8月10日[火] ナマケモノウイルスをばら撒くバイトについて

 今日まで三日間、ナマケモノウイルスをばら撒くバイトをしていた。明日までのバイト。


 ナマケモノウイルスは、今から三十年ほど前に、とある小学生がナマケモノの体内から発見し培養に成功した。

 インフルエンザなどのウイルスと違って、高熱が出るなどの風邪の症状は一切出ず、約一週間で自然と体外へ排出される。


 だが、何の影響もないかと言えばそうではなく、感染すると、数日間は無気力になる。やる気がなくなって、家でごろごろする以外なにもしたくなくなるのだ。外出や風呂に入るのさえもおっくうになるなどの症状が出る。


 このウイルスは、大学病院で厳重に保管されていたが、コロナ対策のために県が執行を決断、第三波から活用されている。


 今回、この時期にばら撒くのは、お盆を直前に控えて、帰省ラッシュを抑制するためである。


 県の委託業者が、わたしのバイト先だ。作業をする自分たちが浴びるわけにはいかないので、防護服を着ての作業。防護服なんて初めて着たが暑い…!あの……暑い。いや、熱い。毎日これを着て作業をしている人たちに頭が上がらない。


 わたしも、明日までしっかりと務めよう。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る