第34話 家猫に変わる時  地域猫のシロ太

シロ太  地域猫のオス、去勢済  餌場ポイント複数確保

     温厚な性格 本猫申告によると5歳3か月


お気に入りの餌場ポイントのお宅が引っ越す予定があり、

もうこの場所に来てもご飯はナイと伝える事に。


<判ったー。俺、他にも餌場持ってるから、大丈夫だよ。>


が、ご飯は置いてないのに、変わらずポイントに姿を見せるシロ太。

「シロ太君、もうご飯はあげられないよ。他のお家で可愛がって貰いなよ。」


<判ってるよ。俺が元気でやってる姿を見せに来てるんだよ。

 俺が2.3年で死んでも、野良を選んだ俺の責任なんだ。気にしないでくれ」


うう・・・こんなに良い子なのに・・・切ない・・・。

どうにかならないかと話し合っていたら、

あれよあれよと、引き取り先が見つかった。

直ぐに、シロ太君を説得です!


「シロ太君、家猫にならないか?」

<俺が家猫に?(遠い目・・・)照れるな。>

そこ、照れるとこ??  ま・ま・同意は得たとしよう。


ここから、シロ太君を家猫にしよう作戦開始です!


翌日の朝、ごはんを食べに、必ず!お気に入りポイントに来るよう伝える。

<シロ太君、朝ごはんを食べに、必ずお家に来てね!

 明日、新しいお家に行くからね。>

「判った。俺もついに家猫かぁ・・・照れるな」

(厳しい野良暮らしを、1匹で耐え抜いてきた俺が、

 人と暮らす事になるなんてな・・・そんな猫生も悪くないな)

 なんてセリフが聞こえてきそうなシロ太君であった。


翌朝、約束通りに朝ごはんを食べに来てくれたシロ太君を、すんなり確保。

ケージの中でも静かにしてくれて、数時間の移動も無事完了。


新しいお家に着いた、その夜。

シロ太君は、押し入れに隠れたままですが、気持ちを聞いてみると?

<お母さんになった人が、俺の名前を呼んでくれるんだ。

 かすかに聞こえるその声が、とっても優しい。

 この家は、気持ちいい。

 俺、この家で頑張るよ。

 俺、野良ネコだったから、夜の部屋の明るさにびっくりしてるんだ。

 猫には眩しいんだよな。>

成る程~。気持ちはとっても前向き。だけど、家の明るさに慣れないと。

慌てなくていいよ~。ゆっくりお家に慣れていこうね(#^.^#)


2日後のシロ太君

<窓際から外が見えるのって、良いね。カーテンがあって落ち着くし。

 この場所、好きだなぁ。

 カーテンの下からテーブルの下まで、ポツポツと置きオヤツしてくれないかな。

 オヤツに釣られて出てきた俺・・・のシチュエーションで慣れていきたい。

 俺、野良ネコだったじゃん。人と長時間一緒にいる事が無かったから、

 お母さん達と何を話していいか、思いつかないんだ。

 こんばんは~と挨拶に出て行った所で、それからどうしろと??となる。

 オヤツがあれば、間が持つと思うんだよね。>


シロ太君、なんてお気遣いの猫なの~~。

押し入れから出てこないけど、色々と考えているんだね。

君の希望は、全部飼い主さんに伝えてあるからね。ガンバレ!


更に数日後、シロ太君は、オヤツに釣られてリビングに出てきて、

お父さんとのアイコンタクトに成功。

<お家、慣れてきたよ。

 お父さんもお母さんも、優しい人で良かった。

 俺が慣れるまで、そっとしててくれる人達だ。ありがたいな。>


シロ太君は、穏やかに家猫に変わりました。

優しい飼い主さんに、感謝です♪

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