壱 昼と夜の別命始動
第11話 ポイント・マキノ合宿 初日
東のポイント・マキノに、西のポイント・
これらは、より正確には、宮古島市西部に位置する陸自宮古島駐屯地より琵琶湖岸の北北東と北西とにそれぞれ、ミサイル連隊員が確保している
両拠点には、ドローン等により、
両ポイントには、琉球準州軍の揚陸艦がそれぞれ一度ずつ上陸しており、小型ドーザを各3両を展開してくれている。任務で宮古島に寄港中であった琉球準州軍の揚陸艦の部隊員は今や、宮古島市民のために陸自駐屯地と一体となって活動中だ。
☆
ということで、伊良部島からの高速ボートで琵琶湖を突っ切ったわたし達は、ポイント・マキノの小型ドーザで整地してくださったらしき平地に立っていた。
だいぶ遠くの奥の方から、小さくだけれど、重低音が爆裂音が聞こえてくる。
「ハダカスキー男爵だな」
「あぁ、今日もお盛んだな」
聞いていた、
ポイント・マキノのすぐ北から始まる小山群が運河作成の最大の障壁。眼前に悠然と拡がる山々を前に、
それにしても、
思わず
「
と質問してしまった。
「あぁ。」
「だいたい男爵位くらいを持っているのが、悪いことをするものなのだろう?
ボッタクリ男爵とかスケベスキー男爵とか、な」
と両手を広げておどけてくださった。
「そうだ。爆裂の異能の他に、上着下着透視の異能なんてものまで授かった輩が、平民ではいけない。爵位くらいは授けなくてはな」
と
(おや、もしかして、両鬼姉様は、夜は中世系のラノベなぞをお楽しみなされているのかしら)
これから、両鬼姉様に鍛えていただく立場だというのに、お二方の会話に少し和んでしまった。
☆
わたしが甘かった。初日ではあるし、お姉様方がなごみ系の会話を繰り広げてくださったこともあり、今日は基礎訓練的なことをするのだろうと思っていた。やはり、お姉様方は鬼姉様方だった。
いきなり両手にエムデシリの制圧警棒を持たされたわたしは5分ほど両の手で素振りをさせられた後、お姉様方に防具をつけられた。
嫌な予感がする中、わたしは、模擬警棒を構えたお姉様方と対峙させられた。
「ほら打ってこい」
と促されたわたしは仕方なしに、お姉様方に向け制圧警棒を振るう。
・・・振るいはしたが、何しろ制圧警棒は重い。身体強化施術を受けた隊員向けに最適化されており、6㎏もあるのだ。その重さと強靭さゆえに、力ある隊員が振るうと
速度を欠いたわたしの打ち込みはお姉様方の模擬警棒で軽々と受け止められる。いや、かわすことも簡単なのだろうが、あえて受け止めてくれているのだろうな。
何十発か連続で制圧警棒を振り回すことを繰り返させられた後に、はい、一区切りとばかりに、お姉様方はスパーンッとわたしの身体に模擬警棒を振るう。しなやかな模擬警棒とはいえ制圧警棒を受け止められる強度は持っている。お姉様方が軽々と振るった模擬警棒は、防具越しのわたしの身体を打ちのめした。
途中からはまったく数を数えていなかったが、おそらくは500回以上、制圧警棒をお姉様方に向けて振るった後、ようやくに初日の訓練は終了した。
防具の下のわたしの身体は全身汗だくだ。
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