第19話 危ない提案に乗る人がいるわけがないと思ったのに


翌日、今度は結婚式をすることとなった。

急な話ではあるが、村が混乱しているのでこういうイベントで皆の気持ちを収めるのがいいらしい。

まあ、昨夜の宴会は長の一族とイトの両親くらいしかいなかったからな。



午前中は村を案内してもらい、午後はイトは準備があると言うので俺は長、つまり父と話をしていた。


長は、俺に嫁をもっと取ってほしいと言ってきた。だが、俺は向こうの世界では嫁は一人しか持てないと答えた。


すると、嫁をこちらに置いておけばいいではないか、と言われてしまった。だが、今は向こうとの往復は大変だし、ずっと父親がいないのもよくないのでは、と言ってなんとか退けた…と思ったのだが。


天気は快晴で、夜も寒くも暑くもない、いい季節だ。


村の真ん中にある集会用の広場に毛氈がしかれ、俺とイトはそこに座った。


村の者がほぼ総出だったのではないかと思う。すごい人数だった。


大巫女が祝詞を唱え、長が俺とイトに酒を注ぐ。

いわゆる三々九度に近いような儀式だった。


長が宣言する。

「これで、我が村の巫女、イトは、常闇の洞窟を通って村にやってきて、皆のものを救った英雄、羽庭創に嫁ぐことになった。」


歓声があがる。


長は続けた。

「ソウとイトは、洞窟の向こうの世で生活することになる。

だが、ソウの血を、こちらの村に残したい!」



え?いきなり何を言い出すんだ?

俺は驚いたが、聴衆は沸いた。


「英雄の子種を受け継ぎ、この村を繁栄に導きたい者は、後ほど我に申し出よ!」


聴衆は沸きに沸いた。


大歓声の中、乾杯が行われた。

「イトと英雄ソウの結婚と、村のますますの繁栄を願って乾杯!」


食事と酒はうまかったが、ひっきりなしにいろんな人たちが挨拶にやってきた。

娘を差し出すとか自分をもらってくれとか、もうわけがわからなかった。



イトが止めてくれればいいのに、イトは

「ソウの血がこの村にたくさん入ることは私も大賛成!巫女なら確実に孕むし、そうでなくてもあの赤い勾玉を持っていれば、たぶん孕むと思うよ。」


そうなのか…俺に拒否権はないんだろうか。



童貞喪失は3P,そしてその後はみんなに種付けか…。なんだか自分のことを言っているとは思えない。


俺は自棄になり、べろべろに酔っぱらおうと思ったが、あの酒は体に優しく、悪酔いしない。

それに、もし酔って倒れたら大巫女が呪術ですぐに治してくれると言われてしまった。


もう、なるようになれ。


宴は夜遅くまで続いた。


結局、イトの姉と妹、それから子のない夫婦5組が選ばれた。

子のない夫婦は、子が出来たら自分たちの子として育てるという。夫が納得しているのかと思ったら、むしろ夫に頼まれてしまった。 これは断れない。


あと、イトの姉と妹は、形の上では長の養女となり、長の一族扱いで庇護を受けることになるそうだ。


あれ?よく考えてみると、俺の親父が、孫をたくさん近所に欲しいだけだったのでは?などと邪推してしまう。



その夜は、長の家の客間に泊まった。

イトと俺は一応初夜だ。


だが、すでにイトの腹には俺の子がいるそうだ。

だから、控えよう…と思ったのだが、イトから積極的に求められてしまった。


これから数日間は、俺の子種は他の女性にいくから、という理屈らしい。その辺はあまり理解できないが、それはまあいい。


参ったのは、イトが大きな声をあげたことだ。


どうやらこの村では、初夜は他人の家に泊まって、大きな声を出す風習があるらしい…本当なんだろうか?

すっかり搾り取られて、泥のように眠った。



翌朝、父と顔を合わせたら、いきなり「ゆうべは、おたのしみでしたね。」と言われた。


あんたは某ゲームのNPCかよ。


朝食のあと、長と大巫女と打合せをして、今後の方針が決まった。

今日は午前一回、午後一回で終わり。

明日は午前一回、午後一回、そして夜にイトの姉。

明後日は午前一回、そして夜にイトの妹。


夫婦との場合は、俺がハニワをまず一体出して、夫に埴輪斬りで斬らせ、勾玉を手に入れて妻に渡す。その後、俺が種付けをする。終わったまた俺がハニワを出し、今度は妻に斬らせる。妻は夫に勾玉を渡し、今度は夫とまぐわう。

その後、大巫女が祝詞を上げて終わる。


これでワンセットだ。ちなみに、まぐわう時は二人きりだ。さすがに見世物じゃない。



イトの姉と妹については、「好きにしろ。:とのことだった。

俺は開きなおり、好きにさせてもらうことにした。


二人は巫女だから、間違いなく妊娠するらしい。



というたわけで、一応つつがなく種付け、いや英雄の血を残す儀式は終わった。


イトの妹との儀式}も終わり、俺に求められる業務(笑)は終了した。


そろそろ帰らないとな。


翌朝、イトに「そろそろ帰ろうか」と言ったところ、「じゃあ、明日の朝のうちに帰ろうか。」と合意してもらえた。


最後の夜だから、きっと実家で親子水入らずで過ごすのだろう。



…と思ったら、最後の夜ということで、三姉妹と4Pという、得難い経験をさせていただくことになった。うーん。みんな違って、みんないい。

さすがに姉妹で、すごく息が合っている。フォーメーションもぴったり、交代もスムーズだ。チームワークの取れたスポーツチームのようだ。


イトに三姉妹の年齢を聞くと、19,18,17だと言う。

イトは18だからいいか。妹さんは17だって?日本じゃ捕まりそうだ。おまわりさん、こっちです。


翌朝、俺とイトは、長やイトの家族に挨拶して、帰ることにした。

皆に見送られて、村を出る。


土産として、酒をたくさんもらった。そのため。、大ハニワを召喚し、酒を持たせて返すことにした。

こいつらも、それなりに役に立つな。まあ、足が遅いのが欠点だが。


ゆっくりと常闇の洞窟にたどり着く。


そこからは、土妖術で地盤を慣らしながら進む。

こうすることで、ハニワ運送がスムーズに行えるのだ。


帽子と兜をかぶっているので、基本的に戦闘をしないで最奥にたどりついた。


裏からなので、無理に階層主を倒さなくても通り抜けられる。


最奥の部屋に到着した俺たちは、荷物持ちのハニワをそこに残し、酒も大部分そこにおいたままで帰ることにした。倉庫代わりだ。


珠に触れて自宅に戻る。

家に帰り着いたのは、もう真夜中だった。


それから風呂を沸かし、二人で入って、そのあとは例によって寝る前の運動をした。


自宅の布団が心地よい。もう、ここが俺とイトの我が家なんだな。


俺はイトと抱き合いながら眠りに落ちていった。


ーーーー

ここまで読んでいただいて、ありがとうございます。

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