第4話 2階。その2

相方がまだ一緒に住んでいたときのこと。


「俺さ、自分だけの部屋が欲しい」


突然の告白。うちも他と同じで下の6畳ほどの部屋で3人で生活してた。

家に3人ともいたら息がつまるよね。

でもさあ……。


「3畳しかあいてないけど?」

「ついでにベッドも欲しい」


はあ(怒)?たまにしか家にいない癖に厚かましくない?息抜き必要だとか理由つけていつも1人で遊びに行ってるやん。

急に何言い出すんだ?


「3畳だよ」

もう1回念押し。玄関側の部屋で特に気持ちの悪い部屋。正確には2畳半くらい。

リクエストはベッド、テレビ、ちょっとした棚。ベッド置いたら他は無理じゃん。


「全部作るからさ。手伝いと資金提供する?」

と提案してみる。断ると思いきや快諾する。


使わなくなってた洋服ダンスを再利用しベッドを作成。手前味噌ですがかなり立派なもの、できました。テレビも置けて、荷物も整理できて。寝たまま、手をのばせば色々できるようにしてやり。

狭さもあり、秘密基地のような感じ。


「うおっ、スゲっ。ありがとうな」

できてすぐ、大喜びでこもっちゃいました。


……夜。事件発生です。


「なんかが俺の足〜」

と叫びながら下りてくる後ろを…。

笑えるのですが、遅れてネコが下りてきました。ハイ。

「ビビリ過ぎやん。後ろみて」

「ネコか。なんかさ、ずっと見られてる気がしてたからさ」


ブツブツ言いながら、2階に上がっていきました。その日は何事もなかったみたいですが数日後

「悪いけどさ、下に戻っていい?」

なんでよ。そこでゆっくりしいよ、と知らん顔。


更に数日後。

「足掴まれた」

と下りてきました。ベッドに寝てたら頭元に誰か立ってジッと見てる感じがする。

眠ってたら手を握られた、足を握られたと。

「気の所為じゃん」と私。

「とにかく、もう下で寝る。絶対に上には行かないからな」


何があったかは分かりませんが以降、彼は階段を上がることすらしなくなりました。

数年して離婚成立。逃げるように実家に帰り2度と我が家には寄り付きません。

近くを通ったらスーパーの駐車場で待ちあわせしたりはあるのですが。

聞いてもごまかす。


よほど、怖い目にあったのかも。

後で母から聞いたのですが彼が頭を向けていた方の壁に神棚の跡があったと聞きました。


まだまだ話しはつきませんが今日はここまで。





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