のナルアン陛下からお転婆な娘だが末永く宜しくと、言付かっております」
僕は、(末永く???・・・・)ザーガイの言葉に爆弾を落とされた気分だったのだ。
こうして僕は、バンダイ公国を訪問する事になったのです。
今後に備えて連絡を取り合えるようにザーガイに通信機を渡してザーガイが退出すると、バイセラ国王が。
「ナナファ―ナとライナがお世話になっております。リュウト様は2人を女性としてどう思っておられますか?」
「2人とも、素晴らしい女性だと思っているよ」
国王は、アリラファ王妃に頼まれていたので。
「おーい! アリラファ来てくれるか」
隣の部屋からアリラファ王妃が現れて。
「リュウト様、お久しぶりです。ナナファ―ナとライナの2人はリュウト様に惚れ抜いております。リュウト様は2人を嫌いですか?」
「嫌いでは無いよ。二人とも綺麗で優しいし、大好きだ」
「それは、良かったですわ。では、2人と結婚しても問題が無いですわね。此れからは、ナナファ―ナとライナをリュウト様の婚約者として扱うように致しますのでご安心くださいませ」
僕は思いがけない展開に焦ったが、断わる理由も見つからず。アリラファ王妃の手管に掛かり、ナナファ―ナとライナが婚約者になったのでした。
調子乗った国王が。
「リュウト様とナナファ―ナの子供は、わしの後を継がせる予定です。子作り励んで下さい」
「結婚もしていないのに・・・・・・何が子作りだ~~~!! ・・・・・・」
僕の絶叫が王城に響きわたったのだ。
後で知ったが、女性に鈍感な僕に対して、アリラファ王妃にナナファ―ナとライナが相談して企てた計画だったのである。
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