雪の幻影

裏切り 第17話

ファーストストーリー　幕末

橋の上にて

沖田さん

新選組の仕事の方が私より大事ですよね

そういう悲しいことを聞かないでよ

ごめんなさい

私と一緒に京から逃げてもらえませんか

駄目ですよね

ごめんね

それは出来ない

それじゃ、帰るね

沖田さん

なぜ

なぜなんだ

僕の進む道は

この国を守る事か

愛する女性を守るべきなのか

わからない

サチヨの帰りの道中にて

おい、あの泣きながら帰る女は

桐沢の妹ではないか

桐沢もいない、人質とするか

よし、捕まえろ

娘さん、すまない

キャー

静かにして下さい

あれはサチヨさんの声

何処だ北の方から聞こえたぞ

急がないと

いた

沖田じゃないか

また、いい所で会ったな

サチヨさんを放してくれ

それは出来ないな

サチヨさんの前で斬り合いたくないけど仕方ない

駄目です、沖田さん

悪い方達ではなさそうです

娘さんもいいことを言うね

娘さん

私達はこの国を良くしたいからなんだよ

娘さんには決して危害は加えないから

ただ、沖田とはしばらくは会えない想いをするだけだがな

いやです、離して下さい

サチヨさん、心配いらないよ

沖田違うぞ

俺達と戦えば、娘さんもいずれは巻き込まれるのはわかるだろう

確かにそうだけど・・・

条件を出そう

新選組の中ではお前が一番強い

それがどうした

沖田は娘を守ってあげたいか

もちろんだ

さっきも言ったが、勢力の争いに巻き込まれたら

いずれは、娘さんの命はない

そうだろう、沖田

条件とはこの女と京から離れろ

そして、新選組も抜けろ

俺達もそれ以上は求めない

どっちを選択するか

娘さんか新選組か

娘さん、沖田のそばに行きなさい

沖田、しばらくしたら

またここに来る

よく考える事だ

娘さんと話し合うことだな

娘さん、ほら行きなさい

沖田さん

どうすればいいでしょうか

私は沖田さんのためなら死んでも構いません

いや、それだけはできない

確かに・・・

あの男達の言う通りだね

僕と逃げよう

駄目です

沖田さんには新選組があります

さっきは逃げて下さいと申し上げました

でも、沖田さんは新選組でこの国を守って下さい

私は死んでもかまいません

いや、僕はサチヨさんを守る

今から逃げよう

数日後

なに、沖田とサチヨさんの姿が最近見かけないだと

裏切りだな

土方、理解できないな

そうだな

沖田は重要な幕府の情報を持っている

土方さん、沖田さんの部屋に手紙が

局長、事情がありまして

新選組から離れないといけなくなりました

可愛がっていただきましたので辛い思いです

京からはもう離れていると思います

幕府の重要な情報は決して漏らしません

約束します

本当に申し訳ありません

なぜだ

女だな

そうかもな、土方

裏切りは新選組では死を意味する

仕方ないな、土方

しかも、情報がもれたら大変なことになるぞ

よし、探すぞ

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セカンドストーリー　昭和高度成長期

私はどうすればいいのですか

右腕にならないといけない

でも

結婚はできない

矛盾しているじゃないですか

友恵の自宅にて

友恵さん、やっぱり

私にはできない

友恵さんがそばにいて挙げて下さい

どうしてですか

友恵さんこそ、どうして

わかりました

また、明日話しましょう

施設にて

友恵さん、久しぶりだね

元気にしていた

はい

それより、実は話があります

どうしたの

すみれさんは東京に来る前に・・・・

そうだったのか

関係ないじゃないか

すみれさんのそばに居て挙げて下さい

友恵さん

こんなことを言ったらいけないのだけど

すみれさんも友恵さんも忘れられないんだ

その優しさがそうさせてしまっているんだと思う

そうだ、いっその事

僕が消えてしまえばいいのかな

そうしよう

そうするんだ

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サードストーリー　現代

いよいよ

世界戦が決まったな

ポートレック

はい

あと３カ月ある

ジェフトレーナーと猛特訓だ

ポートレック、とにかくガードをしっかりあげろ

ユースケのパンチはとてもハードだ

がっちりディフェンス重視だぞ

ボディを打たせろ

お前は打たれ強いからな

ボディを鍛える、いい方法があるんだ

バッドでボディを何度も叩く

それを耐えるんだ

ユースケのパンチよりダメージがある

それに慣れろ

スピード、テクニックは明らかに、ユースケの方が上だ

３ラウンド目から攻撃を始めてくるだろう

終始劣勢だが耐えろ、耐えるんだ

わかったな

はい

ユースケが終盤に余裕を見せた時に頭を故意にぶつけろ

バッティングだリスクはあるが、それ以外に可能性はほぼない

そこで、強打を持つお前が一か八かのカウンターを打て

ユースケは出血で見にくいはずだから

いいな

はい

でも、バッテングはどうでしょうか

勝つにはそれしかない

お前には家族がいる

貧乏な生活から抜け出すんだ

わかったな

はい

ついに、試合が決まったか

ランキング3位のフィリピン選手

勝って当然だと思われている

デビルといわれているからね

デビルか

そうだよな

デビルだよ

八生さん

一度でも応援してほしかった

でも、空の上から応援してくれているんだよね

でも、会いたいよ

僕がああ言ったばかりに

どうして、わかって挙げられなかったんだ

もう、強くなりすぎて

苦戦すら許されないんだ

俺も空に行けば会えるのかな

ナナ

お兄ちゃん

パパは勝てるからさ

ここの木の下で応援しよう

うん

パパは優しくて、一生懸命だから

うん、優しくて悪いことは絶対にしないからね

うん

パパは頑張って帰ってくるよ