8月7日[土] 天職?サラリーマンのおっさんの鼻毛を整えるバイトについて

 ここのところ、疲れて寝ている昼休み中のサラリーマンのおっさんの鼻毛を整えるバイトをやっていた。


 5日から三日間の短期バイトだったが、性に合っているかもと思う。バイトは今日で終わりだが、今後の参考に、三日間で得たノウハウを残しておく。


 現場到着後、まずは、お客さんなのか単に昼寝しているだけの人なのかを確認する必要がある。


確認方法

①ネクタイピンやカフスボタンあるいはラペルピンを着用しているかをチェック。


②着用しているならば、それは緩んでいるか?※ここの確認がおろそかになることがあるので要注意!緩んでいるのならば、その人はお客さんなので作業を開始する。


③作業後、緩んでいるピンやボタンを頂く。これが報酬になるので忘れずに。


 この三日間、スマホで指定された場所へ向かい(図書館だったり公園だったりしたね)、寝ているサラリーマンの中から顧客を探し出して作業をおこなった。

 書き残すまでもないことだが、作業終了まで、おっさんを起こさないように細心の注意を払う必要がある。(せっかくの昼休み。午後の戦いのために英気を養っている戦士を起こしてはいけない。自明の理である)


 戦士は、すでに夢の中なので、起こさないように慎重に作業をする。支給された小さな缶ケースの中には、毛抜き用のピンセットや小さなハサミやくしが入っていた。それらを使って戦士の身だしなみを整えるのだ。


 飛び出ている鼻毛を抜くだけではなく、Uの字に鼻の穴に納まっている隠れロン毛もピンセットで引っ張りだして処理をする。また、鼻毛の折り合いをうまいことつけて、鼻毛と鼻毛を重ね合わせて上品さを演出することもある。(高度な技術が必要で、わたしには真似できなかった)

 さらに鼻毛だけでなく、場合によっては、剃り残しのヒゲ、もみあげや眉毛のピンハネも切ったりくしで整えたりするのだ。


 戦士を起こさないように静かに黙々と作業をするのは、スリリングでもあり短期集中力を要した。しかし、充実した三日間だった。一生の仕事にしてもいいかもな、と思った。

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