第24話 学園祭初日に凍夜がケガ!?

学園祭まであと五日後になり、校内はかざりなどが目立つようになった。

凍夜は初めて学園祭をするので、少し興味を持っていた。

クラスでは料理も決まり、あとは女子達が衣装を来て料理を運ぶ事が

できるかだ。


放課後、接客する女子達が着替えて教室にやってきた。メイド服の

女子が学校にいると言うのに男子達が騒いでいた。


「長峰は誰がタイプだ」

「そんなものはない」

「長峰君、せめておせじでも可愛いって言ってあげないと」

「おせじでいいのか?」

「それでも女の子はうれしいもんよ」


凍夜は黙ったが、別の女子から凍夜に着替えが渡された。


「なんだこれ?」

「長峰君用の衣装だよ。たまに接客にも出てもらうんだからその時は

これに着替えてね」

「めんどうだな」

「いいから着替えて見ろって」


しかたなく凍夜は着替えに行った。そして、着替えて戻ってくると

女子達が騒ぎ出す。


「やっぱりカッコいいよね」

「うちじゃ一番だもんね」

「長峰君写メ撮らして」


執事の衣装を着た凍夜は少女漫画に出てくるような美形だった。それに

むらがらない女子はいなかった。

下校時間になり、めぐみと一緒に帰る時、今日の事を話して、執事の

時の写メをめぐみに見せた。


「やっぱりカッコいいわね。彼女としてはうれしいわね。でも」

「でも?」

「あまり他の女の子とくっつくのはよくないわね」


写メにはクラスの女子達が凍夜を囲んでたり、一人ずつ撮ってたり

していたのでめぐみはそれを注意した。


そんな感じで準備は進み碧陽学園の学園祭当日がやって来た。早朝から

マスコミが学園を取材に来ている。それはスポーツニュースなども

同じで、野球部や凍夜を取材しにきたのだ。

その凍夜はすでに教室に居た。取材は時間を指定してあるので

それ以外でされるのはめんどくさかたので、見つからないように

校内に入った。


数時間後には他のクラスメイト達も来て、準備を進めた。学園祭は

一度、体育館で朝礼をしてから始まるので、時間まで教室で

着替えたりして待っていた。

その時間になり、体育館で朝礼が始まる。今までの学園祭はあまり

生徒達もやる気がなかったが、今年は凍夜のおかげで今や日本一

有名な学園になり、部活動も野球部以外も力を入れるようになったり

生徒達は碧陽でよかったと思うようになったので、学園祭も

力を入れていた。


マスコミもほぼ全校生徒に取材したり、学園にやってくる一般の

人にもしたりとまさにお祭り騒ぎだった。

そんな中、凍夜のクラスでも当然の事ながら凍夜がいるという事で

廊下には行列ができていた。主に他の女子校生などが凍夜を見に

やってきていた。


「長峰君次お願い」

「もう出来てる。さっさともってけ」


教室内は大忙しで、料理する側以外はほぼ全員で接客をしていた。

そうして一時間程したところで取材をしにマスコミがやって来た。

その取材は絵里の取材陣だった。


「長峰君、忙しそうね」

「ああ。めんどくさいくらいにな」

「そう言わないの。ところで、エプロンの下に着てるのって」

「これか?これは執事用だ」

「へぇ執事」

「ああ。基本はメイドだが、俺にも接客やれって言うからな。そんで

これを着させられてるんだよ」

「いいじゃない。じゃぁそれを撮らせてよ」

「悪いが、割高にするぞ」

「わかってる。だからお願いね」

「しかたねぇな」


凍夜はエプロンを取った。料理場は見れらないように板を取り付けて

いるので、席にいる人には凍夜は見えていない。なのでそこから

いきなり凍夜が執事の姿で現れたので、女の子達が騒ぎ出した。


絵里も超イケメンの執事がいるとういう感じで取材していた。


それの効果か一時間後にはさらに教室の前には女子達の行列が

できて少し騒動になっていた。なので先生達が規制し始めた。

そうしたおかげでどうにか午後には落ち着けた。


凍夜も休憩する事になり、その間に他の野球の所に行ったり

して、めぐみと合流した。


「さすがに人気者だね」

「めんどうだよ。本当に」

「贅沢な悩みだね。ま、あまり目立ちすぎると一緒に入れないのは

あるけどね」

「俺は構わんが」

「凍夜はね。こんな所をマスコミに見られたら一大スキャンダルだよ」

「そういうもんなのか」

「あなたはもっとメディアの事を勉強しないとね」

「必要ないんだがな。どうせ!?」

「それは言わないの」


凍夜はどうせ死ぬからと言いたかったが、めぐみが凍夜の口に

指を当てて止めた。簡単に死んでほしくないからめぐみは

凍夜に言わせたくなかった。


それから教室に戻り、時間まで凍夜は働き続けた。外はすっかり

夜になり、初日が終わろうとしていた。

教室でも片づけをしていたが、その時に事が起きてしまった。


「おい、危ないぞ」

「!?」


男子が包丁など刃物を片付けていた時に、ふざけて持っていた。そこに前から

別の男子が来てぶつかってしまい、その包丁が近くにいた女の子に当たり

そうになった。


「危ない」


皆それが女の子に当たったと思ったが、女の子の悲鳴はなかった。その

女の子も目を閉じていたので開けてみると目の前には凍夜がいた。


「な、長峰君!」

「おう、大丈夫か?」

「う、うん。ありがとう。でも長峰君が!!」

「?ああ、刺さっちまったな」


飛んできた包丁が凍夜の手のひらに少し刺さってしまっていた。いつもの

凍夜なら叩き落とせたが、女の子がいたのでその子を守らないとと

思い、反応がいつもみたいにできなかった様だ。


「お、おい、血が出てるぞ。お前、投手なのに」

「な、長峰」

「心配するな。こんなもん舐めとけば治る」

「ダメだよ。すぐに手当てしないと」

「長峰君、すぐ保健室に行こ」

「だから心配するなっておい」


女子達が強制的に凍夜を保健室に連れて行った。

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