第3話、貧民街から出る
その晩に貧民街にある自宅の3畳位の狭い部屋で僕は、もう一度自分のステータスを確認してみたのです。
自分は、人族では無く。今では幻の種族と言われている龍人族で創造の神の加護持ちで。
全魔法を使える創造の魔法を使いと表示され、前世の記憶にあるラノベ小説と同じなら凄すぎて信じられずにいた。
誰かに相談したかったが、周りには相談する人が思いあたらなかった。
しかしお母さんと年に数回訪れる龍神教会の司祭様を思い出して、あの司祭様なら龍人族の子孫なので信用出来ると思い。
相談する事にしたのだ。
次の日の朝にお母さんに。
「お母さん、今日は久しぶりに龍神教会にお参りに行って来るよ」
「そうなの、リュウトが一人で行くのは初めてで珍しいわね。司祭様に宜しく伝えて頂戴ね」
僕は、龍神教会に向かい歩きながら、王都には500年前には沢山あった龍神教会が今では、今から行く教会の一つしか無く。
代わりに其れ迄なかった魔法、能力、職業を授ける天使教会が増えた事を不思議に思った。
図書館の歴史の本にも、その事に関して何も書いてないので分からなかったのです。
龍神教会に着き礼拝堂に入ると、龍が空を飛んでいる絵が飾ってあった。
絵に向かって願い事などはせずに、無心で手を合わせて礼をしていると何度か会った事のある司祭様が出て来た。
僕は、司祭様に向かい。
「司祭様、御無沙汰しておりました。お元気でしたか」
「私は、相変わらずだがリュウトは変わったな。身長も伸びてまるで別人だ。所で何かあったのか」
「はい、相談したい事があって司祭様に会いに来ました。宜しいでしょうか」
「そうだな、此処では何だから私の部屋で話を聞こうか」
司祭様の部屋に行くと部屋には初めて会う恰幅の良い男性がおり、司祭様が紹介して。
「この方は、龍神教会の支援者でサイラス商会の会長で私の親友のバリサン・サイラス氏だ。彼が教会を改築してくれたのだよ」
「初めまして。僕はリュウトと言います。
宜しくお願い致します」
「ほぅー! 大きくなられて小さい時とは別人ですな。私はバリサン・サイラスと言いますが宜しく」
リュウトは、二人の壮年の男性に何故か親近感を覚えた。
自分が来るのが分かっていたみたいな2人を不思議に思えて。
「もしかして今日、僕が訪ねて来るのを分かっていたのですか?」
司祭様が真面目な顔つきに成り。
「私は司祭では無く龍神教会の司祭長で
ザガント・ガリラヤと言います。此れからはザガントと呼んで下さい。私もバリサンも龍人族の子孫で陰からリュウト様を小さい時から見守って来た者です」
僕が、自分のステータスを見れた事を全部話すと。
話を聞き終わった、司祭長のザガントが幻の種族の龍人族の話をしたのです。
それによると、龍人族の子孫たちが各国にいて、龍人族は創造の女神様から此の世界を守る為に2千年以上前に天界から派遣された種族で。
此の世界と神の住む天界に危険が迫った時に現れると言い。
「リュウト様、ステータスも龍人族と知られ事の無い様にして平凡な人族として過ごして下さい。創造の魔法でステータスや種族は隠す事が出来ます。成人の儀に臨む時は必ず隠して下さい」
商人のバリサンが続いて話をして。
「今は、細かい話をすることは出来ませんが時が来たなら、私たちが言わなくても分かるでしょう。其れ迄は力を付ける為に王立学園に入学して魔法と剣の勉強と訓練をして実力をつけて下さい」
僕は、相談に来たつもりだったのに龍人族の子孫で司祭長のサガントと商人のバリサンが全てを知っていて、思わない方向に物事が進んでしまい。
どうすればいいか悩んでしまったのだ。
王立学園に入学するに当たって、明日にも保護者のお母さんに話す事があるので訪問すると言われて自宅に帰ったのです。
家に帰るとお母さんが、帰りが遅いので心配して。
「リュウト遅かったわね。何かあったの?」
「うん。お母さんは司祭長の事を知っていたの? 司祭長の知り合いの商人でサイラス商会の会長でバリサンさんも居て。
色々と話をして僕に王立学園に入学するように言われたよ。どうしたら良いのかな」
お母さんは、暫く考えていたが思い切ったのか。
『リュウト、貴方に大事な話があるの、聞いてくれる』
「ん? お母さんそんな真面目な顔して何の話なの」
お母さんは自分の過去を話して子爵の側室だった事、子爵が亡くなると後を就いた長男に娼館に売られた事などを話した後に。
「あのね、リュウトは私の本当の子供じゃないのよ。貴方は赤ちゃんの時に捨てられていて私が拾って自分の子供として育ててきたのよ。私は昔、娼婦だったのよ。今まで隠していてごめんなさい」
僕は、龍神教会での事と言い、お母さんの告白で自分は捨て子で孤児だった事を知り。
今日の余りの出来事に驚いてしまい。実年齢39歳の精神で何とか持ちこたえ。
「そうなのだ。でも、 僕に取ってお母さんは世界に1人しか居ない大事なお母さんだよ」
お母さんは、僕の言葉に目を真っ赤にして涙を流して、泣き笑い。僕を抱こうとして逆に抱かれてしまい。
「ウッ ウッ この間まで小さくて抱いていたのに、いつの間にか私より大きくなって私が抱かれてしまう様になったわね。ウッフフ」
次の日に司祭長のサガントと商人のバリサンが訪ねて来て家を見て。
「うーん! 此れは流石に不味いな。王立学園に入学するならやはりもう少しましな所に住んで貰わないと」
2人で話した後に狭い家に入り、お母さんも交えて話し合い。
王立学園に入学する為の用意と費用は、商人のバリサンが面倒を見るからと言い。
僕がそれは申し訳ないので学園に入学せずに冒険者に成ると言うと。
バリサンは、お金は上げるのでは無く貸す事にして学園を卒業したら少しずつ返す事、要するに前世の奨学金になったのです。
それから数日して、今の家から引っ越す事に成り。
バリサンが用意した家に行くと、其処は龍神教会の近くの僕が捨てられていた孤児院と子爵の屋敷だった。
お母さんも驚いて、孤児院はともかく元子爵の屋敷に住む事に嫌な思い出の屋敷なので嫌だと言うと、バリサンが。
「子爵家は、禁止されている人身売買がばれ。処刑されまして此の屋敷と孤児院を私が買い取り屋敷は改装しましたから、中を見て下さい」
言われて屋敷の中に入るとお母さんは。
「以前の屋敷と違い、過剰な装飾も無く子爵家だった頃とはまるで別な屋敷みたいだわ。以前は孤児院と別棟だった孤児院ともつながって明るくなって良いわね」
「でしょう。マリシャーヌさんには孤児院の院長になって頂き孤児たちの面倒を見て貰いたいのです。勿論、孤児院の運営費は私の商会で負担して此れから雇う従業員の給料も補償いたしますがどうですか」
お母さんは子供が大好きなので目を輝かして。
「本当に私が院長で良いのですか? 条件はあるのですか」
「条件は孤児たちを一人前に育てて1人で生きて行けるようにする事だけです」
「それだけなら。良かったら頑張りますので私に院長をさせて下さい」
こうして、僕たち親子の新しい住まいとお母さんの孤児院の運営の仕事が決まったのでした。
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