砂竜とともに砂漠で生きる、白の氏族。
その族長に嫁いだのは、自由に憧れる変わり者の王女でした。
主人公のラフィアは、皇女でありながらも、自由に憧れる一人の女性。世界観を考えれば変わり者。しかし、現代に生きる私達から見れば、等身大の女性として映るでしょう。知らない土地に心躍らせ、砂竜との交流を好み、そして一人の女性として恋をする……
この恋の描写なんですが、トキメキより安心、落ち着きを大事にされてるんだろうと思います。
ラフィアとアースィムは夫婦です。やはり夫婦であれば、相手を信頼して一緒に同じ時を過ごせる間柄の方が理想的。二人の愛は、ドキドキの恋というよりは、信頼と絆を感じます。読んでてとても心地好い間柄です。
そんな二人を引き裂く事件、そしてラフィア自身に襲いかかる苦難……最後の選択は、アースィムを想うが故のこと。
お互いを想うからこそのラストには、「あぁ、よかった」と心から思いました。
同じ砂竜族シリーズの「砂竜使いナージファの養女」と関連付けて書かせていただくので、この御作品単体のレビューとしては不適切かもしれませんが、どうかご容赦ください〜m(_ _)m
水と砂にまつわる、竜、そして精霊が鍵となるこのダイナミックな世界観・死生観が通底する「ナージファの養女」「アースィムの訳ありな妻」、二つの御作品においてそれぞれ新鮮な切り口で、目覚ましい映像美を想起させる場面によって描かれている様は脱帽の一言です。
「ナージファ」の「黒の章」、「アースィム」の「死闘」、どちらのクライマックスも圧巻です!
作者様の文章の繊細さ、構成の緻密さはもちろんのこと、ストーリーの軸や登場人物の行動原理が、ブレずに駆け抜ける力強さを印象的に感じました。
二つの御作品は時代こそ大きく異なれど、やはり脈々と受け継がれるものが彼女ら、彼ら砂竜族をそうさせるのだと思わずにはいられません。
いずれもタイトルにはその名を冠されていない、主人公のアイシャさんやラフィアさんも、容姿・性格・出自、所属する氏族すら異なるにも関わらず、世界を巡るに足る器とでも呼ぶべき、一種独特の逞しさが、魅力として共通しているように思います。
ラフィアさんに至っては厳密には砂竜族ではない降嫁した皇女、どころか◯◯◯の◯なのですが、彼女も砂竜族としての精神性を確かに共有しておられる…やはり「水となり世界を循環している」、これに尽きるのではと思われます。
もちろん「訳ありな妻」は単独で面白い御作品なのですが、かと言って「ナージファの養女」を読まれないのは勿体ない…できればどちらも、なんならまずどちらかでいいので読んでいただきたい…そんな気持ちで書いたら、よく分からないレビューになってしまいました…汗 とにかくおすすめの御作品、そしておすすめのシリーズです!
水に恵まれたマルシブ帝国の皇女ラフィアは、水と会話が出来ると噂のちょっと変わった皇女。
生まれ育った後宮では少し窮屈な思いをしていたラフィアですが、降嫁して砂竜族の族長の妻となります。
初めての砂漠での暮らしはラフィアにとって新鮮そのもの、いろんなものに興味を持つのですが、夫となったアースィムはあまりラフィアに関心がない様子で……?
この作品は作者様の描かれる人気シリーズ『砂竜使いナージファの養女』とおなじ世界で、過去の時代のお話です。
他の砂竜使いシリーズをご覧の方はもちろん、今作品が初めての方のもおすすめです。
広い砂漠と砂竜、そこに住まう人々、繊細で丁寧に綴られてゆく描写に魅了されると同時に、この先なにが起きるんだろうというワクワク感。そしてラフィアとアースィムの愛。
心優しく、純真な皇女ラフィアを応援したくなること間違いなしです!
帝国の忠臣・砂竜族の白の氏族長アースィムに降嫁した皇女ラフィア。
ちょっと不思議な力を持った変わり者皇女さまは、初めての砂漠に住むことに対する不安もなんのその! 今まで感じたことのない砂漠の空気の熱さや感触、新しい土地での生活にワクワクしちゃう、前向きな女の子です。
そんなラフィアの夫アースィムは、なぜか妻に対して壁がある美男子(ここ重要!)。
ラフィアはモヤモヤしつつも、自分の居場所を作ろうと奮闘するのです。
いつもながら、風景描写や心理描写がとても丁寧。
ラフィアの気持ちに寄り添いながら、砂竜族でのあれこれを楽しめます。
可愛くて頼りになる砂竜がいじらしくって、幼竜がこれまた可愛くって!
アースィムの抱える事情はおそらくまだ深く、オアシスでの出会いが誘う運命が明らかになるのもこれからでしょう。
今後の展開に、そして溺愛の加速に! 期待大な作品です。
ぜひラフィアと一緒に、アースィムと砂竜のいる砂漠へ踏み出してみてください。
お勧めします(^^)/!
皇女ラフィラは砂漠の遊牧民に嫁入りしました。でも、夫は他人行儀な態度で夫婦としての関係を築いてくれません。
ラフィラには不思議な力があるのですが、その為後宮では誰かと親しくなることもなく、寂しく窮屈な生活を送っていました。砂漠での生活は好奇心旺盛なラフィラに希望を与えるものでした。でも、そんなラフィラの気持ちを知らず夫のアースィムは・・・。
飾らないまっすぐな性格のラフィラは素敵な女性です。こんな素敵な女性が傍にいるのに、アースィムったら!と途中イライラしてしまいます。イライラしちゃうくらい、ラフィラに感情移入させられてしまうのです。
磁器のように繊細で優美な文章は、砂竜と暮らす砂漠の生活を生き生きと描き、そこで交わる二人の心を鮮明に浮かび上がらせるのです。
心躍る恋愛物語。是非沢山の方に呼んでいただきたいです。
皇女ラフィアは、後宮《ハレム》で育った。権力闘争に興味はなく、願いは、自由。
後宮を飛び出して、物語でしか知らない、広い世界を見てみたい……。
このたび、手柄をたてた白の族長に「褒美」として皇女ラフィアは降嫁した。
さあっ! 楽しい砂漠生活よ!
わ! 砂竜! 触りたい!
んまあ! 糞! え? 燃料なんだ。じゃあ掴み上げて……。
なんで、美形の夫は、優しい表情だけど、こんなによそよそしいのかしら?
夫婦の温かい心情のつながりなんて、感じない……。
くすん。
自由に強く生きようとする皇女ラフィアが可愛らしく、応援したくなってしまいます。
恋愛がなかなか進まず、じれじれします。
性描写チェック有りのこの物語。
ベッドインというより、心のこもったキス、という表現が近い気がいたしますが、とっても。
とって───も!
表現が素敵です。うっとりします。
おすすめですよ〜。
ぜひ、ご一読を!