遠い地から 第14話


ファーストストーリー 幕末


時は終わりを告げようとしている

錆びかけた刀のように

時代を思う者たちの時代だった

想う者達の時代でもあった

光と影

その中に存在するものとは

サチヨも想う一人の男

沖田聡司という男

サチヨは沖田のさ迷う姿を不安に思い

斉藤と共に行く道はある宿屋だった










挿入











・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

セカンドストーリー 昭和高度成長期


遠い空に黄金色の世界がある

友恵は何を想うのだろうか

身を引くという悲しみと大作の幸せを祈る

なぜ、右腕になれなかったのだろうか

大作の想いを感じながらも


すみれの髪は夕日に染まる黄金色

しかし、心は悲しみの色

階段を降りる音は空虚な音

音は自らの罪深さの音

大作への想い

右腕になれるのだろうかという不安

それこそがすみれの想い

さよならは友恵だけでいいのだろうか


大作は二人の優しさに包まれながらも

悲しみにも包まれている

闇の色からは逃れれるも

現実から逃れることが出来ない

失ったものは右腕だけではなく

友恵の残像の存在のない存在

大作は心すら失ったのかもしれない


遠い空の黄金色の世界は黄金色には輝いていなかった



友恵さん 友恵さん

それはないです




大作さん

ごめんなさい

私は

右腕になれませんでした

それだけが悲しいです

大作さん すみれさん

私はどうすればいいのですか




友恵さん すみれさん


僕は・・・

何も言えない

道がわからない



それぞれの想いは進むべき道が見えなかった




挿入





・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


サードストーリー 現代



ポートレックの願いは家族へ届くのだろうか

遠く離れた地のでそれぞれが呼び合う

祈りの声となって



パパ、頑張ってるかな


もちろんよ

ナナ


戦う人はチャンピオンなの

ママ


そうよ


勝って帰ってくるよね


そうに決まっているでしょ


うん




会えますか

沖田さん

きっと

会えますよね




パパ

元気で頑張ってね

ナナもいじめられても

我慢するからね




沖田さん

どうか、無事に京へお帰りください

私も京へ向かいます



佑介さん

私はここに居ます 

遠くても見つめていますから




ママ、ラモン、ナナ

待っていてね

メロンを食べよう

パパが切ってあげるから

甘いよ

緑色できれだよ


パッパ パパ パンパン


そうだ、ポートレック

その調子

お前には誰が待っている


はい


お前は勝てる

必ず勝てるんだ

いくら打たれても耐えるのだ



トレーナー

僕は今までいろいろな苦しみに耐えてきました

それは大丈夫です

ただ


どうした

家族が恋しいです


そうか

だから頑張れるんじゃないか


はい


チャンピオンは負け知らずだ辛い思いはしたことがないはずだ

お前はハングリーだ

だから勝つ

必ずだ


はい




八生さん 八生さん

僕は

どうして、こんなに強いんだ

手加減しても勝てるじゃないか

どう、手加減すればいいのだろうか

いっそのこと、僕を殴れないものだろうか

八生さんも、戦っていたんだよ

僕以上に

苦しかったはずだ

なぜ、わかってあげられなかった

馬鹿野郎



すみれさん

やっぱり、すみれさんが言ったとおり

行くべきじゃなかったね

僕はこんなになって

仕送りすらできない

二人の支えすらならない

支えられているのは僕だけじゃないか

みじめな僕しか、この地にはいない

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る