エピローグ

 ああ、いてぇ・・・・


 あの後、医者に行ってて貰ったら、やっぱり肋骨あばらが二本いかれてた。


 おまけに全身打撲と来てる。


『一か月の入院加療が必要ですな』と、藪医者は勿体つけてぬかした。


 冗談じゃない。


 一か月も酒無しで、病院のベッドで精進料理以下のメシで、大人しく寝てろというのか?


 まっぴら御免だ。


  第一金がない。


  依頼人から受け取ったわずかな稼ぎを、そんなことに使っていられるか。


 え?


(『死神ご一行様』はどうなった?)だって?


 一応警察には連絡しといた。


 後から俺の所にも群馬県警を通じて警視庁から問い合わせが来たよ。


 事件の調査で出向いて、あんな目に遭ったことを、隙間を省いて分かりやすく説明しておいた。


 向こうはそれで納得したかどうかは分からない。


 渋い声で、


『拳銃を使ったんだ。型通り報告書だけは出しとけ』だとさ。


 それ以上五月蠅うるさくしなかったのは、仮にも元公安が絡んでいたからなんだろう。


 ま、そんなことはどうでもいい。


 俺はネグラのベッドに寝ころびながら、もうこれでまる三日、


『酒とバラの日々』を過ごしている。


 俺の身体にゃ、これが一番の薬であり、リハビリだ。


 これで金と酒が底をついたら、また働くさ。


 足と目と、そして知恵を使ってさ。


 ああ、また電話が鳴ってやがる。


 自然に、音声メッセージに切り替わった。


(あ、いぬいです。只今留守にしています。メッセージよろしく)


 あと一日、あと一日だけ寝かしといてくれよ。


 そうしたら事務所に降りるからさ。


                        終わり


*)この物語はフィクションです。

  登場人物、事件、その他全ては、作者の想像の産物であります。

 

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災厄は黒い本と共に 冷門 風之助  @yamato2673nippon

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