第15話 戦う前に仮眠ができるわけがないと思ったのに
気が付くと、黄泉の洞の外、物置の中に倒れていた。イトも横にいる。 俺は何とか意識を取り戻し、起き上がる。
顔を叩いて気合を入れなおし、イトに声をかける。
「イト、大丈夫か!」そういいながら近付くと、イトも目を開ける。
「ソウ…私たち、負けたのね。」イトが悔しそうに言う。
「ああ、そうだな。とりあえず家に帰ろう。」俺はイトにそう促す。
俺もイトも疲れ切っていた。
負けたために、余計に疲れていたと言ってもいいだろう。
時間はもう深夜12時近かった。2時間くらい倒れていたのだろうか。
手を洗って洗濯ものを取り込み、なんとか風呂に一緒に入り、そのまま一緒に寝た。
疲れすぎていたので、何かしたのかも覚えていない。
ただ、朝目をさますと、例によってイトが俺の胸にしがみついて眠っていたのと、イトがノーパンだったことだけ記しておこう。
俺は、確認のために黄泉の洞の入口まで行ってみた。
階段を降りようとすると、なぜか入れない。 結界のような、バリアのようなものがあって、穴の中に入れないのだ。
やはり、24時間のペナルティが成立しているらしい。 であれば、今夜の10時過ぎまでは
入れないことになる。 そこまで作戦を考えたり仮眠をとる時間がある。
俺は、午後仮眠をとることにして、とりあえず起きているうちにやることを考える。
まあ、大きく言えばやることは二つだ。
1)ボスを攻め落として、ハニワの中のイトの姉をお相伴させることになります。
2)そのままイトの村へ向かう。
もう日数の余裕がないので、とにかく行くしかない。
さて、あの物量作戦をどうさばくかだな。
とりあえずイトを起こして、朝食を食べながら作戦を練る。
「あの数に対処するのは大変だぞ。何か方法は考え付くか?」
「鬼の角とか熊の牙、使ってみたら。」
そうだった。鬼の角や熊の牙や爪は、爆弾の代わりになるんだった。これを使わない手はない。
あと、あの櫛は何に使えるのだろう。単なるアクセサリーではないと思う。
イトに勾玉で調べてもらうと、意外なことがわかtった。
あの櫛を髪の毛に挿しておくと、妖術のパワーがが上がるそうだ。
イトが無敵になる。
それだけではない。ちょっと似合わないが、俺が挿したら、俺のへっぽこ妖術もパワーがましtえ使えるかもしれない。
まあ妖術は黄泉の洞の中でしか使えないので、効果がああるのかはわからないが、とりあえず巻物を使うことに使用。黄泉の洞に入ったらすぐにだ。
飛び道具が使えるならやりやすい。
俺とイトは、鬼の角、熊の爪と牙に糸をしばりつけた。そして、爪について、それだけでは軽いので一緒に勾玉をしばりつけた。いとはちょっと長めにした。むしろ投げ縄みたいな感じだ。
あとは弁当を作る。今夜はそのままイトの村に向かうことになるだろう。
何日間過ごすかわからないな。
俺は防災無線で、次郎じいさんに連絡した。
「これからちょっと出かけるので、金曜日は不在になると思います。戻ったら連絡します。」
「おお、そうか、わかった。かおりにも言っておく。」
話が早くて助からう。
準備ができたら、昼飯を食って仮眠を取る。
仮眠と言っても、夜10時までは出られない。まだ昼の一時だし、簡単には眠れない。
眠るには軽い運動がいい。
というわけで、俺たちは二枚の布団を干し、もう一枚に二人で寝て、仮眠前の運動をしてから眠りに落ちた。
気づいたら7時だった。もう暗い。
布団を取り込み、夕食を食べて弁当の準備をする。
毎日握り飯ばかりだが、イトは文句を言わない。
たぶん、村よりいい生活なんだろう。
あるいは、食事というのはこういうものだと思っているのかもしれない。
俺はイトに聞く。
「これから20層を抜ける。そうして、イトの村を救う。そのあとはどうする?」
イトの希望を聞く。
「もちろん、ここに戻ってくる。ソウのいる場所が、私の居場所。」
俺はイトに聞く。
「村の巫女はいいのか?」
「お姉ちゃんを救いだっせば、問題ないでしょ。」
「もし、救えなかったら?」
「やる前からできないなんて考えたらダメよ。やるたけのことをやって、結果に向き合ってまた考えればいい。」
ポジティブだな。
俺たちは、物置の中野黄泉の洞の入口まで行く。
「イト、行くぞ。」
「うん。行こう。」
俺とイトは、19階層の終わりまで転移し、そこで準備をしてから、階段を降りて20層に入った。
最大の準備は、ハニワの呼び寄せだ。俺は、19階層までのハニワを5体同時にあやつることができる。
19層にいるハニワを呼び出した。 すると、大ハニワが2体、中ハニワが3体現れた。
そして、某ゲームのように、みんなでぞろぞろと並んだままでボスのいるところまで進んで行った。
戸を開けると、予想通り昨日と同じラインアップだった。
大きな頭の大ハニワと、それを守る大ハニワ2体、それに中ハニワが5体。それと、一本角の大きな青鬼、それから狼5頭だった。
さあ戦闘開始だ。
いきなりイトが鈴を鳴らし、妖怪のヘイトを稼いですぐ結界を張る。鈴すぐに俺に渡された。
妖怪は、結界の上からイトを攻撃しようと躍起になる。lこっちはとりあえず大丈夫だろう。
俺は予定通り、まずは大ハニワにマンツーマンディフェンスをさせる。
ただし、中ハニワ一体では大ハニワを抑えきれないので、中2つで大に対抗する。
そうすると俺の中ハニワが1体、向こうの中ハニワ5体となる。
さすがに5対1では勝てない。
何とか俺の1体を操作して敵の2つを止めさせるが、残りの3つが俺に向かってハニワの速度でゆっくりやってくる。
その3体が横に並んで俺に向かってきたところを、埴輪斬りで横なぎに斬り飛ばす。
結構あっけないものだ。3つとも、そのまま消えた。
改めて埴輪斬りの凄さを実感した。
その間、イトはずっと結界で自衛している。
さあ、次だ。
俺は相手の中ハニワ二つを抑えてていた俺の中ハニワを操作し、
1つだけ俺に向かわせる。
あとは埴輪斬りの簡単なお仕事です。
もう一つもリリースし、袈裟懸けに斬りつけておしまい。
あとは大ハニワ3つと妖怪だ。
今度は大ハニワを抑えている中ハニワ2つもリリースし、中ハニワ3つでイトを結界の上から攻撃しようとしていた青鬼を抑えさせる。
そこで俺は鈴を使い、リリースされた大ハニワを呼び寄せる。
ちなみに俺のハニワは、俺の鈴に反応しない。あくまで敵のハニワだけヘイトを稼ぐのだ。
大ハニワが俺に向かってくる。
俺も大ハニワに向かって走り、直前で横を回り、後ろから足を斬る。
大ハニワはバランスを崩して揺れる。その気を逃さず、俺は上段からハニワのど真ん中へ埴輪斬りを振り下ろす。
大埴輪はそのまま消えていった。
大ハニワ3つのうち、イトの姉が入っているとしたら頭でっかちの大ハニワだろう。イトがそうだったから。
なので、俺は躊躇せずに大ハニワを斬ることができる。
ここで俺は再度鈴を使い、今度は妖怪を呼び寄せる。とはいっても、鬼は抑えているので、狼五頭だ。
俺は、狼に対して、縛った糸の先を持ったまま、熊の爪を投げつける。
すると、うまく一匹の狼の足に糸が絡まった。その狼はちょっと足止めされている。
俺は気をよくして、もっと投げる。今度は二頭一遍にひっかかった。
俺は、櫛を頭に挿し、火の妖術を使ってみる。
すると、結構大き目の火の玉が手の先から飛び出し、二頭の狼の足にからまった熊の爪を直撃した。
バアン!
かなり大きな音がして、二頭の狼が弾けて消えた。
「イト!」俺はイトに声をかける。
イトはすぐに結界を解除し、俺に向かってくる1頭を風の妖術で屠る。
俺はもう一つ爪を投げる。一頭にうまくひっかけることができた。
その直後、イトの火の妖術が連続で飛び、さっきの一頭と今の一頭を連続え消し飛ばすことができた。
まだ爪も牙も残っている。
俺はありったけの爪と牙を鬼を抑ええている中ハニワの一つにひっかけ、他の2つの中ハニワを下がらせる。
鬼が、残った中ハニワを押し倒す。その直後に、俺の火の妖術が飛ぶ。すると、ハニワごと鬼の足が飛び散った。 ハニワ爆弾だな。
鬼は右足を失い、動けない。
俺は、素早くイトに櫛を渡す。
イトは櫛を頭に挿し、火の妖術をぶちかます。
ドーン!
さっきとは比べものにならないくらい大きな音がして、鬼が飛び散った。
これで妖怪は終わりだ。
あとは普通の大ハニワ1つと本命の頭でっかち大ハニワみだ
ーーーー
長くなったので、いったん切ります。
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