第2話 <ありがとう>が聞きたい シュナウザー君が吠える理由

 相談犬 ミニチュアシュナウザーの男の子 

とにかく吠える。いつも吠える。

毎日帰宅する家族にも、来客にも、延々と吠える=うるさい!

吠える理由が、嬉しくて吠えているのか?警戒して吠えているのかが判らない。

毎日遊びに来るおばあちゃんに、毎回毎回大声で吠える。

毎日来るのだから、顔を覚えてもいいんじゃないか?なぜ吠える?

吠える理由が判らないし、吠えるのをやめて欲しい。


 「こんにちは。お父さんお母さんが帰った時、何と言って吠えているの?」

<お帰り!お帰り!!って、嬉しくって吠えてる。>


「お客さんが来た時は?ずううーーーっと吠えてるのだって??」

<いらっしゃい!いらっしゃい!!って、大歓迎して吠えてる。

 だけど、誰もお返事してくれないんだ。ボクに何も言ってくれない。

 だから、聞こえてないと思って、もっと大きな声で何度も何度も

 いらっしゃい!ようこそ!って吠えるんだ。

 そしたらね、みんなが嫌~な顔をするんだ。

 ボクは、歓迎の挨拶をしているだけなのに。

 ボクは誰からも「ありがとう」って言って貰えないんだ・・・。>


う・・・切ない・・・。

そっかぁ。聞こえないと思って、吠え続けてたのか。挨拶してたんだねー。

でもね、人は煩いとしか、思ってないんだよ(気持ち全く伝わってません)


「おばあちゃんにも、毎回吠えてるよね?おばあちゃんの事は、どう思ってる?」

<おばあちゃん、大好き!!>(顔、覚えてるんかい!)

<おばあちゃんは耳が遠いから、聞こえないといけないと思って、

 いつもより大声で、いらっしゃい!!ってご挨拶してるよ。

 おばあちゃんは、ボクが吠えても嫌な顔をしないから、大好きだ!>

 (そんな配慮はいりません・・・)


・・・そっか。自分が吠えるのを、人が嫌がる事は少しは理解してるんだ。

でも、<いらっしゃい>の気持を伝えたくて、吠えまくってると・・・。


「あのね、人は吠えるのは嫌いなんだよ。

 わん!くらいの一声なら、お知らせだねって思うけど、

 ずうーーーっと吠えてたら、うるさいとしか思わない。」

<え?僕のお仕事は家を守る事なんだよ。吠えなきゃお家を守れない。

 吠えるの、みんな嫌いなの・・???ホントに?(ホントだよ)

 がぁーーーーーーーん!!!>(落ち込むシュナ君)


「残念だけど、うるさいコは、嫌がられる。みんな苦手だよ。

 君は小さいから、そんなに頑張らなくていいんだよ。

 お父さんは強いんだから。家族を守れる。

 君は怪しい人がいたら、わんわん!ってお知らせするだけでいい。

 ずううーーっと気合いれて、吠え続けなくていい。

 どうやったら、挨拶やお知らせは聞こえてるって、君にわかるかな?」


<オヤツをくれたら、ボクのいらっしゃいが届いてるってわかるよ>

 (ドサクサに紛れて、オヤツの催促してんじゃない)

「そう。お父さんにオヤツを貰えるか?伝えておくね。

 君が一生懸命、家を守る為に吠えている事は判った。頑張ってたんだね。

 でもこれからは、吠えるのを我慢する努力もしていこうか。

 お父さんお母さんが、<吠えるな>って言ったら、吠えるのを止める。

 吠えちゃいけない。お知らせも挨拶も、相手に届いているのだから。」


この後、シュナ君が劇的に吠えなくなる事にはありませんでしたが、

吠える理由が歓迎だと判り、飼い主さんご家族が噛まれる心配は無くなりました。

<ハイハイ、お帰りって言ってるんだね。判った、判った。>と、

前よりもすこーーしだけ生温かい目で見守られてます。


でも・・やっぱり、うるさいって。吠えない努力をしておくれ(-_-;)

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