第9話 童貞喪失なんて簡単にできるわけがないと思ったのに
俺が正直に、
「彼女の年齢はわからない。言葉もあまり通じなかったしな。実は、地下の洞窟みたいなところを探検していたら、ハニワの中から出てきたんだ。」
と説明したのに、かおりは全然信じてくれなかった。
…まあそうだよなあ。説明している俺だって、他人に言われたら信じるわけがないしな。
仕方なく、俺は前から考えていたストーリーを話すことにした。
「実は、彼女は記憶喪失みたいなんだ。名前はイトっていうらしいけど、それも本名なのかあだ名なのかもわからない。山の中にいたから、保護したんだ。記憶喪失だから年齢もわからないし、手がかりがない。
まあ、この山の中でゆっくりしていたら、そのうち思い出すんじゃないかな。それまで面倒を見てあげようと思っているんだ。」
かおりは疑惑に目で俺を見た。
「何か、疑わしいわね。まさか誘拐してきたんじゃあないわよね? あとは、家でをそそのかして連れてきたとか。」
どうしても人を犯罪者にしたいのか。
「誘拐したの? 援助交際を誘ったの?どうやってだましたのよ?言いなさい!まだやってないなら、罪は軽いわ。淫行までついてたらもう無理かもよ!」
…なんと恐ろしいことだ。絶体絶命だ。
明日から、俺は犯罪者なのか…。
突然、イトが首にかけている勾玉もどきに何か言った。「★〇)=…」
勾玉もどきが光る。
何かよくわからないけど、特殊な機能が発動したのだろうか。
すると、かおりの態度が見る見るうちに変わった。
顔も柔和になっている。何が起こった?
かおりは俺に言う。
「そう、記憶喪失なのね。大変よね。だったら、羽庭くんがしっかりお世話してあげないとね。そのうち思い出すかもしれないし。」
おお、突然態度が変わったぞ。まさか洗脳…ぶるっ。
かおりは続ける。
「ああ、服も着替えがないのね。じじゃあ、今日っは私の着替えの予備を使ってね。
あと、来週金曜日に、私の着なくなった服を持ってきてあげる。 下着とかもあったほうがいいよね。アレとかも。」
アレが何だかわからないけど、聞かないほうがいいと思う。
「イトさんもしっかり食べてね。今夜はこれから大変よ。」
あの…据え膳食ってもいいんでしょうか。
「羽庭くん、彼女はたぶん初めてよ。あなたもあまり経験ありそうに見えないよ。」
おっしゃる通りです。
「私で練習させてあげるから。」
…なんのですか、なんて聞かなくてもよさそうだ。
でもなあ。
「俺は責任とれそうにないんだけど…」 本音を言う。
清水かおりは笑った。肩まである髪の毛が揺れる。
「バツイチアサラーが、一度寝たくらいで責任取れなんて言わないわよ。童貞くん。」
どうせ童貞ですよ。
そのあと、テレビを見ながらゆっくり食事を終えて、片付けた。
風呂を沸かしなおし、かおりとイトは入浴した。
かおりの湯上がりのバスローブ姿が妙になまめかしい。
薄化粧しているようだ。
イトは、俺が出した別のTシャツを着ているが、俺のトランクスではなく、ピンクのショーツを付けている。かおりが持ってきたものだろう。
あとはもう寝るだけだ。
一応、布団を別々に三組違う部屋に敷こうとした。
するとかおりが、「面倒だから、ちゃんと三枚くっつけて並べて。」
と言ってきた。
イトまでうなずいている。
ええい。もうなるようになれ。
俺は布団を三枚並べて敷いた。
そして電気を豆球にして、真ん中の布団に入った。かおりとイトが左右の布団に入った。
さて、どうなるのかな、と思ったころで、かおりが掛け布団をはぎとり、野獣のように俺にのしかかってきた…。
正直、それからは無我夢中だった。
かおりにリードされて終わったかと思うと、今度は俺がイトをリードする。
ゆっくりと、何とかなったと思ったら、そのあとはかおりとイトが二人で俺を責めてきた…。
そのあとも果てしなく続いたような気がする。どこまでが事実で、どこからが夢だったんだろう。正直なところ、自分でもはっきりしない。
…童貞喪失が3Pになるなんて、普通ありえないです。昨日までの俺なんかそんな羨ましい奴の話を聞いたら、ハンマーで頭をかち割ってやろうか、とさえ思ったことだろう。
…悲しいけど、これ、自分のことなのよね…。
いや、別に悲しくないんだけど。
ーーーーーー
今回は、ちょっと短めです。
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