概要
特別指定封域、2041年冬。特定熱源体を巡る、雪降る夜の交錯と熱。
カルデラの雄大な光景に抱かれた、■■湖のほとり。
かつて自然公園法に基づく国立公園の一角としてその景勝と手つかずの自然で知られた清涼な地域は、今から15年前の2026年に制定された特定熱源体対策特別措置法(通称“熱災特措法”)に基づく特別指定封域として警戒体制が敷かれている中にあった。
美冬の目線の先では、今日もまた、薄暗くなった窓の外を雪が降り始めている。
平穏な町に棲みついた異形の化物 “特定熱源体”、
そこに暮らす美冬と秋人を、町に縛りつけるもの。
特定熱原体災害を巡る、一夜の描画。
※ゆあん様の自主企画『筆致は物語を超えるか【雪を溶く熱】』参加作品。
共通のあらすじに沿って、自由な文章表現・設定・解釈で作品を創りあう企画です。
かつて自然公園法に基づく国立公園の一角としてその景勝と手つかずの自然で知られた清涼な地域は、今から15年前の2026年に制定された特定熱源体対策特別措置法(通称“熱災特措法”)に基づく特別指定封域として警戒体制が敷かれている中にあった。
美冬の目線の先では、今日もまた、薄暗くなった窓の外を雪が降り始めている。
平穏な町に棲みついた異形の化物 “特定熱源体”、
そこに暮らす美冬と秋人を、町に縛りつけるもの。
特定熱原体災害を巡る、一夜の描画。
※ゆあん様の自主企画『筆致は物語を超えるか【雪を溶く熱】』参加作品。
共通のあらすじに沿って、自由な文章表現・設定・解釈で作品を創りあう企画です。
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!ぐっと心を動かす作品
映画「ディープインパクト」(1998年,スピルバーグ製作総指揮,ミミ・レダー監督)を思い出しました。隕石モノのパニック映画ですが、ハリウッド映画の主要テーマである「家族の絆」を描いた秀作です。女性ニュースキャスターのジェニーが大津波が迫る海岸で、確執のあった父親と和解するシーンには、ぐっと心を動かされます。似た感動(それ以上かも)をこの小説から得ました。
…お疲れ様、お父さん。13年ぶり。おかえりなさい。今までありがとう…美冬のこの台詞で涙腺崩壊です。
情景描写も素敵です。特に、
いずれ町はそっと消えていく。降り注ぐ雪の中に、かき消されていくように。
これは、堪りません!
ぐっとぐっと…続きを読む - ★★★ Excellent!!!圧倒的な存在に対峙する、ちっぽけな個人の感性をえがく
まず、なんといっても非常に質の高いモンスター・パニック作品です。近未来の日本に設定した舞台配置によるほどよい距離感が、奇怪なモンスターの存在の「真実らしくなさ」を巧みに取り除き、強度の高いリアリティを確保しています。
異質な危機に対する恐怖を緻密に構成していく文章こそがこの作品の魅力ですが、もちろん破壊のカタルシスも用意されています。ミリタリー的な関心も強い作品で、その点もリアリティに高く貢献しています。
しかしそれ以上に、主人公である美冬の心情にしっかりとフォーカスしている点も、この作品の魅力だと感じます。圧倒的な破壊的存在に対して、一個人のできることなど実質的にほぼゼロです。そこにあるの…続きを読む