第25話 雨の日は……

夜勤中、利用者様が珍しく皆さん夢の中。

何のトラブルもなく、静かに時間だけが過ぎゆくそんな夜。


相方はもうすぐ仮眠時間。私は睡魔と闘い始めるそんな時間。ぼあ〜っとホールの向こうの洗濯場を見るともなしにみていたら


「なんか、見えんの?」

「う〜ん……。女の子かな?」


見えてはいないけれども思わず言っちゃった。一瞬にして相方の顔色が変わる。


「マジか?」

「……」

相方の反応に嘘と切り替えできず無言に。


「言いたくなかったけどさ」

と前置き1つ。相方は話し始めた。


今夜みたいに静かな雨の夜。洗濯場から玄関にかけてね、女の子が出てくるんだ。

上の服はわかんないけどスカートは真っ赤のスカートを履いてて歳は5歳くらい。

何にもしないんだけど、いるだけ。

ジッとコッチを見てるだけ。

利用者様とか夜警さんがね、「女の子、どうするの?」と聞いてくる。うちらは見えないのにさ。みんな同じこと聞くからいるんだろうとは思うんだけどね。


話し終わって再び聞いてきた。

「見えんの?」


今度は正直に

「いいや」

と答えた。


「良かった。でもさっきの話しはホントだからね」


相方はそう言って仮眠時間に入った。


みんなが寝静まり、起きてるのは私だけ。

書類書きもPC作業も雑用も終わってる。

次の見回りまで2時間。


することないし、寝ちゃいそう。

……スマホで動画観ちゃだめかな?


とか考えてたらホールの先のガラスを叩く音!誰?怖いし。誰かいたっけ?


半分、いつでも逃げられる態勢でガラス戸を開ける。夜警さんだった。


「こんばんわ。いつも通りにお願いね」

紙をペラって渡される。それにハンコを押して渡す。


「こんな夜は彼女がでそうだね」

夜警さんはおやすみと手を振っていなくなった。


今日はここまで。次回をお楽しみに。


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