概要
人間きぬは、天狗の妻である。
記憶もなく、傷だらけで山中を徘徊していた折、義真――通称天狗先生に助けられたのだ。
程なくして二人は夫婦になり、山を下りて帝都へと向かう。
きぬの過去を唯一示すのは、楓の紋が入った巾着だけだった。
きぬはもう、己の過去など必要ないと思っていた。それなのに、天狗先生は人間の街で仕事がしたいだなんて言い出した。今までみたいに、お山に籠って論文や小説を書き、時々山に入って薪を集めて来てくれれば、それでよかったのに――。
★エピソードについて
一話毎に完結しますので、お気軽にご覧いただけると嬉しいです。
★世界観について
ほとんど日本ですが日本ではありません。
どこかの島国です。
★Ψ
どうでもいい情報ですが、鳥の足です(笑)
ちなみに、この世界では天狗の
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- ★★★ Excellent!!!天狗さまとの異類婚姻譚! 大正浪漫ファンタジーを召し上がれ!
こちらは「第9回キャラクター文芸」の最終選考に残るほどの優秀作品です。
食べることが好きな主人公のきぬさんと、口下手な天狗の義真さまのほんわか夫婦のやりとりが癒されます。
人と天狗のいる共存世界で、大正時代を思わせるどこか懐かしい日本のような島国。妖と戦うバトル系の話ではなく、しっとり大人のファンタジーです。個性的で魅力的な脇役たちも交えて悲喜こもごも、小さな騒動があります。
記憶を失ったきぬを助けて暮らすうちに、お互い惹かれあって結婚するのですが……。
天狗の義真さま、最初はきぬとの結婚をためらっていたのです。なぜなら一度、人と結婚したことがあるから。義真の暗い過去が徐々に紐解かれ…続きを読む - ★★★ Excellent!!!笑って、泣いて、また笑う。天狗と人の素敵なご夫婦の物語です!
あんみつと緑茶を用意して読みたくなる、とても素敵な物語です!
少し前の日本に似た世界。そこで繰り広げられる日常の風景。
ひとつ違うのは、この世界には天狗さんが一緒に暮らしているのです。
この世界にも人種(?)差別はあるし、男尊女卑もあるけれど、それに負けない人たちがいる。
一番素敵なのは、この物語の空気感でしょうか?
ほのぼのしていて、クスッと笑えるのに、時に悲しく、とても優しいのです。
目に浮かぶような情景描写。個性的な登場人物たちが織り成す物語の見事さと言ったら、もう脱帽してぺこりと頭を下げたくなります。
無表情で不器用な天狗先生と、ほのぼの妻きぬさん。
お二人の物語で、ぜひ癒されて…続きを読む - ★★★ Excellent!!!登場人物の名前を自然と親しみをもって覚える作品
文明開化の少し後、人間と天狗の共存は進んでいるようでそうでもない頃、
街に下りて暮らし始めた天狗と人間の夫婦。
明治大正の時代感は、天狗という存在と合って雰囲気があり、周りにも賑やかな人物が登場して楽しさをすぐに感じます。何も考えずに読んでも楽しい。
楽しい楽しいと読み進めていると、
天狗先生、結婚は二度目なんだった、きぬは記憶を失くしているんだったことがいつの間にか深く刺さってきます。
でも楽しい楽しいと読み進める、さらにどーんと深く刺さっている。
そんな物語だと感じました。
素晴らしいエンディングです。
幾つかのエピソードがまとまった1話毎に完結してゆき読みやすいので、未読の…続きを読む - ★★★ Excellent!!!天狗は怖い? いいえ、優しい隣人です。
真っ赤な顔に高い鼻、黒い翼。誰もが知っている天狗のイメージをひっくり返す作品がここにあります。
本作には怖い天狗は登場しません。むしろそのイメージをいい意味で裏切る天狗ばかりです。無口で不器用だけど優しかったり、あんみつやミルクコーヒーが大好きな甘党だったり、そんな愛らしく茶目っ気のある天狗が多数登場します。彼らが織り成す日常風景はコミカルかつほのぼの。人間と天狗という種族の違いを感じさせない暖かな物語を展開してくれます。
舞台は明治から大正ですが、時代を感じさせる風情ある描写が満載で、古き時代にタイムスリップしたような気分にさせてくれます。シリアスな場面で描かれるしっとりとした情景描写は…続きを読む - ★★★ Excellent!!!天狗の紳士と人間の乙女、お上品なラブストーリー!
寡黙(ホントになーんにもしゃべらない)で不器用な天狗紳士と、ぼんやり気味(天然?)だが気立ての良い人間乙女の夫婦物語。ほのぼの日常生活と思いきや、ご近所・実家トラブルで波瀾万丈……!?
美しく丁寧な文章で綴られる情景描写は、まるで噛めば噛むほど味の出る絶品料理、まさに芸術といえるでしょう。ほっこり甘々ではありますが、キュッと心臓の引き締まるような上品な胸キュンが味わえます!
翼は口ほどにモノを言う——。
日頃寡黙な天狗さんが見せる微々ながらかわいらしい仕草も必見!そっけないように見えて、実はあっつーーい想いを秘めていたり……?♡
甘々すぎない人外恋愛、オススメの傑作です! - ★★★ Excellent!!!天狗と人の夫婦が織りなす美しく温かな物語。読まないのは勿体ない!
舞台は人と天狗が共に暮らす世界。人付き合いが苦手な天狗義真は山道で記憶喪失の女性きぬを見付け、夫婦になったというところから物語が始まります。二人がであった経緯や、里で出会う人々とそこで起こる(珍)事件が美しい言葉で語られていきます。
大正ロマンを感じる時代背景と、個性的で愛さずにいられない登場人物、朝ドラを彷彿とさせるほんわかとした世界と美味しそうな甘味達。読んでいると、ふるさとに帰って懐かしい人々と会話しているような温かな気持ちになりました。
ずっと記憶に残り続けるだろう、素敵な物語。読まないのは勿体ないですよ! - ★★★ Excellent!!!これは「文学」であり、「芸術」である。
この物語は天狗の妻である、人間の”きぬ”との関係を描いた作品です。
ハッキリ言います。とてつもないです。
綴られる文章はまさに「文学」と形容するに相応しい。決して平易な言葉だけで収まらないが、初めて目にする単語や漢字でも前後の文脈から何故か理解できるし、情景もあかあかと浮かびあがる。
不思議で仕方なかった。
それば時代設定(背景の設定)などが作りこまれているためか。
それとも心理描写が秀逸で胸をざわつかせる「何か」があるためか。
きっと答えは「全部」。
でも私はその「全部」をまだ知らない。
ミロのヴィーナスが永遠の美であるように。
この「文学」は、まさに「芸術」である。