37話、バンダイ公国で2

 バンダイ公国での2日目は、ナチラス聖国とドアイル帝国に対しての話し合いをしたのだ。

 今の情勢なら公国は帝国だけに対して対策をする事になったのです。


 訪問の目的である公国の軍を視察すると、軍には人族は主に文官が多く軍人は少なく、獣人族を主体にした部隊とエルフ族を主体にした2つの部隊があり。別々に訓練をしていた。


 視察して僕は、獣人族とエルフ族が別々の部隊になっているのでは、戦い方の幅が狭くなるので戦力が落ちると思い。


 軍務大臣のザーガイに何故、獣人族とエルフ族が別々の部隊になっているのか訳を聞くと単純な理由で。


「獣人族とエルフ族を分けているのは、戦い方が違うからです、それが何か」


「戦い方が違うからこそ、エルフ族と獣人族が一緒に戦うべきだよ。獣人族だけだと、最初から敵と力技だけで戦い味方の被害も多くなり、敵が有利になってしまう。


 エルフ族が加わると、弓と魔法での攻撃が加わり、敵と遭遇したら先に魔法で遠方から攻撃が出来、敵の陣形を崩して有利に戦え、次に弓で敵の先鋒に打撃を与えて。


 それから獣人族の得意な肉弾戦に持ち込めば、味方の被害も少なく敵と有利に戦えるはずだ。


 反対にエルフ族だけだと、接近戦になり敵に攻め込まれた時に、肉弾戦の弱いエルフ族の被害が多くなり状況が不利になる」


僕が説明するとザーガイが考え込み、暫くして。


「そんな風に考えた事もなかったです。

別々の方がお互い邪魔にならず戦いやすいと思って長年別々に戦っていました」


 僕が提案して。


「試験的に混合部隊を作ってみたらどうかな」


 ザーガイが、僕の意見を取り入れて混合部隊を作り、僕たちが攻撃の仕方や戦術を教えて訓練すると、獣人族とエルフ族がだんだん連携の取れた戦い方が出来るようになったのだ。


 魔獣の出る場所に行き実践で試すと、今までと違い、今まで手こずっていたB級魔獣を簡単に倒せて。


 獣人族だけの隊と混合部隊の隊を作り戦わせると、混合部隊の方が断然強く、混合部隊の方が戦力が高い事が分かり。


 今までの部隊を3部隊に分けて動きやすくして色んな場面を想定して訓練させるようにしたのです。


 訓練の様子と成果を見て、ザーガイが、ボソリと。


「なんで、こんな簡単な事を思いつかなかったのだろう」


「思い込みだよ。戦い方を色々考えて改善していかないと、敵に戦い方を覚えられて対策を立てられては勝てる戦いも負けてしまうからね」


「勉強になりました。此れからは戦術も勉強します」


 それからリュウトは、公国軍は3万人いるが人族が少なく、100人位なのでその100人を集めて魔道具の銃を渡して魔銃隊を作り、自ら使い方を教えて訓練したのだ。


 この魔銃隊が、後の戦いで敵の指揮官を狙い撃ちして大活躍したのは別の話だ。


 僕たちは、約1か月近くバンダイ公国で軍の立て直しと、訓練をして見違えるほど強くなった軍に満足してオスガン王国に帰る事にしたのです。


 帰る事が決まると、ナルアン国王が夫妻とリュウトとライナの4人で食事をすることになり、ルナシー王妃が。


「リュウト様、お転婆な娘ですがライナを宜しくお願い致します。長女のナイㇻは魔法の修行で山に籠って、帰るのが遅くなり紹介出来ませんでしたが。


 あの子もお転婆ですのでリュウト様を見たら私もリュウト様の奥さんになると騒ぐかも知れませんわ。オッホホ でも私が許しませんけれどね」


 ルナシー王妃の話を聞いたライナが怒り。


「姉妹で、リュウトの奥さんなんて絶対に駄目よ。お姉さんにはリュウトを合わせないわ」


 和やかに食事が終わるとナルアン国王が。


「リュウト様、お伝えしなければいけない事があります。私に付いて来て下さい」


 国王に付いて行くと、屋敷の外の大木の前に行き、国王が大木に手を押し当てると。


 大木の中に階段が現れ、その階段を降りると広い部屋があったのだ。


 部屋には天使、動物の龍姿の龍神王、今の僕にそっくりな人間の3体の像が飾られていた。


 国王が話し始めて。


「此処の部屋には正当なエルフ族の王しか入る事ができず。この像が龍神王様の三つの姿です。


 私たちエルフ族は天使族であった龍神王様夫婦の子供でして。正当な直系の子孫で、新しく此の世界に現れた龍神王様に真実を言い伝える者なのです」


 国王が真実の言い伝えを話し始めて。


 この世界を作られたラブシャーヌ創造の女神は神の規則により。この世界に直接手を出す事が出来ないのだ。自分の代わりに世界を管理する為に。


 この世界に2人の天使の夫婦に時別な力を与えて龍神王として遣わし。普段は姿を隠しているか、人間の姿でいるが、この世界に危機が訪れると姿を現して、この世界を守るのだ。


 2千年前に、天界の天使長がこの世界の管理を任せて欲しいと言い。どんな世界ににするのか聞くと、天使長は今の世界の生物たちの進化を早めて強い者の楽園にすると言ったのです。


 ラブシャーヌ創造の女神は人工的に進化をさせずに生物たちが自然に進化し、自分たちの力で生きていく事が良いと思っていたので天使長の願いを断った。


 だが、その天使長は同志を集めて反乱を起こし天界を乗っ取ろうとしたのだ。

 だがラブシャーヌ創造の女神に破れ、力を弱められて天界を追放されて堕天使になったのです。


 その追放された堕天使は、時間をかけて力を付け、前回の失敗にも懲りずに、ラブシャーヌ創造の女神が直接手を出せない事を良い事に。


 再び此の大陸を自分の思いのままにしようと動き出してたのだ。


 それに対処する為に新しくリュウト様を龍神王としてこの世界に遣わされたのです。


 エルフ族が長生きなのは、伝承を正しく伝える為で。顔立ちが綺麗なのは天使である龍神王の子孫だからだと言い最後に。


「もうお判りでしょうが。ナチラス聖国のサリスン・ナチラス教皇こそが天界を追放された堕天使で諸悪の根源なのです」


 と言い、長い話を終わらせたのでした。


 僕が話を聞き終わり立ち上がると、天使の像が輝き僕の身体に吸い込まれて、僕は天使の姿になると、強力な聖の魔法が使える事を知らされたのです。


 この世界の真実と自分、龍神王の正体を知った僕は、ナチラス聖国のサリスン・ナチラス教皇こと。堕天使と戦い倒すことを決意したのであった。










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