花への想い 第16話
ファーストストーリー 幕末
沖田
良くなったみたいだな
はい
いよいよ
討幕派も動き出しそうだ
お前には悪いがサチヨさんとはもう会うな
辛いだろうがな
彼女が巻き込まれたらどうする
そうですね・・・
わかりました
沖田さん、京に着きました
お会いに行ってもよろしいでしょうか
駄目なのはわかっています
でも、会いたいのです
私の心がそれを止めることができません
ごめんなさい
新選組の屋敷にて
トン トン トン
おう、サチヨさんではないか
はい、近藤さん
沖田さんと少しだけお会いすることはできませんか
それは無理なんだよ
やはり駄目でしょうか
わかってくれ
この、ご時世なんだ
それにサチヨさんまで
巻き込まれてしまう可能性があるからな
わかりました
トン トン トン
サチヨさん・・・
局長から聞いただろう
やはり、駄目ですか
悪いな
では
バタン
沖田さん・・・
よし、沖田
見回りに行くぞ
はい
おや、入り口に花が置いてあるぞ
誰だ
沖田
お前にじゃないか
斉藤さん
そうだな
せめて、花だけは受け取ってあげろ
はい、局長
沖田さん
お会いしたいです
ただ、それだけです
サチヨさん・・・
僕はどうすればいいんだ
沖田、また花がおいてあるぞ
俺達まで辛いじゃないか
土方さん
沖田さん
ごめんね
サチヨさん
外は雨か
どうして雨なんだ
余計辛くなるじゃいか
でも、僕の涙を消してくれるかな
沖田
また、花が置いてあるぞ
サチヨさん
もう・・・
沖田さん
最後のお願いです
今日の夜に最初にお会いした橋の上で待っています
いつまでも待っています
沖田さんがくるまで
サチヨさん
僕は
僕は
沖田、行ってやれ
斉藤さん
行かない理由があるか
新選組は俺達に任せろ
斉藤さん・・・
サチヨさん
沖田さんですか
いや、違うよ
そうなのですか
沖田さん
後ろから、私の目を覆ている手を放して
私に、沖田さんの優しい笑顔を見せて下さい
駄目だよ
これが精一杯なんだよ
サチヨさん
それでは
このままでいて下さい
サチヨさん・・・
やっぱり
離さない
離すことはできない
抱きしめることしか出来ない
月の明かりは二人の灯りを恋しがっていた
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
セカンドストーリー 昭和高度成長期
大作さん
義手をつけて、そろそろ訓練をしていきましょう
はい、先生
でも、どうして目が見えるようになったのでしょうか
それだけは、私にも理解できない
奇跡としか言いようがないね
でも、良かったじゃないか
義手があれば、仕事も限られるが出来るからね
はい、有難うございます
大作さん、良かったですね
ああ、頑張らないとね
少しベッドで横になってくるね
あれ
どうして、ベッドに花が
友恵さん・・・
私が花瓶に飾っておきます
有難う
すみれさん
すみれさん
はい
すみれさんの気持ちを聞きたいな
そうですよね
私の心の中を覗くことは
今は出来なさそうです
ごめんなさい
そうだよね
でも、ひとつだけは言えます
私は大作さんの恋人にはなれないけど
右腕になることは出来ます
ありがとう
佑介
最近は右ストレートの威力が増してきたな
そうですよね
特に右だけをメインにやっている訳ではないのですけどね
沖田さん
想いは伝わりますよね
そう、信じています
すみれさん
工場長が簡易な仕事場を見つけてくれてね
よかったですね
ああ
さっそく、明日から頑張るよ
無理しないで下さいね
有難う
すみれさん、今日も施設に来てくれていたんだね
はい
そういえば、花瓶に新しい花を挿しましたので
有難う・・・
大作さん
どうしたの
本当は友恵さんの事を想っていらっしゃるのではないですか
それは・・・
気にされないで下さい
私はいつでも・・・
そんなに僕を苦しめないでくれよ
東京に行くべきじゃなかったな
ごめんなさい
大作さん
でも、頑張りましょう
そうだね
前に進まないとね
はい
大作さん
花は今日で最後にします
私は本当に未練がましいですね
私はもう
佑介さん
苦しいです
朝起きると目の前には闇しか見る事ができません
大丈夫だよ
僕がついているよ
でも
すみれさん
僕は決めたよ
何をですか
結婚しよう
それは出来ません
どうして
僕のことが嫌いなの
いえ、決してそのような事はありません
理由を教えて欲しい
でも、僕と結婚できないという理由はないよ
駄目なのです
ごめんなさい
タッタッタッタッタ
すみれさん・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
サードストーリー 現代
5年前
八生さん
具合はどうかな
はい
悪くはないと思いますけど
睡眠薬を飲んでも3時間くらいで起きてしまいます
そうか
それで、お昼に眠くなります
睡眠がバラバラなんだね
はい
でも、それより
怖いのが夢を見るのです
佑介さんの夢を
どうして、怖いの
それは
言えません
どうして
佑介さんに頑張ってほしいから
そうなんだ
まあ、僕は練習も調整も上手くいっているから心配ないよ
そうだ、ジュースを買ってくるから待っていて
はい
佑介さん、怖いです
佑介さんが怪我をしたり
それに
私のそばから離れて行ってしまいそうです
それが夢になって現れます
ただいま
オレンジジュースで良かったかな
はい
ありがとうございます
八生さんは最近になって
少しずつ痩せてきているけど心配かな
食欲はあるの
いえ
先生に相談しているの
はい
でも、起きていても
どうしても気分が落ち込んでしまいます
そうか、辛いね
それに、どうしてみんなに合わすことや
その場の雰囲気を感じ取れなかったり
辛いです
私は生きていけるのでしょうか
大丈夫だよ、僕がついている
八生さんを守るよ
ありがとうございます
でも、佑介さんが
優しい佑介さんが想像するだけでも辛いです
なぜ、時がとまらなかった
あの頃に帰りたい
弱くていい
チャンピオンじゃなくていい
もう一度、会いたい
もう一度、あの頃へ帰りたい
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