第13話 焼き払えるわけがないと思ったのに。


何とか11層を抜け、12層に降りてきた。


いきなり草原になっている。かなり広そうだ。

草の背が結構高い。分け入ってみるとイトの膝より上まである。


これは結構危険だ。とくに背の小さい犬やハニワ狼などに狙われやすい。


かといって、空を飛ぶこともだきないしなあ。




イトに何か方法はないか聞いtめいた。

すると、空飛ぶ妖術か、結界の妖術が使える、との話った。


空を飛べれば簡単だ。

だが、よく聞いてみると、一人しか飛べないし、また飛ぶ時間も10秒くらいで普通の人間なら妖力が消えれるので、使い物にならない妖術だ、と言われているそうだ。


俺は、多分この妖術には使い方や使いどころがあるとは思うが、今回は使えないだろうと思う。


手っ取り早いのは…


「イト、火の妖術は使えるよな。」


「うん、もちろん」


「草原全部焼いてしまえ!」


俺はイトにお願いして、手当たり次第に草原を焼いて行ってもらった。

妖怪がパニックになって走り回っている。


ハニワは特に関係ないようだ。



一時間ほどすると、あたり一面焼野原になった。遠くに、何か建物らしいものが見える。

「たぶん、あれば出口だ。あそこまで行くぞ!」



俺とイトは走った。ハニワが来たら埴輪斬りで、妖怪が来たら避けるか、イトの妖術で退け、ともかく一直線でその建物に向かう。


果たして、そこは降り口だった。しかもボスはいない。

というわけで、その中で珠に登録をし、そのまま下に降りた。



第十三層はやはり草原だったので、同じようにイトに焼いてもらった。

イトが疲れたので、おにぎりを食べる。



上の階層と同じ場所に出口があったので、そのまま第14層に行く。


第14層は、以前と同じ洞窟に戻った。 ただし道幅が広い。

マッピングして進むうちに、その理由がわかった。


大きな熊の妖怪が出たのだ。

さすがに、埴輪斬りでは歯が立たなかった。


熊というのは意外に素早い。

イノシシほどではないが、イノシシと違って知恵があるのでイトの攻撃も避けられてしまう。


仕方なく、俺は鈴を使う。

熊が俺を攻撃してこようとして立ちあがったとき、火の妖術と風の妖術でイトに熊の足を攻撃してもらい、なんとか足止めをする。


熊が倒れたところで、埴輪斬りで俺のほうに注意を向けさせ、イトの妖術連続コンボでやっとどめを刺してもらう。


火の妖術3回を脳天にくらったところで、熊は消えた。




このクラスが沢山出てくると大変だったと思うが、これが実質的なボスみたいなものだったらしい。 あとは雑魚ばかりで、時間こそかかったが、問題なく14層の出口にたどり着いた。


もう、かなりの時間がかかった。

外の時間で言うと、もう夜の9時だ。


ここで帰ろうかとも思ったが、やはり不測の事態に備えて、できるだけ先に進んでおきたい、というイトの希望もあり、俺たちは15層の階層主に挑むことにした。

十分に休憩をとり、食事もすませてボス戦に臨む。本日最後の戦いだ。気合を入れていこう。



第15層は階層主がいる。

ここも、10層と同じように、一本道が続き、着いたところはお寺の本堂のようなところだった。



中に入ってみると、14層にいたのと同じ熊と、犬が二頭。それから人間の大きさで剣を持った大ハニワが一体と、半分くらいの大きさの小ハニワ2つがいた。


大きいほうから倒すか、小さいほうから行くか。内から行くか、外から行くか、っていうアナウンスがあったな…などと考えたりする。ここからレースが動きます。

 

大きいほうを倒せば、小さいほうはどうにでもなると思うのだが、実際のところは大きいほうから倒そうとすると、小さい連中に邪魔される。


ここはセオリー通り、小さいほうから倒さなければいけない。


大きいハニワに関しては、今度こそ横なぎで斬るわけにはいかない。注意しないと、中にいるかもしれないイトのお姉さんを斬ってしまうことになるからだ。



というわけで、俺はまず小さいハニワを片付けようとする。そうすろと、なぜか犬が俺にちょっかいをかけてくる。

その向こうで、小さいハニワがイトを攻撃しているのが見える。


こいつら、俺たちの攻撃パターンと弱点を知っているようだ。



俺は妖怪に弱く、イトはハニワに弱い。

それを見越した攻撃のようだ。


俺は、ハニワを呼ぶ鈴を振る。

何とか、イトを攻めているハニワが離れた。


それはいいのだが、大小ハニワがまとめて俺に襲い掛かってきやがった。


まあ、ハニワは足が遅いので、何とか逃げることはできる。


とりあえず態勢を立て直し、小ハニワ一体を斬る。


やった!と思った瞬間、後ろから犬に体当たりされた。

え?と思ったら、俺はそのまま大ハニワの前につんのめって出ていた。

大ハニワの持つ剣が俺に振り下ろされる。


あ…これは死んだか。



と思ったとろこで、ハニワの剣に犬がぶちあたった。

まさか妖怪が俺を助けるわけがない…と思ったら、イトが犬をぶん投げてくれたのだった。


どこにそんな力が…と思ったが、どうやら風の妖術で飛ばしてくれたらしい。


とりあえず命拾いした。まあ、やられても戻るだけなんで死ぬわけではないが。


俺は、何とか大ハニワの横を抜けると、向き直って大ハニワの斜め横から、上段に構えて埴輪斬りを振り下ろし、大ハニワの頭の横から5分の1くらいのところに斬りつけた。


大ハニワは、そのまま斬れた。そしてそのまま胴まで縦割りになって斬れた。中にイトがいたときは、強い手ごたえがあって、ハニワのかけっらが落ちていったのだが、中身がないとこうやって斬れてしまうこともあるんだな。  10層でもそんな感じだったし。


そのあと小ハニワを片付け、イトのもとに向かう。だがイトももう熊を足止めしていて、口の中に風の妖術を放つとろころだった。


そのまま熊の頭が中からはじけ飛んだ。なかなかえげつない攻撃だ。

そのまま熊は消えた。



今回は、熊の牙と爪が落ちていた。巻物はない。

牙は二つ、爪は6つも落ちていた。

何に使うのだろう。 そういえば、最初に手に入れた鬼の角も使っていない。


「ここにもお姉さんはいなかったな。」俺がイトにいうと、


「うん、やっぱり二十層だね。」明日は挑戦できるかな。」イトも答えた。


予定通りのスケジュールで進んでいる。明日は二十層まで攻略を終えて、そのままイトの故郷までいければいいと思う。

その意味、食料は多めに持って行かないとな。


俺たちは家に戻って、風呂に入った。時間がもったいないので、一緒に入った。

イトに石鹸とシャンプーの使い方を教えた。


そして、イトが髪を洗うのを手伝う。

その後はイトに体を洗ってもらった。 その際、手ぬぐいを使わずに…こほんこほん。


以下省略。


米を電気釜で可能な限り炊く準備をし、おかずになるものも自然解凍の準備をしてから、床についた。


明日はいよいよ二十層に挑戦だ…と思うと武者震いがする。


イトが、「

「ソウ、大丈夫?」と聞いてきた。


「もちろんだ。」と俺は答える。


そして、すでに大丈夫じゃなくなっているとところを使って、寝る前の儀式を行った(笑)。


しかし毎晩これでいいのだろうか? いろいろ大丈夫かな…



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