概要
二十五時の海で、顔の見えない君と出会う──
仕事ばかりの生活に疲れきった高橋朗は、夜にしか見つけることのできないというウランを含んだシーグラスを探すため、深夜の大洗海岸を訪れていた。
そこで出会った地元の女性、ミナ。 自宅で家族を介護するだけの人生を送る彼女は朗に顔を見せず、連絡手段すら持たなかった。
しかしそんな彼女に運命を感じ惹かれていく朗は、ミナに今日と同じ新月の二十五時には必ず会う約束を取りつける。
月に一度きりの逢瀬。その結末は。
そこで出会った地元の女性、ミナ。 自宅で家族を介護するだけの人生を送る彼女は朗に顔を見せず、連絡手段すら持たなかった。
しかしそんな彼女に運命を感じ惹かれていく朗は、ミナに今日と同じ新月の二十五時には必ず会う約束を取りつける。
月に一度きりの逢瀬。その結末は。
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!Uranglasは《暗いところ》でしか光らない
「落とし物、ですか」「──いえ。宝探しを」
仕事に疲れた高橋朗は夜の海岸線でウラングラスという骨董品のかけらを捜すことを趣味としていた。そんな彼に喋りかけてきたのはミナと名乗るうら若い女。彼女は彼の骨董品捜しに興味を持ってくれた。
月に一度、新月の晩にこの海岸で逢う約束をする。
暗がりゆえに顔は視えないものの、喋りながら海岸を探索するうちに彼女の家庭の事情がわかってくる。なんでもミナは一日中家族の介護と家事に忙殺されていて、こうした夜の散歩だけが唯一息の抜けるひとときなのだという。朗はそんな彼女を憐れみつつ、何処か昏い優越感と好意を擁くのだった――……
光の絶えた新月の夜にだけ捜しあてるこ…続きを読む - ★★★ Excellent!!!月のない浜辺は、確かに宇宙と繋がっていた
新月の夜。暗闇の中に紫外線を照らし、ウラングラスを探すというのがまた、なんとも幻想的。現実にも実現できる幻想と言うのが大変素晴らしい。
この作品は物凄くリアルを丁寧に描いています。
理不尽さだとか、無意味さだとか、時折去来する虚無感だとか。
擦り減らされる日常。疲弊していく精神。
しかしその中、現実から切り離された大洗の浜辺で、一人の女性と出会います。
今まで見つからなかったウラングラスが見つかり、宇宙すら近くに感じる闇の中で光なき温もりを感じます。
作中にはいくつかの仕掛けが盛り込まれており、それが読後に様々な思いをよぎらせます。
作者が浜辺に散らしたいくつかの仕掛け。いくつ見つけ…続きを読む