第12話 凍夜甲子園を見に行く!

マウンドで喜ぶ遙達、本当は凍夜を胴上げさせたかったが、本人はそれを

拒否した。ベンチに戻る時も、取材陣が碧陽部員を撮るが一番メインの

凍夜はやはり姿を消していた。なので取材はほとんど監督の洋子に

集中していた。元々女性監督という事もあり、そして、初の女性監督が

甲子園に行くという快挙も成し遂げたので話題はつきない。


そうしている間に凍夜は病院に向かった。早苗に伝え、検査をして

もらう。夕方になり病室に居た凍夜の所に洋子達が来た。そこに

監督の姿もあった。


「お前ら何しに来た」

「えっと、監督が話したいって」

「俺の事話したのか?」

「うん」

「そうか」

「長峰君。ここにいるって事は」

「大丈夫だ。今は落ち着いてる。それより、他の奴らには?」

「それは明日言うわ。まずは私が確認しないといけないからね。それで

あなたの病気って」

「さぁな。簡単に言えば不治の病だ。精神的なもんなんでな。誰も手だしは

出来ん。体の中はボロボロなんでな。本来ならずっと病院生活するしか

ないんだがな」

「それだけの病気なのにどうして今まで言わなかったの!いくら勝てるからって

そんな重い病を持ってたら」

「監督!そいつは悪かった。でもな、俺も何かしたっかったんだ。とっくに

諦めた命を義理母に救われて、外に出させてくれたんでな。自分で死ねなかった

弱さも今じゃよかったと思ってる」

「長峰君」


凍夜の話に暗くなる洋子達。次に話したのはめぐみだった。


「凍夜君、明日はどうする?」

「そうだな。今はもう夏休みだしな。でも、一度行くわ。他の奴らにも

話さないといけないからな」

「素直だね」

「まぁもう隠す必要もないしな」

「長峰、お前、甲子園でも投げるのか?」

「遙、そうだな、監督の指示に従うさ。もう無理する事もないしな」

「甲子園は正直、長峰君なしじゃ勝てないわ。私は勝ちたい。そして優勝したい!

でも、あなたを無理させるわけにはいかなくなった。悩みどころね」


そんな感じで話していて夜になり洋子達は帰った。凍夜はそのまま病室で

寝る事にしたが、あまり寝付けず窓からずっと空を見ていた。


翌日、凍夜は学園に行く事にした。その学園では朝にもかかわらず、取材陣が

殺到していてテレビも来ていたりしていた。

夏休みだが、部活はしているので生徒は多い。しかも、甲子園を決めた

野球部を祝勝する為に午後から全校集会をする事にもなった様だ。


遙達はいつも通り練習をしていて、グランドの周りには生徒以外にも野球部を

見に来る人が増えていた。

そこに凍夜が現れて学校中が騒然とした。


凍夜はジャージではなく制服で来ていた。監督に話、監督が部員を集めた。

凍夜は自分の事を話した。マスコミなどにばれないようにするために

ベンチの方で聞こえないぐらいの声で話した。

部員達は驚愕しているので声も出せれていなかった。洋子がフォローを

しながら話、凍夜を使うかどうかはこれから決めるとも話した。

それから練習を再開するが、凍夜は職員室に良き、午後の事で話を

聞いていた。


その午後になり、体育館で全校集会が行われ、野球部の甲子園出場を

祝った。部長と監督が意気込みなどを話し、そして、最後に凍夜が

話す。マスコミも中に居るので、注目が集まる。

凍夜はいつも通りの口調で話すが優勝旗を持ってくると言って館内が

わいた。


その集会が終わり、凍夜は午後の部活には参加した。


部活が終わり、凍夜は一人先に帰る。甲子園までは時間があるので

凍夜はある行動に出た。

翌日、凍夜が向かったのは駅だった。そこで電車に乗り、ある場所で

新幹線に乗った。


数時間後、着いた場所は甲子園駅だ。そう、凍夜は先に一人で甲子園を

見に行こうと思ったのだ。


今日はプロの試合がやっているのでそのチケットを買っていたので

やってきた。球場に向かう前から人がその場所に向かう為に行くのが

わかるほどユニホームを着ている人が多かった。


「こいつら全員野球を見に行くのか。そういえば阪神のファンは異常に

多くて濃いらしいからな。ま、俺には関係ないが」


そうして球場につき、中に入る。スタンドはすでに満員で、凍夜は席には

座らず、立ってみる事にした。試合開始まで少し時間があるので凍夜は

球場の中にある売店に向かう。凍夜は変装とかはせず、顔は出しているので

周りは凍夜だと気づいていたが、凍夜は話しかけるなオーラを出して

いるので誰も声をかけずらかった。しかも、服は私服だが、ゲームのコスプレを

しているかのような服だった。


とりあえず飲み物だけ買って、戻る。そして試合が始まった。初めて凍夜は

生でプロの試合を見た。


「これがプロか。ま、俺には関係ないがな。ひまつぶしにはなったか」


凍夜は最後まで試合を見ていた。試合が終わり、勝利チームのヒーローインタビュー

が始まり、凍夜は近くで見て見た。すると、マスコミが凍夜に気づいた。


凍夜もそれに気づき、すぐにその場を去った。試合を見て、どこかによる

わけでもなく、すぐに帰り、病室に戻って来た。

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