月のない浜辺は、確かに宇宙と繋がっていた

新月の夜。暗闇の中に紫外線を照らし、ウラングラスを探すというのがまた、なんとも幻想的。現実にも実現できる幻想と言うのが大変素晴らしい。

この作品は物凄くリアルを丁寧に描いています。
理不尽さだとか、無意味さだとか、時折去来する虚無感だとか。
擦り減らされる日常。疲弊していく精神。
しかしその中、現実から切り離された大洗の浜辺で、一人の女性と出会います。

今まで見つからなかったウラングラスが見つかり、宇宙すら近くに感じる闇の中で光なき温もりを感じます。

作中にはいくつかの仕掛けが盛り込まれており、それが読後に様々な思いをよぎらせます。

作者が浜辺に散らしたいくつかの仕掛け。いくつ見つけ出すことが出来るでしょう。
お探しの際は、ぜひこの紫外線の出る懐中電灯で照らしてみてください。
そうして、あなただけのストーリーを創って見てください。

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