概要
「龍舌蘭をまた一緒に見ようね」
さとちゃんとの約束を果たすために、光子はさとちゃんの家に向かった。
おすすめレビュー
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- ★★★ Excellent!!!過去に捉われることの悲しみと喜び
「思い出すことが、すべての悩みのもと。修業とは、過去に捉われない心を持つことである」とは、ある高僧の言葉。
この物語りの主人公である2人の女性は、40年昔に2人の間に起こったわだかまりの1つ1つを鮮明に記憶し、それらに捉われたまま大人になり、そして再会する。1つ1つのエピソードに、「人間というものは、こんなに幼い時から求めあい傷つけあう生き物なんだなあ」と、その哀れさに嘆息せざるを得ない。
しかし、過去に捉われるからこそ、書ける物語というものがある。
そして、読者に与える感動というものがある。
作者の星都ハナスさんの感性がきらりと光る短編です。 - ★★★ Excellent!!!龍舌蘭は、約束の花。
主人公は、小学校の時に絶交した友人の家を、40年ぶりに訪ねた。インターホンを押して、相手が出るのを待つ。その時、主人公は眩暈を起こして、友人と初めて出会った時にタイムスリップする。そこでは幼い自分が、初めて会った友人に、「ブス」と言っていた。ここで主人公は、幼い自分自身に吸い込まれ、友人との思い出を追体験する。
小学校に上がると、友人は主人公をイジメた。主人公はそれに対して、意地悪で応戦する。しかし自分がイジメられても傷つくが、相手に復讐すればもっと心が落ち着かなくなるのだった。そんな微妙な関係になった二人のことを、ずっと見守ってくれていていたのが、お婆さんだ。お婆さんは戦争体験者だった…続きを読む - ★★★ Excellent!!!矛盾だらけの子供の心
ちょっとした些細な言葉1つから、険悪な関係になってしまったふたりの子供たち。
それでも本当は、友達がほしい、仲良くしたい、仲間はずれにされたくない、、、。
矛盾だらけの心は大人になっても続きます。
それと、本心も、、、。
過去から現在へ、子供から少女、女の子から大人の女性へ、複雑な争いと執着、裏切りと謝罪、あるアイテムと植物の花が、あらゆる思いを昇華し、目に見えない素敵な1つの花を、咲かせたエンディングだったと思います。
一筋縄ではいかない人生の、ある時代とある未来への、1つの希望が描かれていると思います。
なにか、腑に落ちたと言うとおかしいか…続きを読む