幻と現実 第3話

ファーストストーリー 幕末 人斬りとは



太平屋での奇襲にて------


いいか

俺と沖田は宿へ奇襲にかける

土方と斉藤は下で待機していてくれ

それから、俺と沖田は下へ向かう

それで挟み撃ちとしよう


わかった


行くぞ




おりゃあ



おい

誰だ 


新選組の奴らだ


おそらく

二手に分かれて来るに違いない


そうだな


俺が此処に残ろう


そうしてくれ、桐沢

俺達はそこの窓から飛び降り

新選組の連中を裏から襲う


わかった



なに、桐沢一人か

いくら京での人斬りだとしても

二人相手ににするとはさすがにいい度胸をしているな


容易いな


二人まとめてでも、一人ずつでも構わないぞ


二人揃ってお前を斬るほど俺たちは落ちぶれてはいない


近藤さん、僕が行きます


いや、俺が行く


いえ、僕が行きます


お前は引っ込んでいろ


さすがは大将だけあるな

来い


言われなくとも解っている


行くぞ


来い



グス

ううう



新選組も落ちぶれたか

局長がこれだからな


不覚をとった


局長、大丈夫ですか


ああ、大した事はないが腕を斬られた


次は沖田か、少しは遊べるかな


遊べるといいけど



ジャキ、


ス ス ス



ほう、それが天然理心流の三段突きか

流石だな

少しだが腕をかすったぞ

それでは俺が行く



ヒュウ


ヒラ


ジャキ



ううう


どうだ、俺の飛燕の剣の味は


沖田、大丈夫か


どれ、此処で遊んでいる場合じゃない

少なくとも沖田は斬ったからな

今日はここまでとするか


窓から屋根伝いに逃げる気か

お前は臆病者だな

まだ、下に斉藤らがいるぞ


斬られたお前からは言われたくないな

戦略を立て直すだけだ

俺も馬鹿じゃないからな



局長、大丈夫ですか


ああ、土方

俺は大したことはないが沖田が斬られた

他の奴らはどうだったか


ああ、傷はさほど深くはないとは思うが逃げて行ったぞ


そうか


斉藤、土方

桐沢は窓から逃げた

追え


わかった


あっちに逃げたぞ

斉藤


ああ、俺は北回りに行く

斉藤は逆からまわれ

挟み撃ちにしよう

沖田が斬られるくらいだから二人で斬るぞ



おお、土方じゃないか


桐沢か

ここでやるか


断る理由があると思うか


そのうち、斎藤まで来るのだろう

それまで、待ってやろう


斉藤は必要ない

俺一人で十分だな

いくぞ


ジャキ




スパ ザ ズバ


ううう


斉藤を待てばよかっただろうにな

歩いてでも帰るとするか



土方、大丈夫か


ああ、傷はさほどない

斉藤、心配はない

それより、沖田は大丈夫だろうか


そうだな

ここは引き揚げるとしよう


情けないな、俺は局長として

沖田、大丈夫か


はい、深手を負いましたが何とか・・・

くうう


いったん、立て直すぞ

桐沢宗光か

人斬りと言われるだけある

次は借りを返さないとな

いや、それどころじゃない


沖田、大丈夫か

沖田、沖田



-------------------------------------------------------------


Ⅲストリー 謎


そろそろ、出発されます


はい、里江さん

今までありがとうございました


あなたも、元気で


ああ




どうすればいいのか

今頃どうしているかな

何もなければいいけれど

守ってあげたい

でも

すべきことがあるから

早く帰らないといけない



どうしていますか

お元気ですか

またお会いしたいです

駄目でしょうか

また、やさしく笑った笑顔がみたいです

私はそちらに向かっています

待っていて下さい

私を守って下さる方もいらしゃって心強いです



里江さんと言ったな

助かった

そろそろ行かなければな


どちらにでしょうか


わからん

しかし、とにかく行かなくてはならない



元気にしているか

俺は斬りたくない

本当はお前に会いたい

しかし

仕方ない

俺はもうお前が思っているような者ではなくなった

だが、また

あの海で

しかしその頃にはもどれないか














セカンドストーリー 昭和高度成長期 重なる面影


ここが、新しい世界か

はたして、ここの工場で僕はやっていけるだろうか

すみれさんに会いたいな



おい、お前は集団就職で来た奴だな


はい


俺は田村という

名前は


北山大作といいます


わかった、大作

これから寮へ案内する

まあ、4畳半で狭いがここがお前の部屋だ

俺は隣の部屋にいるから

何かあったら声をかけろ


はい


仕事について説明する

この部品をそこのカッターで切って本社に送る

単純作業だがくれぐれも気をつけろ

大怪我をしても不思議じゃないからな


はい


工場での仕事と生活は辛かった

すみれさんが僕の心から離れない

でも、それで頑張れる

今頃どうしているかな

蕎麦を一生懸命に作っているのかな

僕も負けないよ



何をボーっとしている


はい、申し訳ありません


気をつけないと怪我をするからな



仕事帰り------



大作、今日は俺が夕食に連れて行ってやる

ここの蕎麦屋が上手いぞ

また、そこで働いている子がまた美人なんだよ

一目惚れするなよ


いらっしゃいませ

あら、田村さん

今日はお連れさんがいらっしゃるのですね




すみれさん・・・




大作

ほら美人だろ


似た人か、いや違うどうして


こいつは大作という奴だ

よろしく頼むな

そういえば

俺と飯を一緒にするという話は駄目なのか


ごめんなさい

中々、仕事で行けなくて


そうか

俺みたいな、おっさんは無理なんだな


いえ、そういう訳ではありません


そうか


それじゃ、期待していいかな




女将さん、ビールを一つお願いします


はい




僕の今の気持ちとはなんだ

すみれさん、そのままじゃないか

仕草や話し方、笑顔まで


上手かっただろ

大作


はい


どうだ友恵さんは

俺がおっさんだから相手にしてくれないしな

残念だが、お前は女にモテそうな顔をしているから

飯にでも誘ってみろ


僕は・・・


どうした、女でも田舎にでもいるのか


わかった、それ以上は聞かない

よし、一杯俺に付き合え


はい


お前の女はどんな感じだ

また、黙っているのか

まあそう言っても、ここで仕事をして生活する訳だからな

休みも月に1日だし

正月も盆も帰れないな

俺達の工場はとにかく忙しいから

人手不足もいいところだ

まあ、働き手が増えたら帰れるかもしれないから

それまで寂しいだろうが我慢することだな

田舎に女がいたとしたら

早く忘れろ

何を黙っている

よし、今日は飲むぞ

返事は


はい・・・


辛いけど頑張れ

住めば都だ



すみれさん


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

サードストーリー 現代 天才という悲しみ


フィリピンにて------


あなたは強いです

必ず世界チャンピオンになれます


ああ

きっとなれるさ

後は東洋太平洋チャンピオンになって

世界ランカー入りだ

ただ・・・


どうしたの

暗い表情をして


同じ階級にデビルと言わる天才がいるんだ

対戦相手が見当たらないくらいに強くてね


どうしたの、あなたらしくないわよ


そうだね、頑張るよ

家族のためにね


あなたは努力家だからきっと勝てるわよ

そうよ、頑張って

さびしいけど、大丈夫よ

家族は心配しないで

私が守るから


ありがとう

必ず、世界チャンピオンになるよ


頑張って

あなた



日本にて


会長

今日もスパーリングパートナーがいないですね


そうだな、すまんな


俺がなるよ


和樹


やめて

和樹さん怪我するだけよ


大丈夫だよ

手加減はしなくていいぞ


いいのか

智子さんがそばにいるけど


ああ

彼女の前で俺はお前に勝つ


和樹さん

無理しないで・・・


大丈夫だ



カーン



バシ


ううう


和樹さん

病院に行きましょう

骨折しているかもしれないから


智子、俺はしょせん


どうしたの、弱気な和樹さんじゃ駄目じゃない


そうだな、智子


いつか佑介さんに勝てる日が来るから

黙っていないで


ごめん

俺はなんて情けないんだ



誰も俺には声をかけてくれないのか

周囲の練習生の歓声しか聞こえない

ははははは

どうして

僕はこんなに強いんだ

僕がもっと弱ければいいのかな

そうすれば

また、会えるのだろうか

また、会えるのかな

笑顔が見れるのだろうか

僕に優しくしてくれるのかな

ははははははは

馬鹿野郎

僕はどうして

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