さまよう想いたち 第12話


ストーリー それぞれの想いの中に


星空を見上げるとサチヨさんが見える

手を伸ばしても届かない

僕の心も届かないのかな

でも、優しい笑顔だよ

覚えているかな

一緒に星空を見た時の事を

僕の瞳に写るサチヨさんの優しさを

僕は忘れないよ

いつまでもね

会いたい

サチヨさん会いたい

今はそれだけしか言えない

待っていて



沖田さん

もうすぐです

少しで江戸に着きます

沖田さん

笑ってくれますか

元気な姿を見せてくれますか

見せてくれますよね

沖田さん

今度は沖田さんに・・・

待っています

沖田さんを待っています

でも、そこに、私が行きますね


沖田さん




大作さん

私はどうすればいいのですか

すみれさんがいるのに

どうして

どうしてですか

私は桜の花のように儚く消えていけばいいのですか

大作さん

どうすれば・・・

目の前に見えるものは涙しかありません

やはり、私は去るべきですね

少しでも元気になって下さい

それでは


大作さん


さようなら





里江

どうして、俺は笑えない

いつから笑えなくなったんだ

あの時からか

なぜだ

なぜなんだ

遠い記憶は必要なかった

俺が京に行ったのは

倒幕のためじゃない

金で誘われたのではない

お前を忘れるためだ

だけど、それが出来ないじゃないか

お前の楽しそうに笑った顔が邪魔をしている

俺の心を刺すくらいなら

誰か俺を斬ってくれ



宗三さん

寂しいです

どうして、私のそばにいてくれないのですか

そばにいて下さい

もう、会えないのですか

会えますよね

その時は優しい笑顔をみせてください

見せてくれますよね

どうしてですか

どうして笑う事を忘れたかのように

黙っているのですか

宗三さんの心を私が邪魔をしているのですか

私はどうすればいいですか

教えて下さい


宗光さん




それぞれは想う





暗闇の中に僕は存在した

しかし、二つの光が見える

でも

どうして、二つなのだろうか

すみれさんという光で十分なのに

友恵さんの光は優しすぎる

僕は二人に対して何もして挙げられない

不甲斐ない僕はどうすればいい

せめて、目が見えさえすれば

音だけの世界なのか

僕は

音だけの世界で生きていくのか



サチヨさん

僕はなんて弱いんだ

僕が必ず守るからね

必ずだよ



誰だ今の声は

そうだよ

僕がすみれさんを守らなければ

でも

今は助けられて貰っているだけだね

この目さえ見えるようになれば

情けない僕を何とかしてくれ

待っていて


すみれさん



沖田さん

今頃どうしていますか

優しい笑顔で過ごしていますよね

きっと、そうですよね

待っていて下さい

もう少しで江戸です

斉藤さんと一緒ですから心強いです

この間は私が山賊に襲われそうになった時に

瞬きする間もなく山賊から私を守ってくれました

沖田さん、もうすぐ光が差しますからね


沖田さん



セカンドストーリー 昭和高度成長期


大作さん

私は何もして挙げられないですね

そんな、私が情けないです

大作さんの幸せそうな笑顔がみたい

すみれはその笑顔を見たいです

でも心配です

複雑ですけど、友恵さんがいるから大丈夫ですよね

でも、私はどうすればいいのですか

それに・・・

そうですよね

私には大作さんを幸せにする資格すらないです

でも、大作さんが幸せになれる事を

願うしかないです

言葉にならない想いが襲いますけど

友恵さんと結婚して下さい

私は遠い空を見上げて

そこに、大作さんが見えるだけで幸せです





どうして

窓から光が見える

すみれさんの光も見える





大作さん、今日は花を持ってきました


すみれさん、花は白くてきれいだね

まるで、すみれさんみたいだよ


どうして、大作さん

わかるのですか

もしかして

見えるのですか


そうなんだ

それが何故なのかわかない

どうしてだろう


それでは・・・

私はここで大作さんとはお別れです


どうして


それは言えません

今まで大作さんが見えなかったから

そばにいられました

大作さんのお手伝いをして

少しでも力になりたかったからです

でも、もうその必要がなくなりました


いや、僕にはすみれさんが必要なんだ

そばにいてほしい


友恵さんが居るじゃないですか


それは・・・


友恵さんの事をどう思っていらっしゃるのですか




僕は答えることができなかった




大作さん、幸せになってくださいね

それでは


待って

すみれさん

覚えていないかな

あの時を




すみれさん、ここの景色はきれいでしょ


はい

白い花が咲き乱れた丘の上から夕日がみえます


そこから僕は夢を見る事ができるんだ


どのような夢ですか


今は少し恥ずかしくて言えないな

すみれさんが優しい色に染まっているから

夕日が僕に沈黙を与えているのかな


大作さん、信じています

いつか、沈黙を解き放つ日を待っています




すみれさんは夕日が照らす丘の上で

そう言ったよね



すみれさん、僕と結婚してください



それは出来ません


どうして、すみれさん

僕の事が嫌いになったのかな

右腕が無いから


いえ、好きだからです

愛しているからです


じゃあ、どうして


ごめんなさい

それでは


すみれさん



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


サードストーリー 現代


あなた

負けてもいいです

怪我だけはしないで帰って来て

本当はそう思っています

ナナもラモンも

あなたを待っています

元気で優しい笑顔のあなたを

美味しい料理は必要ありません

必要なのはあなたそのものです

ナナもラモンも今は眠っています

今日はあなたもゆっくり眠って下さい

辛い練習はしなくてもいいです

今まで辛い思いをしてきたでしょ

でも、あなたには家族があります

小さな灯りがそこにはあります

どうか、元気で帰って来て下さい

待っています


あなた




パパ

ナナは学校でいじめられるけど

大丈夫よ

きっとチャンピオンになって帰ってくるよね

そうだ、お兄ちゃん

パパに手紙をだそう

そうだね

そうしよう



パパ

頑張ってね

美味しいご飯を食べて

一生懸命、頑張ってね

ナナは学校でいじめられるけど

パパがチャンピオンになったら

もういじめられないよ

パパは強いからね


ナナ



パパ

僕は算数が苦手なんだ

どうしてだと思う

1という数字しか知らないからだよ

パパは一番強いからね

だから、1という数字しかしらないんだ

チャンピオンになって、僕をパパの背中に乗せてね

頑張ってね

必ず勝つから

パパは強いから


ラモン




お~い

ポートレック

お前に手紙が来ているぞ

誰だと思う

お前の可愛い子供達からだぞ

お前が元気が出ると思ってな

連絡先を教えてあげていたんだよ


わかりました

早速・・・・


そうか、そうだよな

でも、僕は勝てるかな

デビルに

勝てなかったらどうするんだ

ナナはいじめられるだけか

ラモンは1という数字がなくなるじゃないか

フィリアはどう思っているのだろうか

勝てるのか

勝てるのか

デビルに

僕は勝てるのか

信じている子供達やフィリアを裏切ることはできない

僕はクレージーかもしれない

でも、負ける訳にはいかない

勝つんだ

弱い僕の心に


僕は勝つ




僕は負けてばかりじゃないか


自分の心に


孤独という心に


なにがデビルだ


八生さん












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