じみか。 於・自衛高等ミサイル科学校ST℮M少女之学舎 人道的異世界探訪記

十夜永ソフィア零

(イントロ①)人道的別命の制服は、巫女服とナース服にて

 2038年のこどもの日の夕刻。

 (異世界転移後も、わたし達は今まで通りのカレンダーを使用中)

 

 宮古島市は伊良部島にある、ミカ校女子寮の集会室では、わたしの退寮式が行われていた。退寮と言っても、わたしがミカ校を成績不良で退学になったわけではない・・・中1の時に成績不良、正確には成績最下位だったのは事実だけど、ね。残念ながら。

 

 壇上には、三田みた寮監長様に、結愛ゆあお姉様に、心春こはるお姉様というエムデシリのお三方。普段は、わたしたち寮生の生活を厳しく律してくださっているお三方だが、今日はわたしと共にお見送りされる立場だ。

 

 そう、これから、これからわたし達4名は、琵琶湖を挟み島外に拡がる中世風異世界の日輪国へと赴く。今月より、対外的には、宮古島市は日輪国を従属国としているエルメヌーム帝国の統治体制に組み込まれている。それは、異世界転移から半年を経て、市民の生活物資が困窮する中での苦渋の決断であった。 

 エルメヌーム帝国はイスラムの例にならい、従属国に政教分離を求める。い、従属国の宗教を統べる者は神官長ハリーファ、政治を統べる者は王敦スルタンと呼ばれる。

 日輪国の王敦スルタンは、わたし達の宮古島市をイラブタンに任じた。

 幕敦バクタン体制を敷く日輪国では、地方豪族のような各地のタンが、上貢じょうこうの義務を追う代わりに任じられた地の統治が任される。日輪国から見ると、湖の中に新たに誕生した小島である宮古島市を、豪族が住まう地と認定した、というわけ。上貢じょうこう内容の委細はこれからなのだけれども、タンに任じられた豪族がすぐさま果たさなけれははならない義務がある。それは、姫または巫女姫の上貢じょうこう。要するに人質である。時として、王敦スルタンのお楽しみのために奥の間へと召し上げられることもあるらしいが・・・嫌ですわね、奥様。


 わたし達イラブタンは巫女姫を上貢じょうこうすることにした。

 エムデシリの保安警備中隊長を兼務なさる三田みた寮監長様は、巫女姫の筆頭側仕えに、屈強なエムデシリ隊員である結愛ゆあお姉様と心春こはるお姉様が巫女姫の側仕えである。

 そして、上貢じょうこうされる巫女姫とは、わたし。

 

 なぜか、ミカ校ヒエラルキー最底辺、中1ビリガールにして学校一のミクロちゃん、絶賛お子様ボディのわたしが、島外では巫女姫となる。それは、非常事態宣言下にある宮古島市のための人道的別命であった。現在のミカ校は、宮古島駐屯地司令、兼務、ミカ校校長代理の陸上自衛隊嘉納守一佐をトップとする非常事態宣言下にある。その嘉納一佐が発した別命による巫女姫任務。要するに巫女服コスプレのようなものである。

 

 わたしは、壇に上がり、巫女服コスプレでお三方の前に立った。巫女服を着ている時は、別命上、わたしがお三方の上に立つのだ。

 

 わたし達4人の外地行を皆が拍手で、祝してくれた。

 


 お見送り会の会食が始まった。わたし達4名は、いったん外に出て普段の服装に着替える。お三方は、むろん、威圧感十分なエムデシリの隊員制服に。

 そして、わたしは、ナース服に。

 形の上では、巫女姫に上貢じょうこうされたわたしだが、しばらくは儀式の時のみに島外に出る。普段のわたしは、というと、ミカ校の授業の大部分は免除である。まぁ、落ちこぼれのわたしが多少理系科目を頑張ったところで、何の役にもたたなそうだしね。

 ということで、ミカ校にいる時のこれからのわたしは別命により、ミカ校保健室に通うことになっている。このナース服は、先輩方が3Dプリンターでわざわざ作ってくださったお手製ナース服である。スカートが短めなところなど、先輩方に遊ばれている気はするが・・・

 そして、わたしは部屋に戻ると、先輩方に定められた罰ゲームをこなさなければならない。


(はぁ、なんでわたしはゲームの賭けに負けちゃったんだろう・・・)

 

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