重なる想い 第19話 調整中

ファーストストーリー 幕末


里江、待っていろ

すぐに行く

ここか


桐沢

すまないな


なぜだ、近藤



里江は近藤から狙われている


なぜだ


里江は討幕派の重要な情報を持っている

そうだ、お前が教えていただろう


そうだな


ただ、里江は現在どこにいるかわからない


沖田らの討幕派は必死でさがしている


里江が何の目的でそういう行動をしたかわからないが


とにかく、沖田は里江を殺すために雇われた

その理由がわかるか


いや、なんだ


里江はお前の女だろう

お前が里江を殺せるはずはない

また、沖田は新選組の中でも最も強いといわれている

その中心人物を引き抜きたいということ

また、新選組を内部から崩壊させようというと思っているらしい

忍びの者からそう聞いた

沖田を倒せるのはお前しかいない


思えば、どれだけ沖田が強いか教えよう


以前な新選組の中での剣術大会で斉藤と沖田の二人が残った

しかし、斎藤も子供扱いだった

また、この屋敷が奇襲された時に俺達はいなかった

沖田は一人で十数名の強者を一人で倒した

この間、お前が沖田を斬れたのは原因がある

実はどうやら、稽古中に腕を痛めたらしい

本人はあえて否定したが

おれは、その傷を見た

沖田を倒せるのはお前しかいない

どうだ

倒せることができるか


俺が出来ぬと言えると思うか

近藤

俺はもう道を失った

せめて、沖田と対峙しよう


頼むぞ


ああ



土方、果たしてこれでいいのだろうか


いいはずがないじゃないか

どれだけ、沖田を弟のように可愛がった俺がなぜ

この様な事を考えないといけない

なぜ、沖田よ

新選組を裏切ったのだ

新選組の一番大事なことは契りだ

お前はその契りを破った


そうだな

俺達にはそれでも情がある

本来なら俺達の手によってすべきだが

出来るか

土方


だからだ

だから、桐沢にやらせたのだ

しばらくは眠れない日が続くな


そうだな


討幕派の屋敷にて


おお、沖田よく来てくれた

実はなサチヨとはお前の女だろう


それがどうした


実はなお前とサチヨが離れている時にサチヨと桐沢は親しくなった

なに、サチヨはお前のことを想っている

しかし、桐沢はそう思っていない

どうやら、お前と対峙したいらしい

これを見ろ


沖田、新選組館近くの海で待つ

サチヨのお前に対する未練を俺が斬る

サチヨは俺が守る

だから来い



なに



高橋これでいいのか

俺達はここまでしなければならないのか


ああ、そうだ

俺が桐沢を雇ったのもいずれはそれが目的のひとつだった

沖田と勝負できるのは桐沢以外にいないだろう

時は非情だよ


仕方ないな

この国を思うがためだ



「実は倒幕派の者達から

いや、沖田が里江を狙っているのだ


沖田は新選組だろうが


どうやら、沖田は討幕派に巻き込まれていたようでな

里江さんは討幕派の情報を持っている

それを何かの事情だかわからんが

外部に流そうとしたらしい

そこで、討幕派の連中が沖田に里江さんを殺すよう頼んだようだ

俺達は裏切られたんだ

それに、里江さんが不便でな


沖田は何処に


討幕派がかくまっているみたいだ

しかし、お前も討幕派だからな


一応だがな

しかし、俺は倒幕という気持ちはない



まあ、お前次第だな


だが、里江はここにいるから

何も心配いらんだろう


いや、実は昨日からいない


どうやら、討幕派にさらわれたようだ


恩にきる近藤

俺は助けに行く

そして沖田を斬る


その辺はお前次第だ


いわれる必要はない



これでいいんだな

土方


そうだな

こういう汚いことはしたくないが

この国のためだ


まあ、仕方ないな

いかに、沖田が裏切ったとしても

俺達にはすべき事があるからな

情は切り捨てないといけないな

そういうことだ

辛いだろう


ああ



ある場所にて



沖田だろう


伊達、どうして此処に


ああ、此処だろうと思ったんだよ

幼い頃ここでよく遊んだからな

どうやら、新選組はお前を始末するらしい

忍びの者から、そう聞いた


局長、土方さん

でも、仕方ないな

裏切ったわけだから


そうだな


国に対しての想いは異なるが

俺達の屋敷で過ごせ

サチヨさんを守り通せるか


いや、それは出来ない

新選組を本当に裏切ることはできない


そうか、わかった


新選組の連中が桐沢の女を連れて行ったぞ

桐沢は新選組と戦ってでも助けるはずだ


そんな、お兄様

沖田さんを斬るつもりでしょうか


ああ、そういう事になるかもしれんな

悪いようにはせん

知り合いの住む隠れた場所でしばらく暮らすと言い

お前は俺の幼馴染だからな


助かる

伊達


そうだ、高橋

今、思いついたのだがな

新選組の屋敷に奇襲をかける

そこで、桐沢を近くの海へおびきよせよう

沖田、そこで待て

桐沢を斬れ


やめて下さい


サチヨさんと言ったな

今はそういう時代なんだよ

お互いに国を想ってこうどうしている

そうだろう

沖田


わからない


ただ、考え方の違いだけなんだ

仕方ない

わかってくれ


お兄様



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 


セカンドストーリー 昭和高度成長期



すみれさん


どうされましたか


どうして、そんなに優しいの


さっきも言いました


大作さんが優しいからです

あの時のように私の膝元で少しお休みになられてください


本当はね

あの時は寝ていないよ


どうしてですか


恥ずかしかったからさ

柔らかくて暖かい膝元なのに

眠れるはずがないじゃない


そうだったのですね


列車でお別れをするときに

口元にご飯がついていたよね

あの時に取ってくれた

今もついているでしょ


いえ、ついていません


すみれさんも疲れているんだよ


でも、本当についているんだ

それとも、目が疲れているのかな


ご飯はついていないから

大丈夫ですよ


じゃあ、もっと近くで僕の顔を見てみて


はい


ついているだろ


いえ


じゃあ、もう少し


このくらいですか

でも、ついていませんよ


もう少し近くで見て


はい


顔を洗ってこないといけないかな


いえ、口元だけで十分です


でも、どうして洗わないといけないの


恥ずかしいからです


じゃあ、もっと恥ずかしくしてあげるよ


駄目です

私は

駄目です


じゃあ、僕の気持ちはうけいれてもらえないのかな


いえ、そういう事ではなくて


僕が洗い流してあげるよ


大作さん・・・

ありがとうございます


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


サードストーリー 現代


会長は今日は暑いですね

まあ、このくらい暑い方が体重を落とせますしね

でも、チャンピオンになれますかね

高校総体と国体で優勝したくらいですよ

チャンピオンはビックネームですから


お前なら、必ず勝てる

まあ、ジムのビルの上でも休憩してこい


そうですね


よし、シュ シュ シュ


いい感じだ


あれ

君どうしたの

どうして、黙っているの

そっちに行ったら危ないよ

駄目だよ


ごめんなさい

もう、駄目です

死なせてください


駄目だよ


どうして、止めるのですか


どうして、止めたらいけない


辛いからです

楽にさせて下さい


何が辛いの


生きるのがです


どうして、僕にはわからない


ごめんなさい

私は人と合わすことができないのです


大丈夫だよ

僕と会わせてあげるから

君の名前は


八生といいます


僕は佑介

ボクシングをしているんだ

よかったら

遊びにおいでよ

生きるのも楽しいよ


はい


どうだった


ボクシングとはどういうスポーツなのですか

どうしたら勝てるのですか


それは、相手を倒したら勝てるんだよ


私はボクシングは出来ないです


そんなことはないよ

最近は女性もダイエットでボクシングをしているからね


もう、これ以上やせたくありません


確かにそうだね

そうだ、近くの公園に行かないかな


いえ、そろそろ

帰らないといけませんので


そうか、それじゃね


はい

ありがとうございます


大丈夫だよ

生きていれば必ずいいことがあるよ


はい


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