7月11日[日] 無限プリン

 午後。猛烈に腹が減ったが、家には何もなかった。


 外は雨で買い物に行くのも面倒だった。わたしは、ゾンビのように、何度も戸棚の奥を漁ったり冷蔵庫の開け閉めを繰り返した。

 何度目かの時、冷蔵庫の中から一個のプリンが出てきた。


 さっきはなかったはずだ。それにどこか違和感もある。けど不可解に思いつつも空腹に負けて一気に完食。……食べたりない。

 おもむろに、もう一度冷蔵庫を開けると、もう一個出てきた。

 二個目を食べていて違和感の正体に気がつく。パッケージがどことなく違う。古臭いと言うか懐かしいと言うか。そして、よくよく見ると、賞味期限が昭和の日付であった。


 恐る恐るもう一度冷蔵庫を開けてみる。また一個出てきた。同じく昔のパッケージで昭和の日付のもの。一口食べる。匂いも味も新鮮で、腐ってはいないようだった。


 結局、夜にかけて20個近く食べてしまった。実は、ここのところ金欠で、一日一~二食にして後は水を飲んでごまかす日々が続いていたのだ。その反動が来たのだと思う。雨だから買い物が面倒とは言い訳よ……。


 風呂上がりにもう一個食べようと冷蔵庫を開けると、もうプリンは出てこなかった。何度、ドアを開閉しても同じだった。あれは何だったのだろうか?空腹すぎて幻でも見ていたのだろうか?

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