灯りという悲しみのなかで 第20話

ファーストストーリー 幕末 消せない想い


どうしたの、サチヨさん


いえ、沖田さんが心配で


どうして


だって、新選組を裏切った行動になるではないですか

でも・・


どうしたの


うれしいです

前に私と新選組をどっちを選ぶかを聞いて

新選組でしたよね


あの時は仕方がないじゃない

そう言わないと


そうだったのですね

沖田さん


どうしたの


お隣さんにね

可愛い子供がいるの

沖田さんは小さい子供は好きですか


僕はサチヨさんがいればそれでいいかな


そうですか・・・


ほら、沖田さん

あそこの子供さんは沖田さんに似ています


そうかな


どうして


サチヨさんこそ、どうして


沖田さん


どうしたの


私のお腹に手を当てて

ほら


動くでしょ



サチヨさん

ここでお別れしよう・・・



どうしてですか


子供まで巻き込みたくない


そんな


そんなことを言わないで下さい

沖田さん


実は桐沢は僕を狙っているみたいらしい

逃げるわけにはいかないだろう


沖田さん、お兄様



サチヨさんにお願いがあるんだ


何ですか


僕が歌を書いてみたんだけど



花が咲く

雪が散る

でも想いは散らない

生きていくために



僕は今からどうなるかわからない

でも、サチヨさんの想いは消せない

サチヨさんまで巻き込みたくない

でも

想いを消さないために

僕は生きていく

子供にその歌を伝えて欲しい

いいかな

サチヨさん


それでは

私の想いはどうなるのですか


想いをその歌にのせてくれるとうれしい

約束してほしいな


いやです


沖田さんのそばにいたいです




ごめんね、サチヨさん

僕は行かなければならないんだ


サチヨさん


サチヨさん


元気でね





海辺にて


里江、そこの木の下へ座ろう


はい


どうされました


里江は一人娘か


そうです


もし、兄がいたらどうする


うれしいです


そうか


宗三さんは妹さんはサチヨさんでしたね


ああ、もう一人いたらどうする


会ってみたいです


そうか


俺は悲しいな


どうしてですか


やはり、やめよう

この話は

あそこに輝いているのは漁船か


そうですね

灯りをつけているところではないですか


俺の妹はサチヨだけでいい


どうしてですか


夜風が寒くなってこないか


そうですね



宗三さん・・・



どうした


いえ


どうした


やっぱりやめておきます


そうか


最近ですが、お隣さんに子供がいて

うらやましくて


なぜ


教えません


そうか・・・

帰るか




新選組屋敷にて


沖田はどうしているかな


もう、忘れろ

斉藤


そうだ

斉藤


俺はそう思わん


斉藤、お前は


蝋燭の灯りが揺れているな

何もなければいいがな




土方さん、大変です


どうした


討幕派からの奇襲です


なに


うおおお


沖田


そうか、沖田はいないのか

誰かいるか


大丈夫だ俺がここを守る


斉藤


どうやら、火の矢を放ったみたいだ

いずれ、屋敷は燃え上がる

局長らは外にでて挟み撃ちに


わかった、斎藤


大丈夫か


ああ



よう、斉藤じゃないか


おお、伊達


パチ パチ パチ

バチ  バチ バチ


そろそろ、屋敷から逃げた方がいいのではないか


バチバチ バチ


その必要はない


ゴオオ バチ ガアア


なぜだ


ボオオオ


ここが俺の死場だからだ


ガッガッガガ


ほお


ガラガラガラ



伊達、早く外に出ろ

伊達はここが死場じゃなかろうが


いや


なぜだ



ガタ ガタ ガタ ガタ ガラ


お前がいるからだ



ゴオオオオ



うううう



斉藤


ああ


バチ バチ ゴオオ


俺達はこれでいいのか


いいんだよ


そうか


ゴオオオ ボオオ


俺らしい死場だな


俺もだ


パチ パチ パチ


子供の頃を思い出すな


そうだな


この屋敷でよく遊んだな


ガゴン ゴオン バイ バリ


そうだったな

また、遊びたいな


もういいよ


ははは


グオオオオ

ガアアアアタタッタ

バオアアオアア


ドドドドドーン



斉藤


仕方ない、土方

残りを始末するぞ


ああ

沖田さえいればな・・・


女々しいことを言うな

俺達は俺達の成すべきことをするのみだ


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

セカンドストーリー 昭和高度成長期


大作さん、今日は天気がいいから

散歩にでも行ってみませんか


いいね


義手の方は慣れましたか


ああ、大分なれたよ


大作さん、道端にきれいな花が咲いていますね


本当だね

そういえば、智子さんはどうしているだろうな


私も気になっていました


元気で生活しているといいな


そうですね


今日は体調もいいし

隣町まで歩いてみようか


大丈夫ですか


大丈夫だよ


ところで、お母様はどうされていますか


うん、元気で生活しているみたい

僕も、少しずつだけど仕送りしているからね

父も、お酒はやめたみたいで上手くいっているみたいだよ


少し休憩しましょうか


そうだね


そこの喫茶店でお茶でも飲みましょう


そうしよう


いらっしゃいませ


あ、友恵さん


大作さん、すみれさん

お久しぶりです


ここの喫茶店で働いているの


はい


そうなんだね


はい


今日は何か予定あるかな


いえ


3人で食事に行かない


いいですね




ここの喫茶店にしよう


はい


友恵さん、仕事は慣れて元気で働いているんだね


はい


すみれさん


どうしましたか、友恵さん


いえ、さきほどから元気がなかったので

もしかして


違います


やはり、私は帰ります


友恵さん、違うよ


ごめんなさい


待って

これで、会計をお願いします

それでは

お二人ともお元気で


待って、友恵さん


走って行ったら危ないよ


あ、危ない


キー


友恵さん

大丈夫・・・


大介さん 大介さん

しっかりして


どうして

私の身代わりに


あああ


すみれさん

友恵さん、今まで優しくしてくれて

ありがとう・・・


大作さん 大作さん


大作さん


わあああ


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

サードストーリー 現代


佑介さん

佑介さん、ごめんなさい、楽しかったです、ごめんなさい

佑介さんが、私のことを励まして下さって

佑介さんが、私のことを応援して下さって

佑介さんが、励まして下さることが辛かったです

佑介さんは一生懸命練習して、私は何もしていない

アルバイトさえしていない、優しかった記憶も今は思い出せません

佑介さん

佑介さん、なんだか目の前に霧がかかっているような気がします

佑介さんとの楽しい思い出も消えていくような気がします

佑介さん

佑介さん、ありがとうございます

佑介さん、目の前が真っ暗になりました


佑介さん、佑介さん、佑介さん



佑介さん・・・





ナナ

あの野原に最近ね

大きな虹がかかるんだ


本当


うん


今は虹があるの


さっき大きな虹があったんだ

見に行こうか


うん

あれ、消えた


パパはあの虹の向こうで頑張っているのかな


お兄ちゃん

パパはチャンピオンに勝つかな


もちろん、勝つに決まっているじゃないさ


そうね

ママも呼んでくる

そうしたら虹もかかるかも


そうだね


ラモン、ナナ

ここにいたの


うん


ママ、あそこに虹がかかるかな


大きくきれいな虹がかかるからね

明日、楽しみにしようね


うん



ポートレック

いよいよ、明日だな

戦え、戦うんだ

わかったか


はい、家族のためにも

子供の笑顔が何よりみたいから

頑張ります

負けません


フィリア、ラモン、ナナ


パパは頑張るからね



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