第26話 凍夜二年になり復帰!休んでいたわけとは?
時が経ち、凍夜達は二年生になった。今年の春からも甲子園を目指せると
なると、その去年だけで一躍世界中に知られたこの碧陽学園には
創設始まって以来の新一年生が入って来た。学園側もうれしい悲鳴を
出していたが、それは部活も同じだ。
どこの部にも新入生が多く入る事によって活発になり、さらに学園が
向上していく。
その中でも特に野球部がやはり一番の目玉だった。
まだ体験入部の時期だが、グラウンドには大勢の野球部入部希望者が
大勢集まっていた。入学式から三週間程が経っているので、部活を
決める時期でもある。
その野球部には現在いる部員の数倍の人数が入部をしようとしていた。
当然皆の狙いは凍夜の超速球を取れる捕手が多く、投手も凍夜を
まねてトルネードをしてみる者もいたりとしていた。
その去年とまるで違う雰囲気に監督の洋子も少し戸惑っていた。
「本当に員数が多いわね。去年までは数えるまでしかいなかったのに。これが
甲子園優勝の効果なのね。こんな時にめぐみちゃんがいたらな」
今野球部にめぐみの姿はなかった。それどころか凍夜も二人そろって
しばらくの間、学園に来ていなかった。それは洋子にも知らさせていない
事だった。なので新入部員達も凍夜を見たかったがまだ見ていなかった。
それから数日達、一年生も正式な部員となり、現在、野球部の人数は
50人になろうとしていた。去年までは13人程しかいなかった。
洋子がグラウンドに行くとベンチに知らない女の子がいた。
「ねぇあなた見ない顔だけど」
「あ!初めまして。あの野球部のマネージャーをやりたくて」
「へぇ二人も来てくれたのね」
「ハイ。一年一組の
「同じく一年一組の
一人はものすごく明るく元気にあいさつをしていて、ショートカット
で、スタイルの良い明石朱音と、それとは対照的な感じで、長い
黒髪に、少し背が高く、細見の体をしている黒瀬黒子の二人が
マネージャーとして入ってきてくれた。どうやら朱音が黒子を
誘うのに時間がかかった為、この時期に入って来たのだ。
「あの、監督」
「何かしら?」
「えっと、長峰先輩は?」
「ああ。ごめんね今はいないの。学校にも来てなくてね」
「それって」
「心配しないで。彼なら帰ってくるから」
洋子の言った通り、それは突然だった。とある日曜の練習日。
グラウンドに凍夜が突然現れ、部員達が全員動きを止め
凍夜を見た。
「お、おいあれ」
「あれが長峰先輩」
一年生達がざわつくなか、それは二年生も同じだった。遙が
真っ先に凍夜の所にかけよってきた。
「長峰!お前、今まで何してた?」
「悪いな。ちょっと使用でこれなかった。本当はこの一年間も
休みたかったんだがな」
「一年って、まさかお前体調が」
「それはないから安心しろ。それにしても、偉い増えたな。これ
全部部員か?」
「ああ。一年だけで40人はいるぞ」
「それは面倒だな」
と、そこにその一年生が全員凍夜の前にそろってあいさつをした。
「凍夜君」
「監督、久しぶりっすね」
「とりあえず顔を見れてよかったわ。でも、休んでる理由ぐらい
私に教えてほしいわね」
「まぁ、この事は誰にも言えない事なんでね」
「そう。それで、めぐちゃんは?」
「めぐみは学園をやめたよ」
「や、やめたって本当ですか?」
「なんだお前ら?」
「この子達は新しいマネージャーよ」
「あの、明石朱音です」
「同じクラスの黒瀬黒子です」
「そうか」
「あの、それで、先輩が止めたって」
「悪いがそれは秘密だ。悪い事で止めたわけじゃないから
そこは安心しな」
「そうですか」
そんな感じで話していると、一年の一人が凍夜に話しかけて来た。
「あの、長峰先輩」
「なんだ?」
「先輩の球、取らせてください。俺、捕手志望です」
「捕手か。遙はどう見てる?」
「まぁいいんじゃないか?一年の中で一番志望が多いのは
捕手だからな。皆お前のあれを取りたいらしい」
「そうか。じゃぁ取ってみるか?」
「いいんですか?」
「ああ。一年の捕手志望、並びな。全員に投げてやる」
その言葉に一年が沸いた。洋子もしかたなくそうさせて
グラウンドのマウンドに久々に凍夜が上がった。
しかも、ただ捕手に取らせるだけじゃなく、一年全員を打席に
立たせて一打席勝負みたいな感じにした。そう。碧陽野球部
恒例の凍夜一人対他の部員全員だ。
一年の中には中学で全国に行っている経験者も多く、間違いなく
去年の碧陽野球部よりはレベルが高い。
しかし、凍夜には当然そんな事関係なかった。
凍夜は最初の一球から超速球を投げた。その構えのトルネードに
なっただけで一年は騒いでいた。そして、その超速球が一年の
ミットにめがけて投げられた。打者の一年は当然動けもせずに
一瞬で球がミットに吸い込まれたように見えた。そして、その
超速球を取った一年は経験者だが、その威力にバトル漫画の
様な感じで後ろに倒れこんだ。
「こ、これが人類最速の球」
捕手は倒れこんだままぼやいた。取れなかったが、その球を
自分のミットに一瞬でも入れたのに感動すらし、手が痛いの
も忘れる程だった。
それから凍夜は一年生全員を相手にした。誰も凍夜の超速球を
打て者はおらず、キャッチャーも誰も、取る事はできなかった。
それでも一年全員が満足し、それが終わると凍夜に全員が
礼をした。
それをベンチで見ていた朱音と黒子は感動していた。
「やっぱりすごいね長峰先輩」
「そうね。あんなの一生近くで見れないわ。ここにいないと」
「ね、入ってよかったでしょ」
「そうね。ありがとう朱音」
そうして久しぶりに部活に復帰した凍夜。部活が終わり、遙達
から飯に誘われるが凍夜は一人先に帰った。帰った場所は
病院ではなく、そこは普通の一軒家だった。
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