【書籍化】ボーイ・ミーツ・本屋!
一見呑気な町の本屋さん。「なんだか楽そう」「漫画好きだし」そんな軽い動機でアルバイトを始めたとするなら、それは大間違いである。
とてつもない重量の段ボール! 肉体労働に明け暮れ、彼らは接客をこなしている。お客さまは「なんでも知っている」というテンションで質問してくるし無理難題を押し付けてくる。「本屋さんは優しい」からってなんでもしてくれると思っている!
そう、本屋の仕事はコスパが悪い。
書店で一番冴えないのは書店の遅番だ。彼らは出版社営業と話すことも棚をいじることもない。もっとも売上のいい時間にもくもくとレジ打ちし本にカバーをかけ、返品作業をこなし、掃除をする。品出しや発注・営業とのやりとりをする朝番の注意にびくつきながら、僕たちは本屋でアルバイトをしている……。
三軒茶屋にある老舗書店『爽快堂書店』の店長は住む家が遠いので、夜は不在。アルバイトが閉店までこなすことに。
そんな彼らの「本屋でバイトをする意味」は? 楽そうだったから、社割で漫画変えるから、大学の近所だから、この本屋12時まで営業してるんでちょうどいい。
いつのまにか学校に行くよりも、本屋でバイトしてしまっている。やりがいと仲間と、希望に満ちた将来(そこは自分でなんとかしろよ)を、彼らは手にすることができるのだろうか?
人物
<遅番男子>
庄野祐樹
30代中盤。よく釣り銭間違いする。年上、というだけで遅番の指導をしろといわれるが、とくにやる気なし。過去にどうやらいろいろあったようで……。
庄野曰く「本屋くらいしかまともに働けないから」
島尾海(大学四年留年決定)
現在某アイドルを推し活中。遅番連中のなかで一番真面目でおしゃれだが、それも推しに恥をかかせないためである。留年決定、なりたい仕事なんてない、公務員になって趣味を充実させたい。
島尾曰く「夜12時までここやってるんで」
吉行夏男(専門学校生三年生)
フィギュア大好き。バイト代を新作アメコミフィギュアにつめこみがち。陽気だが面倒くさい。喜怒哀楽激しすぎ。彼女がいるのはみんなに内緒。無理してやたらと体を壊しがち。
吉行曰く「ぶっちゃけ本屋舐めてました」
小島伸介(大学三年生)
ええとこの大学生。かつて万引きをしでかそうとしたことあり。いわれたことはやる。いわれてないことは、知らないで通す。大学院に進学予定、社会にでたくない……。
小島曰く「漫画割引で買えるんで」
遠藤昇太(一浪して大学一年生)
とりあえず東京にやってきて、とりあえず楽しい。なにをしたいかは考え中。親に頼むから就職してくれといわれているが、なーんにもなりたいことはなし。
遠藤曰く「地元の先輩が唯一ニヶ月バイトできたっていってたから」
<朝番女子>
阿川さん 朝番リーダー。厳しい。将棋の藤井くんが好き!
小沼さん 好感度上がるでしょってわかってるよね!?系女子。
安岡さん 事情通。話を盛りがち。主婦なんで時間通りに帰ります!
店長(50)
とくに本屋に思い入れなし。本屋の店主だった祖父が倒れ、失業中だったこともあり、しかたなく店長に。基本さっさと家に帰りたい。