第6話、王立学園の入学式
僕は、試験の合格者の発表で1位で合格した事を知り、自宅に帰るとお母さんが真っ先に。
「リュウト、試験の結果はどうだった」
「1位で合格したよ」
「い、1位で合格したの?・・・・」
「うん。座学と実技の両方ともそうだよ」
お母さんが驚いていると、後ろにいた司祭長ザガント、豪商バリサンの二人が当たり前の様に。
「リュウト様ですから。うん、リュウト様だからね」
その晩は、孤児院の保母、孤児たちも集まり屋敷の大広間で僕が王立学園の入学試験に合格したお祝いパーティーをしたのです。
保母の2人が僕に声を揃えて。
「リュウト様 合格おめでとうございます」
「ありがとうー ササリン、ユリア。
ん? ササリン今日は髪形をアップにして、いつもと感じが違うね」
「リュウト様 私はユリアですわ。いつになったら覚えてくれるのですか? 子供たちはちゃんと見分けてくれるのに」
「ゴメン、そっくりの双子の君たちは僕には見分けがつかないよ」
「見分け方は、胸が大きい方が姉のササリンの私で胸の小さいのが妹のユリアですわ」
「ササリン 酷い。何て言う事を言いうのよ」
僕は、顔を赤くして2人の胸を見て。
「大きさがそんなに変わらないし。女性の胸を見るのは、失礼だから無理 今日みたいに髪形を変えてユリアがいつもアップにしてくれたら見分けがつくのに」
「分かりました。此れからは妹の私ユリアが此の髪形にします」
双子で保母2人の胸を見て顔を赤くしている僕にお母さんは。
「子供だと思っていたリュウトも成人して異性に興味を持つようになったのね」
と呟いたのは、誰にも聞こえる事は無かったのでした。
今日は、王立学園に入学する日です。
王立学園には寮もあり、殆どの生徒は入寮するのだ。
学園から徒歩圏内に住む生徒は特別に通学を許されているので通学する事にしたのです。
入学式は、講堂で行われるので講堂に行こうとした。係りの人が呼びに来て学園長室に連れて行かれて。
園長室に入ると、部屋には園長とナナファーナがいて園長が。
「リュウト呼び立ててすまなかった。入学式の新入生代表の挨拶は本来は入学試験1位の入学者がするのだ。平民の君がすると貴族たちから色々と言われて君に迷惑が掛かるので、ナナファーナさんに変わって貰えないだろうか」
「えっ? そうなのですか。 僕も余り目立ちたくないのでその方がありがたいです」
「ナナファーナさん。そう言う事で新入生代表の挨拶をお願い出来ますかな」
「本来は、学園内は平等なのでリュウト君がするべきですが・・・・分かりました。引き受けます」
園長室を出てナナファーナと入学式の会場に歩いているとナナファーナが。
「ねぇ、リュウト君、平民だからと差別されて悔しくないの」
「別に悔しくないよ。これ以上目立ちたくないから有りがたい位で、それに僕みたいなむさ苦しい男よりナナファーナさんの様な綺麗な美少女がした方が良いと思うよ」
リュウトに綺麗な美少女と言われてナナファーナは顔を赤くして。
「えっ? 私が綺麗な美少女・・・リュウト君の方が綺麗な顔立ちなのに・・・・」
入学式の会場に着くと2人は別れて別々の席に着き。入学式が始まり最初に3年生の生徒が歓迎の挨拶をして次に学園長が挨拶をし始めて。
「新入生の諸君! 先ずは入学おめでとう!! 此の学園は優秀な人材を育てる事を目標にしており。学園内では貴族や平民の身分で差別せずに平等の立場で接するように、自分の目標に向かって勉学に励んでくれたまえ」
学園長の挨拶は、要点だけの簡素なもので良かったのです。その後の来賓の貴族たちは自慢話を長々として、生徒たちはウンザリしていたのです。
最後にナナファーナが新入生代表で。
「本日は、私たち新入生の為の入学式に御参加頂き誠にありがとうございます!新入生一同、諸先生、先輩の指導の元、勉学に励み皆様方の期待に添えるように頑張る所存でございます。お指導ご鞭撻のほどよろしくお願いいたします」
こうして入学式は無事に終わり。新入生たちは入学試験の成績の上位順にAクラス20人、Bクラス25人、Cクラス25人、Dクラス30人の4クラスに分かれて教室に向かったのです。
僕は受験生成績が1位でAクラスなのでAクラスの教室に入ると。
真っ赤な髪の毛をツンツンに立てた男子生徒が、近づき。
「君が入学試験1位の平民か僕は3位だったダンライ・ランキンだ。必ずお前を抜いて1位で卒業するからな」
「僕は、リュウトと言います。此れから宜しくお願いします」
ダンライは、リュウトを無視して自分の席に戻って行き取り巻きと思われる男の生徒が。
「おい、平民如きが公爵家のダンライ様に気安くするな」
僕は、その生徒を迷惑だと思い、少し睨みつけると生徒は顔色を青くして後ずさり席に戻ったのだ。
「リュウト君、殺気を放っては駄目ですよ」
振り返るとナナファーナが後ろにいたので。
「あっ、ナナファーナさん。おはようございます」
「おはようございます。朝から殺気を放ってどうしましたの」
「殺気? 殺気を放ったつもりは無いのですが」
「無意識みたいね。リュウト君は魔力量が多いみたいだから、殺気とは魔力量の多い人が放つ威厳みたいな物なのよ」
「そうなのだ! 知らなかった。此れから注意する。教えてくれてありがとうございます」
その時、眼鏡をかけた女性が壇上に来て。
「諸君! おはよう。君たちの担任する事になった魔法学が専門のレラシオ・シオーラィです宜しくね。それでは順番に自己紹介して貰おうかな」
入学試験の悪い順番から自己紹介が始まり。上位から8番目の男性が何故か僕を睨んで皆を見下した感じで。
「俺は、ゾンダイ公爵家の長男ガクトイ・ゾンダイで職業は剣士で火の属性だ、宜しく」
あの真っ赤なツンツン髪の生徒が。
「僕は、ランキン公爵家の長男でダンライと言います。職業は剣士で水の属性です。皆さん宜しく」
ナナファーナが自己紹介して。
「私はオスガン王国、第一王女のナナファーナ・オスガンです。学園内では王女では無く皆さんと同じ、一生徒として接して下る事を、お願いします。職業は王族で水の属性です」
僕はナナファーナが王国の第一王女と知り驚いたのだ。
最後に僕の番になり。
「僕は、希望孤児園の園長の息子でリュウトです。平民です。宜しくお願い致します」
今迄は、自己紹介が終わると全員が拍手をしていたが、リュウトの時は公爵の息子のガクトイが「平民の癖に」と言い。
拍手をしたのは半分位で前世の記憶のある僕は、やはり前世の学校と違い、此の世界は身分差社会だと痛感したのでした。
担任のレラシオ先生が。
「此の王立学園内では、身分に関係なく生徒は平等です。身分を笠に着た行動は許しません。目に余る行動を取る生徒はどんな身分の生徒でも退学の処分もあるので注意するように、皆さん分かりましたね」
その日は、それで終わり。次の日から午前中は座学、午後から実技の授業が始まると言われたのです。
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