第14話 家族会議  心の狭いボス猫

猫太・・・最近保護されたばかりのガリガリの子猫。

     ボス猫に激しく拒否され同室出来ない為、

     お母さんのコになったという自信が持てないでいる。

ボス猫・・・元保護猫。超甘えん坊。やりたい放題。

わんこ姉さん・・・同じく元保護犬。誰にでもやさしい。


依頼

保護して間もない猫太が、車にはねられて重症。

今、手術しているので、頑張れ!と伝えて欲しい。



うお?!手術中??保護したばかり???

嫌な感じがしたので、コンタクトする前に、女帝に聞いてみる。


「猫太君が手術中らしいが、どんな感じ?」

<フィフティ、フィフティ>

マジかー・・・。


気を落ち着けて、猫太君に語り掛けてみる。

「猫太君、猫太君。お母さんが待ってるよ。頑張ろうね」


<ボク、生きてていいの?>


何を言う???


「生きてていいよ!お母さんが待ってるよ!

 お母さんの所に、元気になって帰るんだよ。

 お母さんが、頑張れー!!って言ってるよ。

 猫太君、頑張るのよ!」


<ボク、お母さんの家のコになっていいの?>


「猫太君は、お母さんの家のコだよ。

 お母さん、猫太君が大好きだよって言ってるよ。

 大丈夫!猫太君は、お母さんのお家のコなんだから。

 お母さんが待ってるから。

 元気になって、お母さんの所に帰るんだよ!」


<わかった。ボク、がんばる>


ほー・・・なんとか踏ん張って欲しい所だ。

飼い主さんの愛情を受け取って、パワーに変えて欲しい。


さて、こうなった元凶と話をつけようか。

(飼い主さん、置いといて・・)


頭の中で、ボス猫とワンコ姉さんを呼び出す。

「家族会議を始めます。

 今、猫太君は手術中です。

 退院したら、この家に温かく迎え入れなくてはいけません(断言)

 いいですよね?(圧!圧!圧!)

 どうすれば、仲良く同室できますか?」


わんこ姉さん、意義なし。

ボス猫・・・無言の抵抗・・・・


<オレは、ここ辺りのボス猫なんだ。一番強いんだぜ!>いばるボス猫。

(それがどーした??だから何だ?)

「ほーーーう、君がボス猫だと??

 アンタも保護猫だったよねー!

 こんなに強くなったのに、あんなに痩せて謙虚でガリガリなコを、

 家に入れないなんて、どんな狭い了見持ってんだ!

 こんな心の狭いヤツが、ボス猫を名乗るなーー!!」

<ホント、こいつは心が狭いのよ。

 仲間に入れてあげても、いいじゃない。情けないっ。>

(わんこ姉さん、言ってやって!言ってやって!!)


沈黙・・・・


<アイツは、カラスから身を隠す事も知らない弱いヤツなんだ。>

(その弱いヤツを拒否したのは、お前だろーが!!)

<だから・・・家から出なければいい。

 俺は、この周辺をパトロールするボス猫だ。外に出る。

 猫太はダメだ。弱すぎる。外に出したらダメだ。>


「判った。猫太は完全な室内猫。外に出さなければいい?

 君は外に出れるボス猫。猫太は室内猫なので、君が上位なのは揺るがない。

 猫太は、戻ったら絶対に外に出さない猫にする。

 そう飼い主さんに伝えるよ。それでいいね?

 脅すなよ?威嚇するなよ?病後だから、シャーシャー言うのも禁止!」


<善処する>

(ヨシ!)

「ボス猫君、ありがとう。

 猫太、今ヤバイから、パワー送ってあげて」


猫太の顔を舐めるボス猫の姿が視えました。

いいとこ、あるじゃん。ボス猫ー!!


「猫太が無事退院したら、温かく迎えてあげて下さい。

 これで、家族会議を終了します。」


後日、<わんこ姉さんの傍でくつろぐ猫太>

 <じわじわとボス猫との距離が近くなる猫太>の姿が確認されました。ヨシ!


よそ様の猫ですが、ムカツイたら、ガンガンに攻めます( ̄▽ ̄)

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