第9話 試合開始!凍夜対光一。長い打席に!?
地区大会当日、早朝から各校が球場に集まってくる。この後、開会式が行わるので
それに出る為だ。普通の地区大会なら地元のテレビぐらいしか映さないが
ここには凍夜がいるので、どのテレビ局もいや、世界各国のテレビ局が
凍夜目当てで集まってきている。
その凍夜達は球場外で集まっていた。
「開会式って緊張するよな」
「ああ。本当に今から始まるって思うとな」
部員達、二三年は去年出ているはずだが、その時はおそらくやる気がなかった
ので、緊張もしてなかったのだろう。でも、今碧陽は世界が注目する
野球部にまでなっていた。それで緊張しない方が無理だと思うのだが、その
本人はやはり無関心だ。
「皆、ちゃんとしてね。途中でこけたらそれこそ笑い者だからね。今うちは
そんな事を望まれてはいない立場だからね」
「ハイ」
洋子に言われて真剣になる部員達。凍夜はめぐみと話していた。
「やっと始まるね」
「そうだな」
「凍夜君、絶対倒れちゃダメだからね」
「心配ない。倒れたら俺は気づかん」
「それもそうね。でも、そうなっても絶対私が助けるから」
「そうか。なら安心して投げれるな」
そうして時間が過ぎ、式が始まった。めぐみはスタンドから見守り
凍夜達は行進を始める。次々と出場校が中に入っていき、碧陽が
入場するとマスコミが一斉にカメラを向けた。
式が始まるが、凍夜はいつもの歩き方をしていた。
そうして式が進み、無事?終わった。
終わったあと、碧陽は取材陣に囲まれるが凍夜は当然すぐに居なくなって
いた。遙達は学園に戻り、最後の調整をする。
最後の方に凍夜も合流して練習は終わる。
「皆、お疲れ様。いよいよ明日が本番よ。緊張してミスをしないように」
「ハイ」
「長峰君」
「なんだ?」
「明日イケるよね」
「イケないって言ったらやらなくていいか?」
「やりたくない?」
「どっちでもいいさ。ただ、ベンチで座ってるのも暇なんでな」
「ならお願いね。あと、相手は風花よ。少し前に戦って長峰君の
玉も見てるから、おそらくストレートは当ててくるから内野は特に
気をつけてね」
「ハイ」
「でも、長峰の超速球は当てれてないっすよね」
「そうね。ま、それは佐藤君に一球見せただけだけど、絶対意識はしてる
からね。長峰君もそこは把握しててね」
「わかってる」
「それじゃ明日絶対勝つわよ」
「ハイ!」
碧陽は初めて本番の大会で勝気を見せていた。今までは一回戦負けの
最弱から、凍夜一人の力で最強にまでなっていた。
その凍夜は夜、病院の病室で寝る事にした。その方が静かだからだ。
「明日か。この体がどこまでもつかだな」
そんな事を考えながら眠りについた。いつ壊れてもおかしくない体に今何故か
不安を覚えていた。
そうして翌日、凍夜達はグラウンドに立っていた。スタンドは両校の応援と
凍夜を見ようと集まった奴らで満席になっていた。当然、マスコミや
プロのスカウトも来ている。碧陽の練習が終わると風花の光一が凍夜に
話かけてきた。
「長峰!今日は勝たせてもらうぞ」
「できるならやってみな」
「お前を打てば俺は日本一だ」
「打てればな」
凍夜はベンチに戻った。風花の練習も終わり、そして、サイレンがなり
試合が始まる。
碧陽対風花。周りからは事実上の決勝と言われている。大会一度も勝っていない
碧陽がそう言われているのは異常だった。
先行は碧陽からだ。つまり、凍夜が一番最初に打つ。ウグイス嬢の声で
凍夜が言われると会場がわく。
相手の投手は少し動揺しているが、それでも身構えて審判の合図の後
キャッチャーがミットを構え、第一球を投げた。
そして、凍夜はその初球を打ち、やはりホームランになった。その事に
球場はさらにわいた。
「やっぱり化け物だなあいつ」
「監督」
「ああ。あいつはしょうがない。おそらく誰も止めれないだろう」
風花も凍夜の一発はしょうがないと思っている。その後は二番、三番と
打ち、四番の清貴でもう一点もついかし、碧陽は二点を先制した。
その後は投手を交代して、碧陽の攻撃を終わらせた。
そして、凍夜が投げる番になった。グラウンドに行く前に凍夜に
声をかけるめぐみ。
「凍夜君、頑張ってね」
「頑張るほどの事じゃない」
凍夜はマウンドに行った。捕手は遙だ。遙はサインを出し、ミットを
構える。一番打者は左打席だが、凍夜は気にせず振りかぶり、そこから
いきなり体をひねった。
「トルネードだ」
凍夜を見ている奴は知っているのでざわつく。そこから投げた球は
超速球だ。一番はまったく動行けず、気づいたら玉はミットに
吸い込まれていた。
「ストライクー」
審判の声で会場は異常にわく。球場に表示出されるスピードが168を
出していたからだ。遙は凍夜にボールを返すが、どこか不安だった。
「あいつ、いきなり超速球で投げやがった。普通のにサインしたのに」
遙は小さい声でつぶやいた。凍夜はそれからは遙のサイン通りに
投げた。それでもストレートのど真ん中だけだが、風花は誰も
打てず、三者三振になった。
ベンチに戻ってから遙が凍夜に聞いた。
「なんで最初超速球にしたんだ?」
「見せ球だ。最初に意識させれば後は楽だからな」
「なら俺に言えよ」
「悪い。最初だけだ。後はちゃんとしたがうさ」
「なら頼むぞ」
遙は心配していた。凍夜がいつ壊れるかわからないと知っているから
そっちの方が心配になっていた。
二回表、風花の最初の攻撃はいっきにスタメンになり、四番になった
佐藤光一だ。練習試合で唯一凍夜の玉を当てた事が評価されこの
風花の四番になった。
「さぁリベンジだ」
打席に向かって行く途中で光一はつぶやいた。打席に立ち、構える。
凍夜も振りかぶって投げた。それは普通のストレートだが
160以上は出ている速球だ。
遙はその玉をファールにした。そう、一球目で当てたのだ。それに
客が驚く。光一も一年なのでそれがどれだけすごいか野球を知っている
人なら驚くのは当然だった。
「やっぱり当てるか。でも、あいつに超速球を使わせるわけには
いかない。なら、コースを」
「!?」
遙が真ん中じゃなくインコースを構えた。それにも球場がさわぐ。
凍夜はうなずき、そこに投げた。遙はコースが違うのに気づき
バットを振る前に止めた。しかし、審判がストライクを取った。
ギリギリでゾーンに入っていたのだ。
「コースギリギリでこの速球が投げれるのかよ。まぁ真ん中だけ
打つのも面白くないからな」
光一は深呼吸して構えなおした。それから凍夜はコースをついて
投げて来る。それを光一はギリギリでファールにする。誰もが
凍夜の独り舞台だと思ってたいたが、まさか、同じ一年で凍夜の
玉を打てる打者がいるなんてと誰もが思った。
そして、その打席で凍夜は十球も投げた。
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