第13話 シャワー室での振り返り
シャワーっ、と身体の汗を流しながら、
「しかし、今日の寮監長様、少しお優しかったんじゃないの?」
とわたしは、思った。
いつも御身体から感じてしまうオーラというか圧迫感というか、そのいつもの気配を、今日の寮監長様からはあまり感じなかった。
また、言葉遣いも柔らかった気がする。
数日間でナノマシンのレムちゃんを4㎏以上取り込んだことで、わたしがオーラ耐性を獲得したがためなのかもしれない。
でも、言葉遣いまで変わったということは・・・もしかして・・・
(寮監長様は、レムちゃんを取り込み終わったわたしが、ほんとに最強少女か何かになったら、エムデシリの隊員に取り立てるおつもりとか・・・?)
ふと、バディという語が思い浮かぶ。先月に、
ナイス・バディ(戦闘力的な意味)な
(・・・いやいやいや、それはないでしょう。無理無理・・・)
☆
エムデシリの正式名称は統合行政法人次世代ミサイル防衛線整備研究機構。英語名表記のMissile Defense System Research Institute, Integrated Administrative Agencyの頭文字を取って、エムデシリ又はMデシリと呼ばれる。
Mデシリは日琉米安全保障条約に基づいて、武器弾薬の所持が認められている保安警護中隊を持つ。
隊の人数比は女性60名に対し男性20名。
Mデシリの保安警護中隊は、男女同権にして男女同数が基本。けれども、宮古島市に女子校である自衛高等ミサイル科学校があるための隊編成だった。
中隊が目指すところのひとつに、琉球準州の条例に抵触するような不純異性交友の抑止がある。
エムデシリの中隊員各位様には、不純異性交友という不祥事につながる全ての行為を物理的に阻止する権限が与えられている。
それは全ての自衛高等ミサイル科学校生が知るところ。
知るのはミカ校の入学式の日の夕方。女子寮舎の入寮式においてである。
「ここで、エムデシリ警護隊の
その日の三田寮監長様は、脱柵者確保の勲章をお胸につけた警護中隊長の制服を身にまとい、鬼のオーラを発しながら、わたしたち新入生を見下ろす。
エムデシリ警護隊の
そうした
そしてて
良いを身体をお持ちのエムデシリ警護隊の精鋭の皆様が制圧警棒を振るい、逃げ惑う訓練用マネキンの上腕骨や大腿骨をバキッ、バキッと一撃で一本ずつ粉砕くださるのだ。
防護服を着た人体程度の強度を持つマネキンさんが、寮舎から抜け出した脱柵者の末路を、わたし達新入生に身をもって示してくれた。いかに再生医療が進化していようと、
☆
エムデシリの隊員となったわたしが、バディと共に、不純異性交遊の現場で制圧警棒をふるう・・・なんて、とても無理・・・素のわたしは、見た目通りの臆病な小心者なのだ。
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