第11話 ダレ?その2

男性寮に間借り中の女性10人。

お風呂はないっていうか、ヤバいので最寄の銭湯まで。お風呂が終わって帰ると洗濯タイム。

洗濯機はあるけどやっぱり女性。ほぼ手洗い。


洗面所でみんなが並んでキャ~キャ~ワ~ワ~と騒ぎながらの洗濯タイム。

この洗濯タイムも何日か経つと各自の場所が固定されてくる。不思議と。


「よくそこで洗えるねえ」

先輩がしみじみと私にいう。私の場所は例の床の焦げが激しい部屋の前。ここで何人か誰もいないはずが見られてる気がすると。


「他、空いてないじゃん」

少し抗議の含みをこめて、反論する。

「下着以外こっちにまわして。部屋に戻ってていいよ」

「あざすっ」

下着は終わっていたのでさっさと部屋に戻る。

本音を言えば、なんとなく怖かった。


何度か、気のせいだと思い込もうとしていたことがあった。あるとき、同室の先輩に聞いてみた。先輩は笑って一言。

「うん、最初から見えてたさ」

洗面所のある場所の鏡をみると自分の後ろに何かがうつる。


以来、洗面所の鏡が苦手になってしまった。


部屋は一番奥。トイレは入口近く。

つまり、トイレに行くには例の部屋の前を通る必要がある。洗面所も通らなきゃ行けない。

夜は、ぼんやりした電気が灯るだけ。

洗面所には鏡がある。


「トイレ、行くの?」

「………」

子供じゃないんだけどって言いたいけど…。

……怖い。トイレ行くの。

「一緒行こか」

「うん」

素直にありがたかった。


続きはまた次回。今日はここまで。




  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る