第9話 何故!
見通しのよい直線がズイッとのびている通り。当時は周りに家がなく田んぼの中の一本道だったから4つ先の信号までなんとか見えていた。
その道の横のコンビニの駐車場。
合流しようと左右を確認中。
3つ先の信号で信号待ちのトラックが小さく見えた。
よくスーパーなどにパンを配送しているあの車。あのくらいだから合流しても大丈夫かな?と判断した。
同時にその車もこちらへきているのが見えた。普通に考えたら大丈夫のはず。
無事に道路に入り、バックミラーをみる。
「えっ?」
あのトラックがかなり近くにきていた。
それだけでなく、どんどん大きく見えてくる。
つまりスピードをあげてこちらへ接近中。
あっという間に真後ろへ。
「ブッ、ブ〜」
いきなりのクラクション。考えられる可能性は合流したのが彼の怒りをかったということ。でも無理はしてないんだけどなあ。
ぶつかるか、ギリギリ切迫して追いかける。相手はトラック、こちらは軽。しかも550クラスのボロ中古。
今だったらスマホとかで警察に連絡できるが当時は公衆電話しかない。
しかも田んぼの真ん中だからスーパーもない。
路肩に避けたらやり過ごすかな?と淡い期待で避けてみてもやっぱり無理。
後ろにくっついて停まって待つ。
クラクションつきで。
あきらめて再び車を走らせる。
頭の中はフル回転で地図を検索する。
あ〜行って、こ〜行って……。
10分くらいでバイパスに出られる。
バイパスに出たらディスカウントストアがある。そこまで20分ちょい。
怖いなあ、なに考えてるんだろ。
バックミラー越しに相手の顔が見える。
自分の父より少し若いくらいの男性。
仕事中なんだろうに凄く必死に追い掛けてさ。信号変わるかのときにそのまま行っても停まらずついてくる。
パッシング、クラクション、べた付け。
怖いな、やだなあと思いながらも頭の中は以外と冷静だった。
目的地のお店の看板が見えてきた。
あと、少し。
……よしっ!
スキをついて駐車場に入れた。
相手は……?
クラクション鳴らしながらそのまま直進していき……。
見えなくなりました。
戻ってくるかな、と構えてましたがきませんでした。
あれから合流するのが少しドキドキします。今でいうアオリ運転なんでしょうね。
さて、今日はここまで。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます