第9話 少し密なパーティで、ハピネスチャージ
着替え室。先輩方のご配慮として、わたしに用意されていたのは、なぜだか実家から持ってきてしまった小学生低学年の頃の伸び伸びタンクトップと、兄貴のお下がりの緑のダサすぎジャージ(「
先輩方にお姫様抱っこに近しい可愛がりを受けて持ち上げられながら、その3点セットに着替えさせられたわたしは、先輩方と
中1も終わるというのに、上着ジャージ縛り。先輩方の可愛がりはまだ続くようだった。
☆
「カンパ~イ!」と、クラスでも一番良く通る
先輩方とわたし達はほうじ茶で乾杯をした。
さて、と、わたしは、今宵は先輩方のおもちゃに徹しようと覚悟する。根は優しい先輩方である。ただ、皆、弄くりたい盛りの乙女な年頃であらせられるので、最下級生でミクロサイズなわたしはいじくられ放題なのを覚悟しなければ寮では生きてはいけない。
初めて穿かされた水色縞パンがなるべく見えないようにと緑の
けれども、先輩方の弄くり攻めを、今宵のわたしは受けることがなかった。むしろ、何かの用で室を外していかれる先輩方が多い。
☆
本日放課後の目まぐるしい数時間を、少し振り返っておこう。
事の背景は、むろん、宮古島市在住の皆さんの生活必需品の確保である。生活必需品の需給状況を集計するミッションを市役所が主に担当しており、駐屯地が不足が見込まれる物資の確保を支援しているとは聞いている。委細は、わたし達ミカ校生には伝えられていない。
ただ、先々月に
小型ボートでは十分な物資輸送が難しいことは分かる。けれども、外地に舗装路などないのだから、昔ながらの水運が一番効率的な物資の運搬手段となる。
だからこその運河作成計画。ルカサブロウ君が
ついでに生じたという、透視の異能。山中で不審な
その副作用が、わたし達の衣服も下着も透視されてしまうこと。その副作用を止めるための、わたしへの体重増加を伴うナノマシン注入・・・7万人の市民の皆さんへの物資調達という大目的のためには、必要な手段なのだと理解することにしよう。
明日からは・・・
☆
先輩方がご不在であったことの答は、友利会長と共にやってきた。
「ほのかちゃん、今日はごめんねぇ」
未だミカ校制服で今宵もお忙しいかったことが伺われる友利会長は、両手を合わせて謝ってくださった。聖女様のお祈りのポーズに眼福である、むしろ。
続いて、頭をよしよししてくださりながら、友利会長は、
「昨晩からナノマシン注入は始まっていたらしいんだけどね。わたしは、そのことは言う立場にはなかったの」
と続けられた。
「でもね。明日から始まる、ほのかちゃんが最強少女に到る道筋の整備には、わたしも参加するから、ここからはきちんと情報共有していくからね」
とわたしの瞳に向けておっしゃった。
はて、最強少女とは? 友利会長は、耳慣れない単語をさらりと口にされた。
まぁ、今はプライベートだし、明日からのわたしのミッションを言える範囲でわたしに予告してくださったということだろうか?
これまでのそう長くはない人生で、最強を目指そうと思ったことは一度もないわたしだったけれども、眼前の友利会長の
最強に関わる何かを先輩方は話し合っていたらしい。
友利会長の後ろには、勢揃いなされた先輩方に加え、ルカサブロウ君と
その後ろ、室の入り口には、正式装備を身に着けたエムデシリの隊員様2名が。学校で認められたルカサブロウ君入室ということなのだろう。
ルカサブロウ君と何の情報交流をしていたのだろうか?
そこからは、先輩方がルカサブロウ君に短い歓迎会を開催した。ルカサブロウ君達の在室時間は15分とのこと。
短い時間だが、先輩方は大盛りあがりである。
(・・・まぁ、あの美幼女エルフ姿ならば当然よね・・・室でこれまでわたしに与えられてきた、
すぐ背後にて背筋を伸ばし直立不動で立つ、
(刃傷沙汰には及ばないでね)
と、すこし生暖かい目を向けていると、ただ単に美幼女エルフかわゆすでルカサブロウ君を取り囲んでいるわけではないというような先輩方のリケジョ的な会話もお見受けされてきた。ナノデバイスの取り扱いについて、ルカサブロウ君に聞いてくださっているのかもしれない。
☆
わたしのバースデー・パーティ 兼 ルカサブロウ君歓迎会の締めは、放送委員である
「HAPPY BIRTHDAY☆HONOKAN」のテロップの後、古の子供向けアニメの名シーンがリピートされる・・・元々は駐屯地の隊員さんの個人的コレクションだったのを、厳しい状況にある市の子どもたちを元気づけるために特別放映しているのだという・・・著作物の人道的活用という奴ね。
わたしは、
わたしを見つめる皆の前でひとり横になった
(いえ、その角度ならば、プレゼントいただいた水色縞々下着、十分に見えてるでしょ)とわたしが思う中、締めの儀式の準備は整った。
アニメの主人公ラブリーのセリフに合わせ、友利会長のせえので『不幸はここまで! この自衛高等ミサイル科学校生が、みんなのハピネス、取り戻すんだから!』と皆で声を揃えて言い、会は締めとなった。
ルカサブロウ君と巫女姫様は、エムデシリの隊員様たちに護衛されながら、退室していった。
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