零 人道的見地より、ナノマシン絶賛装備開始
第1話 密命な別命の始まり
ミカ校『地域密着型広報誌ジミカ』編集委員会、会議室。
会議机に向かい合って座っているのは、学年も成績も身長もスリーサイズも対照的な2人の少女。
☆
眼前の友利編集長に、
「・・・ということで、ジミカ編集部としては、和希君の取材アシスタント役をほのかさんにお願いしたいという考えに至ったのよ」
と、天女の微笑みと共にほんわかとした声で話しかけられた時、編集部でのお仕事がもひとつ増える話、とわたしは理解した。
合計5つある宮古島市のWEB地域広報誌の中でも、『ジミカ』は、島民の皆さんのいいね獲得数ランキング1位を賜っている。
そんな『ジミカ』の一番の人気コーナーは、友利編集長御自らがレポーターとして島民の皆さんの市民生活を取材する「宮古島市カレントリー」である。主役はあくまで取材を受けてくださった市民の皆さんなのだが、皆さんの話の聞き手が友利編集長であることがコーナーの人気の秘訣である。
友利先輩は、地元宮古島市からの数少ないミカ校進学者。
先輩は宮古島東部の閑散とした地域の仔牛農家の長女として生を受けた。彼女が小学5年の年に、母牛の乳の出が悪かったことと折りからの景気悪化とにより、一家の稼ぎは半減した。一家の危機に、彼女は地元宮古島市に誕生するリケジョの園ミカ校(正式名称・防衛省外郭自衛高等ミサイル科学校)へと進学し、有給の女子中学生となり、家に仕送りをすることを決意した。市役所が無償配布していたミカ校過去問集と市民図書館の参考書だけを頼りに、首都圏の中高一貫トップ校に迫る難易度であるミカ校受験の三期生となられた。
そして、
そんな友利先輩と向かい合って座るわたしは、本年にミカ校中等部になんとか入学できたものの、学業の成績は散々だ。大先輩である友利編集長と、編集室ではじめて2人きりとなりお話を受けている。しかし最下級生にしてビリガールにして小心者であるわたしに、不思議と緊張感は高まらなかった。
それが友利先輩のお人柄なのだろう。
友利先輩が月々給付される給与のほとんどを父の口座に振り込み、父母の仔牛農家経営の再興を金銭面から5年間支えてきた話は、生きた伝説である。多くのミカ校生と島民の皆さんにとって、友利先輩はいわば聖女様である。
もちろん、わたしにとっても。
そんな聖女様がわたしに与えてくださる別命は、しかし、斜め上のものだった。
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かくして、ミカ校の最下級生にしてビリガールである
・・・体重9㎏増を伴っての別命に携わることとなった
皆様、よろしくお願いいたします♪
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